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都市再生機構西日本支社 南智彦副支社長  【平成30年06月07日掲載】

団地再生で資産価値向上

幅広い層に生き生き環境を提供


 副支社長として、総務部門と住宅経営部門を担当するが、就任にあたっては、「節目の年だけに感慨深いものがある」とする。節目の年の意味は、機構設立時の繰越欠損金約7300億円について、その返済が行われてきたが、その償還が計画上、今年度で終わる予定であることからきている。これまで、「常に債務返済に係る決算上の数字を意識してきた」ことに加え、前職が本社経理資金部であったことから、「それがなくなるという節目に立ち会えたということ」。

 また、債務解消に向けては、「西日本支社において担当業務を通じて少しでも貢献していきたい」と抱負を語る。

 住宅経営に関しては、現在、管理する420団地・20万6000戸のうち、昭和40年代に建設された賃貸住宅のボリュームが多くあり、再生が急がれる。「都市部と周辺部のニーズを丁寧に見極め、画一的に進めるのではなく、『団地の個別性、特性』を上手く捉えて再生し、地域の活性化に努めることが肝心だ」と考える。また、高齢者や子育て層といった幅広い世代に満足し、生き生きと暮らせる居住環境の提供を行い、URの資産価値向上にもつなげたい」と先々を見通す。

 具体的には、URの施策で、国の住生活基本計画にも位置付けられている地域医療福祉拠点を基に、「若年層から高齢者までも幅広い世帯が生き生きと暮らせる居住環境を整えていくことが我々の使命」と決意を語る。

 取組みでは、若い世代を呼び込むための住戸改善事業、高齢者向けにはエレベーターの設置とともに地域コミュニティの形成等を実施しており、これらのPRをさらに強化するほか、団地再生へも取組みながら、「これらを一体となって進めることが活性化につながり、それにより地域の活性化やURのブランドも向上するものと考えている」との見方を示した。

 また、空家対策に関しても「優先順位の高い課題」とし、立地条件や世帯構成など入居希望者のニーズを踏まえた取組みが必要となると述べ、特に郊外団地の場合には、内装や間取りはもとより、「外観や建物周辺の整備も必要」と、きめ細かな対策が重要とした。

 総務部門では、働き方改革への取組みを挙げる。特に長時間労働の是正と生産性向上が課題となるが、「単に残業を減らすだけなく、生産性も高めていくことが求められているが、いろんな働き方がある」とし、既に実施している時差出勤のほか、テレワークを積極的に取り入れることで、職員個々の能力を引き出し、それにより、「やる気を起こさせることが生産性の向上につながるものと考えており、そういった職場環境づくりを進めていきたい」と意欲を語った。

大学卒業、民間企業での勤務を経て、当時の住宅・都市整備公団に入社。入社以来、関西と本社で、「ほぼ半々の割合」で過ごしてきた。これまでストック活用や募集業務、都市再生、ニュータウン販売等を手掛けてきた。

 仕事の思い出では、支社の施設経営業務で、団地内施設の空店舗対策として、1年以上経過した空店舗を半年間フリーレントにし、営業が継続可能と判断した場合に正式契約を交わすとした取組みの試行を挙げ、これは現在チャレンジスペースとして制度化されている。

 また、従来、財政投融資に頼っていた資金調達を、自ら債券を発行して市場から調達するため、格付取得や中期計画の作成など、現在では当たり前となっていることを、「当時は公団として初の試みであり、その作業に追われたことも忘れられない」。

 モットーは、ファインプレーに頼らなくても、普段の努力の積み重ねが成功を導くとの意味から、孫子の勝ち易きに勝者なり≠挙げ、「職員一人一人がその思いで仕事すれば、組織として対応できる」と言う。趣味はゴルフと野球観戦。大阪市出身。五九歳。

 
 
 
南智彦(みなみ・ともひこ)
平成10年10月住宅・都市整備公団入社、同11年10月都市基盤整備公団、同15年7月関西支社管理業務部ストック活用計画課長、同16年7月都市再生機構西日本支社住まいサポート業務部ストック活用計画チームリーダー、同18年6月本社経理資金部リーダー、同20年6月本社経営企画部資産債務改革推進チームーリーダー、同22年7月同部業務プロセス改善推進チームリーダー、同23年7月西日本支社募集販売センター担当部長、同24年4月同支社住宅経営部担当部長、同25年4月同支社募集販売センター所長、同27年4月本社経理資金部次長を経て、今年4月から現職に。神戸大学経営学部卒。


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