日刊建設新聞社   CO−PRESS.COM
大阪府都市整備部 井出仁雄部長  【平成30年02月05日掲載】

来年度事業の見通し等を語る

道路・鉄道 確実に進捗

南海トラフ 継続して防潮堤液状化対策

ICT活用工事拡大へ


 大阪府都市整備部の井出仁雄部長はこのほど、日刊建設新聞社のインタビューに応え、今年度事業の総括と来年度事業の見通しについて語った。今年度の事業については、道路関係で「それなりに成果が見ることができた」と手応えを語りながら、鉄道事業や災害復旧事業を引き続き鋭意推進するとした。来年度に関しては、安全・安心に資するインフラ整備に継続して取り組むこととし、2025年の万博誘致に向けた協力を呼びかけた。

■まずは今年度事業の状況から。

 就任時にも申しましたが都市整備部には、大阪、関西の成長に資することと府民の安全と安心を守るため、インフラを整備・維持管理する役割が求められています。このうち成長に資するインフラ整備では、一昨年末に事業採択された淀川左岸線延伸部と高速道路料金の一元化に向けて一歩踏み出したことと、府道路公社が管理する路線のうち南阪奈道路と堺泉北有料道路をNEXCO西日本へ移管することが決まりました。
 昨年4月には、大阪府と和歌山県に跨る第2阪和国道と国道480号が供用し、6月から高速道路料金の一元化に向けて、対距離制を基本とした新料金がスタートしました。さらに12月10日には新名神高速道路の高槻〜川西間と関連アクセス道路が供用を開始しました。また、年末には第2阪奈道路もNEXCO西日本へ移管する方向性が打ち出され、今年の2月議会に諮ることとなります。これら道路事業に関しては、供用や事業採択などそれなりに成果を見ることができました。

■なるほど。

 鉄道関係では、昨年になにわ筋線がJR西日本と南海電鉄、大阪府市、実施主体である関西高速鉄道株式会社との間で、基本的な事業スキームに関し合意しました。このほか、モノレール延伸事業は来年度の都市計画決定に向けて手続きを進め、北大阪急行の延伸線部も2020年度の供用に向け着実に工事を進めていきます。おおさか東線も今年3月に新駅となる衣摺加美北駅が開業するとともに、引き続き2018年度末の全線供用に向け工事を実施していきます。来年度は、これら道路や鉄道について、確実に進めていくことになります。

■安全と安心に関する分野では。

 安全・安心については、昨年の台風第21号による被害が発生し、府が所管する公共土木施設の被害は284件で被害額は58億円に上っています。長雨に台風が重なったことで被害が拡大しました。主なものでは、岸和田市で牛滝川の河道閉塞により府道にも被害が発生し、国道173号では府が管理する区域で大規模な地すべりにより土砂が道路を塞ぎ、通行止めとなっており、また箕面公園では滝道が通行不能となっています。
 今後は、牛滝川については出水期までに河道確保を行い、道路の復旧工事に着手します。国道173号は、現在も地盤が動きつつあることから、上部の土砂を取り除き下部で押さえの盛土を行い、仮橋を設置して暫定的に通行を可能にしたいと考えております。箕面公園では、崩落土砂や倒木の除去を進めるとともに、資材等の搬入路が狭小なため、時間がかかりそうですが、本格復旧に向け、来年度にかけて取組みを進めていきます。これら災害対応については、本庁はじめ被害のなかった事務所から、被災地域の土木事務所に技術職員を派遣し、被害の大きかった町村への支援も行いました。

■来年度事業の見通しでは。

 南海トラフ巨大地震対策での防潮堤液状化対策では、3カ年計画の完了に引き続き、2018年度までの5カ年計画の完了をめざし継続して実施していきます。治水関係では、安威川ダムの2021年度の堤体完成を目指します。寝屋川流域総合治水対策では、北部地下河川の大深度地下使用に向けた手続きを進めるとともに、これらハード対策と合わせ、寝屋川流域での水害対応タイムラインを今年の台風期での運用をめざして策定を進めています。
 このほか、集中豪雨等に対して農業用水であるため池の利水用水位を下げ、一時的に雨水を貯留するため、熊取大池や松沢池等で検証を実施しています。また土砂災害対策で地区単位のハザードマップ作成のための支援を行うとともに、河南町と貝塚市が土砂災害対応のタイムライン策定をめざしており、府としても参画させていただいております。
 自転車に関しては、2016年度からの3カ年で60キロの自転車レーンを整備することとし、来年度は28キロを整備する予定です。これと合わせ、市町村との自転車ネットワーク形成に向けた取組みも進めています。

■国土交通省ではアイ・コンストラクションを推進しておりますが、これへの対応は。

 ICTを活用した工事に関しては、既に施工中の安威川ダム建設工事で、施工業者が積極的に導入実施しており、ドローンによる3次元測量のデータに基づき掘削量や締固め等も自動的に制御される様子を視察しました。また、大阪府におけるICTを活用した工事の発注に関しては、今年度は舗装工事で一件実施しました。今後は舗装工事以外での活用も検討し、拡大する方向です。

■万博に関して何かありましたら。

 70年万博では、万博を契機にいろんなものが整備されたと言われておりますが、それだけでできるものではありません。千里ニュータウン開発があり、それとの相乗効果で各種のインフラも整備されたもので、万博のみのために整備されたものではありませんが、万博が契機となり整備が劇的に進んだ面はあります。今回も同様に万博だけに限らず、臨海部開発やG20や世界遺産登録等をトータルに見据えてのインフラの姿をまず描き、その上で万博が起爆剤となり相乗効果として牽引するのではと考えております。ですからぜひとも誘致に向けたご協力をお願いしたいと思います。

■ありがとうございました。



Copyright (C) NIKKAN KENSETSU SHINBUNSHA. All Rights Reserved.
当サイトを利用した結果に関するトラブルなどに関しては、当社としては一切責任をとりかねます。