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日本建設業連合会関西支部 松崎公一支部長  【平成29年06月29日掲載】

インフラ整備の動きに期待

止められぬ週休2日の流れ


 5月の総会で、日本建設業連合会関西支部の支部長に就任した松崎公一・鹿島建設関西支店長。ゼネコン各社の業績が上向きとはいえ、担い手の確保・育成から生産性の向上まで、解決すべき課題は山積している。これら状況の中、支部活動にあたっては「各委員会を中心に活動していく」と就任にあたっての抱負を述べる松崎支部長に、今後の取組み等を聞いた。

■まずは就任にあたっての抱負を。

 支部活動については、各委員会を中心に運営しており、それら委員会活動を充足させることで日建連全体の活性化につながるものと考えており、委員会を通じて近畿地方整備局等との意見交換等により日建連の主張や提言等を要望することが大事だと思っています。
 また、当支部では、近畿地方整備局はじめ各自治体との間で災害時の支援に関する協定を結んでおり、今年2月には、18機関との間で包括的協定も締結されました。支部としても、それらに対応できる体制を整えていきますが、これら活動を実践する上には、関西支部の会員71社が同じベクトルに向かって取り組む必要があり、それを先導していくことが私の役割だとおもっています。

■その支部活動について。

 関西支部はじめ日建連各支部は、基本的には本部方針に則って活動することになります。今年度の本部活動方針では、担い手の確保育成と生産性向上の2点が、大きなテーマになります。特に、担い手の確保育成については、建設業は全産業の中にあって最も給与が低いと言われていることから、労務賃金の適正なアップをはじめとする処遇の改善が我々に求められていると思っています。
 また、社会保険加入促進や建設キャリアアップシステムの構築に関して、運用が開始される段階になれば、その窓口として普及促進に努めながら、現場労働者の意識向上にも努めていきます。

■処遇改善では週休2日制の導入等も課題です。

 週休2日の導入に向けては、本部に週休2日推進本部が設置されたことから、それと連携した取組みを進めていきます。また、働き方改革としての長時間労働の是正と週休2日は、基本的にはリンクしていますが、分けて考える必要があります。残業規制は、ゼネコンや元請の技術者、社員に課せられた取組みであり、週休2日は、現場閉所により作業員の休日を一般産業並みに確保することで担い手確保につなげていく目的があります。
 週休2日や労務賃金等に関して、国土交通省では、設計労務単価の引き上げ等や適正工期の設定等の取組みを実施されていますが、会員各社では建築工事の比率が高く、その大半が民間建築であることから、民間事業者に理解を求める必要もあります。このため日建連としても民間事業者との話し合い等により、地道に粘り強く訴えかけていきます。

■週休2日に関しては、近畿地方整備局が今年度から一部の工事を除き全ての工事で実施するとしています。

 私個人的には賛成ですが、そのためには現場で働く人達の収入が減らないよう協力会社としっかりと意見交換をする必要があります。6日間分の収入が、5日間になっても同額にすることが必要で、そのためには生産向上を図ることが重要となってきます。
 また、残業規制の目標を達成するためには、週休2日にならざるを得ず、そういった現場運営も必要となってくる。いずれにしましても週休2日の流れは止められず、業界全体で一歩ずつ取り組むことが求められています。ただ、先程も申しましたが、民間事業者の協力が不可欠であり、本部はもとより支部としても理解を求めていきます。

■業界の動向については。

 関西は首都圏に比べインフラ整備がまだまだ不十分ではありますが、淀川左岸線延伸部や大阪湾岸道路西伸部が事業化し、新名神高速道路でも来年には神戸と高槻間がつながりますが、高槻より先の区間を早期に結ぶことが関西の発展に寄与するものと思っております。また、万博やIR誘致について、誘致が決定してから予定地となる夢洲の基盤整備にかかっていては間に合わない恐れがある。関係団体に対してその辺の理解を求めいきますが、期待できる部分には大きなものがあります。

■今後の活躍を期待しております。

 会社では支店長としての重責を担う。業務にあたっては、「組織は一人一人で成り立つもので、上からと下からの力が一体となることが重要。その流れを良くすることも私の役目であり、それを日々、心掛けています」。
 関西での勤務も2年が過ぎ、単身生活にも慣れた現在では、食文化の高い地域で「食べることが愉しみ」とし、ストレス解消の船釣りも「道路の開通で釣り場が近くなった」と笑う。大分県出身。64歳。

松崎公一(まつざき・こういち)
 昭和51年3月早稲田大学理工学部建築学科卒業、同年4月鹿島建設入社、平成12年9月の浜離宮鹿島ビル新築工事をはじめ、コクヨ新江東南配送センター、銀座吉川ビル、御茶ノ水共同ビルの所長、同16年3月東京支店建築部長、同18年10月建築管理本部建築工務部長、同21年4月九州支店副支店長、同23年4月執行役員九州支店長、同26年4月常務執行役員九州支店長、同27年4月常務執行役員関西支店長、同29年4月専務執行役員関西支店長。64歳。


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