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都市再生機構西日本支社 塩野孝行副支社長  【平成29年06月22日掲載】

対話型事業の経験活かして

都市再生・ストック・技術監理


 「入社して33年、自治体との共同事業や再開発事業に携わり、地権者等と対話してきた経験を今後も活かせれば」と就任にあたっての抱負を語る。URは行政や住民、企業との連携や協議を通してまちづくりを行ってきた実績があり、「言わば対話型事業を行える技術力を持った組織」とする。

 西日本支社の特色としては、都市再生事業はじめストック事業、ニュータウン、住宅経営まで幅広く事業を行う「総合支社」とする。これら各部門と連携して対話型事業を活かせる組織であり、「これら特色を活かしてまちづくりのお手伝いができれば」と西日本支社ならではの事業展開に意欲を見せる。

 副支社長として都市再生部門とストック部門、技術監理部門を担当。都市再生では、地方公共団体や事業者と連携し、まちの進化を支援。ストック事業では、「団地はまちの構成要素」との考えの下、地域ニーズに合わせた取組みを行い、技術管理では、各種計画を支えるものとする。

 都市再生事業では、うめきた2期に代表される進行中の事業の着実な推進と計画段階の事業では協議により道筋をつけることとしながら、新規事業の掘り起こしも重要とし、「大都市や地方都市、密集市街地など課題の残る地区があり、そういった部分でURが支援できる地区はあると思う」。

 また、URのもう一つの役割として、再開発等のまちづくりにおいて、実績やノウハウを持たない地方公共団体等に対する補完機能の役割を挙げるとともに、「都市再生において民間事業者の事業環境を整備することも仕事で、URが参画することによる事業自体の信用力が増すこともあります」。

 ストック事業に関しては、時代とともにまちや地域、住まい方も変化する中、「団地はまちの構成要素の観点からも暮らしを支える器として、それら変化に応じて団地も変化し、まちの構成要素としての役割を果たすことも必要」とストック事業の重要性を指摘する。

 現在、事業中の香里団地や新千里東団地、泉北竹城台1丁等での事業を着実に進めていくとし、特に新千里東町と泉北竹城台1丁は、「URで初めてのニュータウンにおける建替事業で、先駆けとしてURのストック事業がどのような理念で実施されるかを関係者に説明しながら丁寧に進めていきます」。

 また、UR団地に住んでいた体験から、「UR団地は居室だけでなく、周辺環境の良さも魅力」であることを実感。このため団地と周辺を含めて、ディティールを見る虫の目、全体を俯瞰する鳥の目の2つの視点から見た「まちの視点」が必要と述べ、その上で、行政の取組みを重ねる連携が必要と指摘する。

 技術監理では、設計や検査などものづくりを具体化させる部門であり、ものづくりに関する技術が求められ、「自転車と同じでこぎ続けなければ倒れてしまうように、技術開発も止めてしまうと途絶えてしまう」とし、阪神淡路大震災の復旧や復興事業を例に「これまでURが培い、積み重ねてきた技術が貢献しています」。このため若手技術者への技術の継承の必要性を強調する。

 西日本支社は2回目の勤務。10年前は再開発事業や防災街区事業を担当。その一つが淀屋橋オドナで、着工から竣工まで見届けた。今回、再訪したオドナでは、「当時、御堂筋で足もとに店舗がなかったが、現在は店舗も増え明るくなっていると」とその波及効果を確認。

 また防災街区整備事業では、門真市本町地区で、初動期まで関わったが、現在では、建物も完成し、それにより周辺に更新が連鎖したことで、まちの姿が一新していることに感慨を受け、「URの取組みの成果」と満足げに語る。

 思い出に残る事業は、東京新宿区の跡地活用事業で、「初めて任された現場」を挙げる。84人の地権者の意向に合わせ、「84通りの住戸計画を作成した」ことで、「対話型事業を学んだ自らの原点」とする。

 趣味は、国宝建築や歴史あるまち並みを巡る「街歩き」で、国宝建築180棟を訪問。モットーは、焦らずにコツコツの意で「ゆっくり歩けば遠くに行ける」。入社の動機は「公団(当時)は自由な空気を持っていること」。群馬県前橋市出身。59歳。

 
 
塩野孝行(しおの・たかゆき)
昭和59年3月千葉大学大学院工学研究科建築学専攻修了、同年4月住宅・都市整備公団、平成15年7月都市基盤整備公団土地有効利用事業本部業務第二部晴海地区事業計画課長、同16年7月独立行政法人都市再生機構東京都心支社業務第二ユニット市街地整備第二チームリーダー、同18年6月西日本支社業務ユニット市街地再生チームリーダー、同20年6月本社業務第二部市街地整備チームリーダー、同21年6月本社業務企画部都市再生推進第一チームリーダー、同22年7月本社都市再生企画部企画第二チームリーダー、同23年7月東日本都市再生本部第四エリアマネージャー、同25年4月同密集市街地整備部プロジェクトマネージャー(墨田)、同26年11月独立行政法人日本スポーツ振興センター新国立競技場設置本部企画調整役を経て、今年4月より現職に。


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