日刊建設新聞社 CO−PRESS.COM |
(株)竹中工務店 丁野成人大阪本店長 【平成29年06月08日掲載】 |
社会に最も貢献する企業に BIMで圧倒的No.1を目指す |
「大阪本店として策定した3カ年計画の実現に向けた取組みを進めていきたい」と就任にあたっての抱負を語る。同社では2025年に向けたグループ全体の成長戦略を策定し、そのうち2014年から16年までの3カ年計画では、安定経営を確保し飛躍に備える期間とし、今年度からの3カ年計画は、グループ全体の力で社会に価値を提供することを戦略としている。 |
|
前3カ年計画はある程度の目標は達成できたとし、今年度からの3カ年計画のうち、大阪本店では、「2019年に目指す姿として建築領域を取り巻くあらゆるステークホルダーと協業して、社会に最も貢献する企業となることを掲げました」。 |
|
この実現に向け、「近畿圏における建築ナンバーワンの企業力を確固たるものとすることを各部門に呼びかけました。企業力とは営業力、設計力、生産力、原価力、人材力の5つの力で、それぞれにトップとなるよう、各現場で必ず結果を出し、最終的には作業所で作品という形に残して、社会に貢献することとしています」。 |
|
計画を実行するにあたっては、今年から2019年度までのアクションプランとして「GLOW19」を策定。同プランでは▽設計施工のさらなる進化▽人材確保を含めた協力会社との絆活動▽イノベーションと他の企業との共同によるオープンイノベーション▽新築事業の減少に備えたストック領域の強化▽働き方改革で、従業員の満足度を向上させる働きがいのある会社に―の5つの方針を掲げている。 |
|
「設計施工の進化では、特にBIMで圧倒的ナンバーワンを目指します。私自身、BIMには可能性を感じています」。BIMに関しては、設計から施工、アフターケアまで顧客に価値を与えるサービスの提供に関して既に実績もあり、「業界トップクラスとの自負はあります」と自信をのぞかせる。 |
|
着工までの設計段階において意匠から構造、設備の整合性をBIMによりモデルを作り、現場での見直しや手戻りをなくすことで、「作業所の負担を軽減するもので、既にモデルプロジェクトで実践しつつあり、さらにこれを顧客向けのアフターサービスとして提供することも考えています」。 |
|
これは生産性向上や働き方改革にも活用できるとし、さらに19年度にはAIも組み込んだものも検討している。 |
|
ストック領域の強化は、「建物や設備のメンテナンス等の建物ライフサイクルだけではなく、顧客の事業ライフサイクルまでを組み込んで提案していくことを考えています」。建替か増築か改修か、予算や期間までを、様々なパターンに応じた提案を顧客に働きかけていくもので、勿論、直接的に受注に結びつくものではなくとも、「将来を見据えて種をまいておくことも必要」と先行きへの備えも怠りない。 |
|
働き方改革では、4月から社長を委員長とする抜本的生産性向上によるワークライフバランスの向上委員会が設置されており、大阪本店でも働き方改革ワーキングを立ち上げ、これまでに取り組んできた長時間労働撲滅等の各種取組みを串刺しにし、「19年度に向けて社員一人あたりの生産性や働き方満足度をどれくらい向上させることができるかの取組みを開始しました」。 |
|
働き方改革の一環として現在、本店ビル内に、どこでも打ち合わせができるようなワークプレイスを設けるための改修工事を実施している。 |
|
これら事業の運営方針に関しては、故竹中錬一氏(当時会長)の著「わが道品質経営」にある「建物に携わる全員が、正しい心で作らないと最良の作品と言えない」とする言葉を、コンプライアンス重視も含めて「もう一度噛みしめて仕事をしていきたい」と決意を新たにする。 |
|
また、協力会も含めた若手の育成については、「協力会あっての会社であり、長年課題として捉えている」とし、このため絆活動として対話を重視し、その中では受注情報の早期開示、協力会向けのインターンシップの実施、さらにマイスター制度の職種を拡大するなど、人材の確保育成にも熱心に取り組んでいる。 |
|
このほか業界動向に関しては、ここ数年は好調を維持しているとし、「インバウンド効果もありホテルや商業施設が好調で来年あたりまでは維持できると見込んでおり、また物流施設や工場等も伸びてきています」とする一方で、「関西では、万博やIR誘致に加えて、うめきた2期や中之島周辺など大型の面的開発が残されており、その辺をどう作り込んでいくかです」と、長期・短期での動向にも目を向けている。 |
|
○ | |
出身は高知県長岡郡大豊町。「小学生の頃から建築に興味があった」。入社後は長らく現場勤務が続き、「現場での自己実現」を模索する中で、ピーター・ドラッガーの著書からマネジメントの発想を感得し、「仕事に対する意識が変わった」とし、作業所長として着工から竣工まで携わったオフィスビル現場が「その集大成」であり、さらにバリューイノベーションとして新たな技術工法を採用したこともあり、「最も印象に残る仕事でもある」と言う。 |
|
|
|
Copyright (C) NIKKAN KENSETSU SHINBUNSHA. All Rights Reserved.
当サイトを利用した結果に関するトラブルなどに関しては、当社としては一切責任をとりかねます。