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日本道路建設業協会関西支部 池田朗支部長  【平成29年06月05日掲載】

当面は大規模修繕工事に期待

アイペーブメントの舗装を推進


 日本道路建設業協会関西支部の新支部長に就任した大林道路の池田朗・大阪支店長。現在の状況について、ここ数年は回復基調にあったものの、先行きは「厳しいものがある」とし、特に近畿では、新名神高速道路等の大型工事がピークを迎え、淀川左岸線延伸部や大阪湾岸道路西伸部の事業化も決まったが、「まだまだ先の話で、当面は大規模更新事業に期待したい」と語る。その池田支部長に、今後の支部活動や舗装業界の課題について聞いた。

■まずは、現在の道路を取り巻く環境について。

 国の平成29年度予算での公共事業費が6兆円と、ここ数年横ばいとなっておりますが、道路関係では維持・修繕費が昨年度に引き続き増額されたことについて感謝したい。ただ近畿では、京奈和自動車道や北近畿豊岡自動車道が開通し、新名神高速道路では、それぞれの現場が最盛期を迎えてはおりますが、一部区間では供用を開始するなど、施工を担当する協会各社の手持ち工事が少なくなっており、先行き厳しくなるのではと懸念しております。
 関西では、大阪万博やIR誘致に向けた活動が展開されておりますが、仮に計画が決まったとしても我々にとっては、まだまだ先の話です。また、淀川左岸線延伸部や大阪湾岸道路西伸部の大型プロジェクトも事業化が決まりましたが、これも同様に舗装業界にとってはかなり先のことになることから、高速道路会社の大規模修繕に関しては発注もあり、期待はしております。

■その中で協会としての活動は。

 先日、高野山へ行きましたが外国人観光客も多く、それも都心部と違い各国からの人が集まっており、関西の観光資源の豊かさに驚きました。このインバウンド効果をさらに活性させるために、道路業界としても環境舗装や無電柱化等の分野でお手伝いできる部分があると思っています。
 また、これまで京都や大阪、奈良を中心としていた観光資源と他の地域の観光資源をリンクさせるのが道路であり、新たな道路の供用は、それをさらに広げることになる。そういった地域をつなぐ意味においても協会としても様々な提案ができるのではないかと思っています。

■防災対策においても道路の果たす役割は大きい。

 関西は、阪神淡路大震災を経験している地域であり、その経験を踏まえて巨大地震に対する危機管理体制を強化することも重要です。その体制を構築する上においては担い手確保が必要であり、そのためには作業環境の改善等も重要となってくることから、協会としての結束を強め、災害への備えに万全を期したいと考えております。

■その担い手確保も含めた支部活動はどのように。

 人材不足は厳しい状況にはありますが、舗装業界は若い人が結構いることから、そこのケアをきっちりしながら、この流れを続けていきたい。そのため、研修会や講習会、現場見学会等を実施していますが、今後は一般の方を対象とした見学会の開催も考えています。
 支部活動については、各委員会が中心となりますが、全体を通してはコンプライアンスを遵守しながら活動を展開していきます。
 ただ課題としては、やはり担い手の確保で、これは支部や協会に限らず、建設業界全体の課題となっています。これには長時間労働の是正をはじめとした労働環境改善へ対応していかないと成果は出ないと持っています。さらに生産性の向上も課題です。国土交通省ではアイコンストラクションを推進されておりますが、これに対して道建協では、ICTを活用した道路舗装を推進するため、「アイペーブメント」へ取り組むこととし本部に推進本部を設置しており、これを進めていくことも今年度の活動の一つとなっています。
 ICT施工に関しては、土木工事に比べ、道路の方が推進しやすい環境にあると思っています。道路の場合、断面が単純であり、その中でICTが活用できれば、その後は延長していくだけでよく、言わば線から面へ拡げるだけになります。また、コンクリート舗装でもICTはかなり進んでおり、これに出来形管理や品質管理も含めた、トータルな形でのICT施工ができれば生産性向上も実現できると思っております。
 また、今年度からは、道建協が創設した舗装診断士の資格制度が新たに始まりました。これは、舗装の効率的な維持管理や更新に寄与するため、舗装の診断ができる人材を育成するもので、ひび割れや劣化等の性能低下の原因を探り、道路管理者へその対応策も含め報告し、提案していくものです。今後は、コンクリート診断士と同様に、発注に際して舗装診断士の配置が義務付けられるような方向になればと思っています。

■今後の活躍を期待しています。

 思い出に残る仕事では、秋田県での自動車道路現場での勤務を挙げる。冬の間は、「毎朝、雪に埋もれた道路の除雪作業に追われたことが忘れられない」とする。趣味はゴルフ。学生時代はサッカー部に所属し、今でもJリーグの試合観戦にスタジアムに足を運ぶ。サッカー部時代に教えからモットーは「勝負」。東京都出身。

池田朗(いけだ・あきら) 
 昭和54年3月日本大学理工学部土木工学科卒業、同年4月大林道路入社、平成8年6月上信越道豊田工事事務所所長、同10年7月横断道夕張工事事務所所長、同16年5月関東支店多摩営業所所長、同22年4月理事、本店工務部部長、同24年4月執行役員本店工務部部長、同27年4月常務執行役員大阪支店長。61歳。


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