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大阪府住宅まちづくり部 山下久佳部長  【平成29年05月22日掲載】

密集市街地対策

道路整備と合わせ前進

安全・安心の実現を第一に


 今年4月、部長公募により就任した大阪府住宅まちづくり部の山下久佳部長。グランドデザイン大阪をはじめ、大阪の将来像を描いた各種の計画策定に関わってきた。同部の使命である「魅力ある都市空間の創造」の実現には、様々な課題もあるが、夢を思い続ける熱意が不可欠でもある。「これまで携わってきた計画を自ら実行したかった」と公募の動機を語る山下部長に、就任にあたっての抱負や今後の事業展開を聞いた。

■初めに部長公募の経緯からお聞かせ下さい。

 総合計画の策定に始まり、将来ビジョン・大阪とグランドデザイン・大阪、さらに昨年12月に策定されたグランドデザイン・大阪都市圏と、それぞれの策定に係わってきましたが、これら計画を実行する時期に公募があり、それらに携わった身としては、自らこれを実現したいと思い応募致しました。

■就任にあたっての抱負と、住宅まちづくり部の役割は。

 住宅まちづくり部の使命は、住まいとまちづくり、都市空間の創造を通じて府民の安全・安心、活力ある生活を生み出して、府民の幸せを実現することにあります。これは永続した使命であり、その実現のための各種施策を実施しておりますが、その中の課題としては、まずは安全・安心の実現が挙げられます。
 その第一の取組みは、密集市街地対策で、府域に残る約2248ヘクタールの「地震時等に著しく危険な密集市街地」を、平成32年度を目標に解消するため様々な施策を推進しています。これと併せて、災害時の緊急物資輸送路となる広域緊急交通路沿道の建物倒壊による道路閉塞を防ぐため、建物の耐震化を進めていきます。

■具体的な取組みを。

 私自身、密集市街地対策との係わりは深く、ライフワーク的な部分があります。昭和62年に現在の都市整備推進センターの前身であるまちづくり推進機構から始まり、平成13年には国の都市再生プロジェクトに合わせ、密集市街地対策を都市再生緊急整備事業として国家プロジェクトに位置付けるなど、節目節目での係わりがありました。
 事業は、計画当初に比べ、今年度では予算も7倍となりましたが、取組みでは、密集地域の中にあった都市計画道路については、これまで手付かずの状態でしたが、平成27年度から都市整備部との連携により、密集市街地対策として住まち部の予算を充て、整備していくことになりました。これにより道路整備と合わせて取り組むことが可能となりました。

■既に寝屋川大東線や三国塚口線で事業に着手されております。

 また、地域によっては、地域内での小・中学校の統廃合が進んでおり、廃校となった学校跡地を民間に開放し、その条件として密集市街地への投資や公共施設整備を促すことも出来るのではと思います。

■なるほど。

 そもそも、密集市街地は、まちの中でも利便性が高く良好な立地にあります。このため公共施設と住宅整備に都市計画道路をセットで実施することで新たな投資を呼び込むことができると考えています。今年度は、取組み期間の中間点になることから、これまでの予算を含めた事業効果等を検証し、今後の方向性を探るため懇話会を立ち上げ、秋頃には中間とりまとめを行い、平成32年度までにどういう道筋で解決できるのかを明示できればと考えています。
 また、グランドデザインでは、これら施策により都市の安全・安心を確保して民間投資を集め、まちの発展を図り、経済を活性化させることで利潤を生み出し、その利潤をさらなる安全・安心をはじめとした施策に回していくといった好循環により大阪の発展につなげていくことを目指しています

■建設業界では、担い手の確保育成が課題になっています。

 昨年12月に、「大阪府人材確保推進会議」が立ち上げられました。その中には建設業も含められていたことから、知事にも建設業の人材不足に関する危機意識が共有されたものと思っております。建設業の人材確保に向けては、社会保障制度や女性にも働きやすい職場環境の整備などにより、業界全体のイメージを上げていくことが重要です。また、ものづくりは夢のある世界だと、私は思っており、多くの若者や女性が建設業界に入っていただくことで、現在の環境を変えていただきたいと思っています。
 これまでも、業界団体と連携し、高校生を対象とした現場見学会、設計コンクールのあすなろ夢建築等を通じて、ものづくりの楽しさを理解してもらうための取組みを実施してきました。
 今後も、人材確保推進会議での議論を踏まえて、さらなる職場環境の改善や業界のイメージアップを図っていきますが、密集市街地対策をはじめとしたまちづくりには、建設業界の力が必要で、今後もいろんなアイデアの提供や創意工夫をお願いしたいですね。

■これからの活躍を期待しております。

 「大阪を変えたい」が入庁の動機。その思いの中で各種の都市計画に携わり、グランドデザイン大阪の策定では、中心的な役割を果たすことにつながった。好きな言葉として、これは、海底2万マイルや透明人間の作者であるSF作家のジュール・ヴェルヌの「人が想像できることは、人は必ず実現できる」から「思い続けているものは、必ず叶う」を挙げる。
 「趣味は仕事」と笑いながら、休日は、「なるべく仕事のことを考えないように」と、街歩きを実践。自らの思いを叶えるため、今後の舵取りに期待したい。横浜生まれで大阪育ち。大阪市在住。

 山下久佳(やました・ひさよし)昭和59年3月京都大学大学院工学研究科卒、同年4月大阪府採用、平成5年4月商工部産業政策課主査(大阪府中小企業団地開発協会開発部企画課係長)、同13年4月建築都市部都市整備推進課課長補佐、同18年4月住宅まちづくり部居住企画課参事、同20年8月同居住企画課参事兼同政策企画部企画室参事、同21年4月同居住企画課長、同23年4月同住宅経営室長、同24年2月同住宅経営室長兼同副理事、同年4月同大都市まちづくり推進室長、同25年4月同都市空間創造室長、同26年4月同技監。58歳。


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