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大阪府住宅まちづくり部 堤勇二部長  【平成28年02月08日掲載】

まちづくり政策に新ビジョン

密集市街地対策や府営住宅移管等で成果


 良質な住宅の供給と魅力的なまちづくりを目指し、様々な施策を展開する大阪府住宅まちづくり部。事業推進にあたっては課題も多いが堤勇二部長は、それら課題解決に向けて着実な取り組みを進め、来年度についても新たな事業展開にも意欲を見せる。その堤部長に、それぞれの進捗状況と今後の見通しについて聞いた。

■今年度の事業状況について。

 今年度は部として、活力・魅力ある都市空間の創造と府民の安心・安全の確保の二本柱で事業を実施してまいりました。都市空間創造では、「グランドデザイン・大阪」の推進、大阪に住まうということについて考えた「住まうビジョン・大阪」の策定、府営住宅の大阪市への移管の3つ、安心安全の確保では、密集市街地対策と空き家対策、耐震対策の3つが、それぞれの柱となっています。
 「グランドデザイン・大阪」では、うめきた2期で8ヘクタールに及ぶみどりを確保し、うち4.5ヘクタールを都市公園とする事業費として約77億円を予算化でき一歩踏み出させたと思います。
 「住まうビジョン・大阪」の策定では、人の幸せは住まいが基本との考えのもと、今後の住宅まちづくり政策の大きな方向性を中間とりまとめとして示すことができました。これまでの大阪府の住宅政策は、長期的なビジョンがないと言われていましたが、今回、民間住宅までを含めた長期的な視点での方向性を示すことができました。

■まちづくり政策については先頃、審議会から知事答申の素案が提示されました。

 府営住宅の移管については、13万7000戸の1割程度を昨年8月、大阪市に移管しました。これは、市町のまちづくりに府営住宅を活用してもらうものです。これまで各市町のまちづくりに関しては、そこに府営住宅があるために、自由な発想ができず、まちづくり計画に支障を来す部分もありましたが、移管によりそれを解消することが可能になりました。
 また、密集市街地については、昨年7月に、平成26年に立ち上げた密集対策チームの会議を現場である寝屋川市で初めて市長出席の下、開催しました。これまで府が現場に入って市と一緒にやるといったことがなかっただけに画期的なことです。事業では何十年間にわたる課題であった路線の整備に着手したもので、実施にあたっては都市整備部とともに国とも連携して実施するものです。
 空き家対策としては、国の特別措置法に基づき、市町村が空家対策を実施する際に参考となる運用マニュアルを府としてまとめました。また、空き家を含む中古住宅市場活性化の一つの手法であるDIYを普及しようと、民間団体と連携して、ATCで3坪の家を建てるワークショップを行いました。民間の力をお借りして流通に乗せることで空き家の解消にもつながるもので、新たな取り組みと言えます。
 耐震対策では、民間木造住宅を対象とした啓発活動を実施しています。昨年には大型商業施設で初めて起震車による体験イベントなどを実施してPRに務めました。

■来年度の取り組みについて。

 「グランドデザイン・大阪」につきましては、うめきた2期の土地区画整理事業に必要な予算を付け、大阪市とともに本格的に事業に着手する予定です。また、大阪府域全体を対象とした「グランドデザイン・大阪都市圏」の策定作業を進めております。この中では、行政区域を越えて他府県とも連携した『広域連携型』都市構造を目指すとともに、北陸、山陰や四国までを視野に入れ、大阪都市圏の都市空間の将来像も描くこととしています。
 「住まうビジョン・大阪」に関しては、行政計画である「大阪府住宅まちづくりマスタープラン」が改定期を迎えることから、この中にビジョンを反映させます。マスタープランの改定は5年に1度行っており、これまでは施策の手直しや表現上の見直しでしたが、今回の改定ではプランの中に理念としてのビジョンを盛り込む予定です。
 府営住宅の移管については、残りの12万戸あまりについての移管の協議を進めていきます。既に大阪市以外の市町と協議を行っており、来年度は移管に積極的な市に職員を派遣し、市の職員を府で受け入れる人材交流を実施することも視野に連携体制を確立し、スムーズな移管を目指します。

■なるほど。

 密集市街地では、門真市で新たな道路整備とセットで取り組む予定です。従来の住宅個別単位ではなかなか進まない状況にありましたが、道路と合わせて一挙に実施することで、防災機能の向上はもとより、避難路の確保と延焼の遮断もできます。また、豊中市庄内でも実施しており、来年度は寝屋川市と門真市、豊中市の3市で事業に取り組む予定です。
 空き家対策では、空き家を単に除却してしまうのではなく、例えば、フリースクールや年寄りの憩いの場、子育て等に使用できるようリノベーションを実施しながら、周辺の公共施設とセットで活用するなど、市町村が「まち育て」といった大きな視点で取り組むための「空家まち育て戦略・大阪」を取りまとめ、市町村と連携して取り組むことを考えております。
 また、耐震対策では、「住宅建築物耐震十箇年戦略・大阪」を作成し、平成37年度までの10年間で従来目標であった耐震化率を90%から95%に引き上げることを目指していきます。

■ニュータウン再生や建設業の担い手確保も課題です。

 ニュータウン再生では、泉北ニュータウンの泉ケ丘駅前における近畿大学医学部等の立地など、新たな動きが見られることから、これを機にさらなるまちの活性化を進めようと、南海電鉄をはじめ、民間事業者と話し合いを進めています。
 そもそもこの地域周辺には、高校や大学が集積しており、学生の町のようになっていることから、単なる駅前開発ではなく、都市全体が変化していくのではと思っております。将来像を描く「グランドデザイン・大阪都市圏」の中でも、若者が集まり賑わう学園都市のようなエリアとしてイメージできると考えています。
 成人病センター跡地に関しても、「グランドデザイン・大阪」では大阪城・周辺エリアとして位置付け、すでに地元の意見を踏まえた「まちづくり方針」を策定しています。跡地利用についてもこの方針に沿って検討をすすめています。
 また、建設業の担い手確保では、若手人材の育成ということで、若手技術者を表彰する制度を創設します。府内の建設団体と一緒になり、若手の励みなるような制度にしていきます。

■今後も事業執行にご尽力下さい。



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