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大阪府都市整備部 吉村庄平部長  【平成28年02月01日掲載】

インフラ強化など3つの柱

新たな区切りの来年度


 都市の骨格をなす基盤整備には長期にわたるものが多いが、大阪府都市整備部の吉村庄平部長は来年度について、「これまで進めてきた事業が形となって表れてくる」とする一方で、「新たな事業に着手する年度」でもあるとする。道路をはじめとするインフラ整備や老朽化対策、防災・減災対策まで、同部の業務は多岐にわたるが、今年度の取り組み状況と来年度事業の見通しについて聞いた。

■まずは、今年度の取り組み状況について。

 今年度は、府民の安全・安心を確保するための防災・減災対策、大阪や関西の成長に不可欠なインフラの強化、既設インフラのメンテナンス等のインフラマネジメントの推進の3つを大きな柱として掲げております。「直面する課題をしっかりと受け止め、タイミングを逃さず動かす」事を意識しながら取り組みを進めています。

■具体的には。

 防災・減災対策においては、南海トラフ巨大地震対策を最重点施策として取り組んでいます。中でも、地震発生直後、津波到達前に液状化により防潮堤が倒壊し浸水する恐れのある箇所の対策は、神崎川筋などの延長8.7キロを対象に平成26年度からの3年間で整備することとし、これまでに約6.6キロの整備を終えました。残りの区間も平成28年度内に完了する予定です。
 治水対策においては、昨年6月に寝屋川流域の北部地下河川門真調節池と流域下水道大東門真増補幹線、門真寝屋川(三)増補幹線の一体供用を開始しました。また安威川ダムでは、9月に転流工への河川の切替えを行い、平成32年度の竣工に向けて着実に事業を進めています。

■インフラ強化では交通インフラが中心となる。

 そうですね。鉄道関係では、北大阪急行延伸について、昨年末に都市計画の決定や軌道法特許及び鉄道事業法許可を取得し、今後、事業認可や工事施行認可等の手続きを経て、平成28年度から工事に着工予定です。また、大阪モノレールの門真からの延伸についても、大阪府として事業化の意思決定を行います。(平成28年1月15日、意思決定済)平成28年度からは都市計画や環境アセスメント等に必要な調査、検討を進めていきます。さらになにわ筋線についても、大阪市はじめJR西日本、南海電鉄の関係機関とともに、事業費精査や需要予測、採算性について引き続き検討を重ねていきたいと思っております。

■来年度の見通しとしては。

 来年度は、新たな区切りの年であると感じております。平成28年度は、これまで我々が取り組んできた多くの事業が形になる年です。また、これまでに準備してきた施策等が、具体化しスタートする年でもあります。
 道路関係では、平成28年度末に新名神高速道路が供用を開始します。事業はNEXCO西日本が実施していますが、府としても箕面、茨木そして高槻のインターチェンジへアクセス道路の整備を進めております。このほか第2阪和道路は平成28年度末全面開通を果たします。和泉市から和歌山方面に至る国道480号も平成28年度末の開通を目標に整備を進めています。さらに、淀川左岸線延伸部については、平成28年度中の都市計画決定を目指しています。

■なるほど。

 また、平成29年度当初には、関西圏における高速道路料金体系の一元化が実現します。首都圏の高速道路では平成28年度より導入予定ですが、この高速道路料金体系の一元化は大阪府が最初に提案したものです。
 さらに、寝屋川流域総合治水対策では、北部と南部の地下河川を整備しております。北部地下河川の一部では、大深度地下を使用することとしており、平成28年度に都市計画決定に向けた検討を深めていきます。

■大深度地下利用は大阪では初めてですね。

 ええ。近畿圏では、神戸市の大容量送水管整備事業の一例だけです。

■インフラマネジメントについては。

 これまでの取り組みを踏まえ、平成27年3月に「都市基盤施設長寿化計画」を策定しました。計画に基づき、インフラ施設の維持管理をしっかりと実施するとともに、更新時期のタイミングを逃さないなど、適切に取組んでいきます。

■高度成長期に整備されたインフラの大量更新時期を迎えます。

 府内のインフラ施設の維持管理については、府内7つの土木事務所と市町村、大学とが連携し、地域維持管理連携プラットフォームを設置しており、技術力向上に向けた取り組みや市町村に対する技術支援を行っています。市町村が管理する橋梁の点検など、発注ロットが小さく受注者がなかなか決まらないケースがあることから、平成27年度より府が点検業務の一括発注の支援をしており、既に3市1町で実績があります。ほかにも一括発注実施の意向を示されている市町村がありますので、引き続き取り組みを拡大していきます。
 インフラの更新は、既存の機能を損なわずに実施することが求められ、新設とは異なる難しさがあると思います。しかし、今後は、更新の需要が増えてきますので、しっかりと対応していきます。

■ありがとうございました。



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