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住友電設(株) 磯部正人社長  【平成28年01月25日掲載】

中期経営計画 無事ゴールへ

次期計画 チャレンジングなものに

海外事業、次の飛躍に向け基礎固め


 住友電設梶i大阪市西区)の磯部正人社長は、このほど会見を行い、今期の取り組みと来期の見通しについて語った。今期については、「順調にきている」とし、現在の中期経営計画の最終年にあたることから、「気を抜かずゴールを目指す」と語り、新たな中期計画が始まる来期では、「さらに前進するためチャレンジングなものとしたい」と意欲を見せた。

 今期を振り返って磯部社長は、「受注が回復するとともに現場での利益改善も進み、上期では増益となったことで、まずは順調な1年であったと言える」とする。先行きは不透明としながら、「事業的には上期に引き続き順調で、年度末決算では公表値を上回るよう努めていきたい」とし、特に今年度は中期経営計画ビジョン15の最終年度であり、「計画初年度から目標に掲げた数値は全てクリアしており、今年度もクリアすることで無事ゴールすることを目指す」とした。

 課題については、「安全と品質の確保、コンプライアンス」を第1に挙げる。安全面では社員教育を徹底して図っていくこととし、コンプライアンスに関しては、「2年前の教訓を風化させることのないよう全社的に常時、訴えていく」と強調した。

 受注環境では、「順調な部門と苦戦している部門が明確になってきた」。特に一般電気工事が好調で、「関東を中心に順調に推移している」としながら、メガソーラーがピークアウトとなり、通信インフラも携帯基地局や電波関連、光ファイバーについても「頭打ちの状態で、大きくは期待できないだろう」との見方を示す。

 海外事業では、主力のアセアン諸国が中国経済の減速等によりやや厳しくなっているが、「成長率は依然として高いことから、将来的には回復が望め、次の飛躍に向けた基礎固めとして、営業力や施工力、原価率向上に努めていく」とし、国内では、関東での建設需要の高まりを受け、協力会社も含め、全社的なフレキシブルな組織体制を目指し、「残り3カ月、ビジョン15の最終仕上げと、次期計画に向けて、安全と品質を第一に体質を強化していきたい」と決意を述べる。

 来年度については、次期中期経営計画についても検討しているとしながら、「やるべきことは変わらず、質の向上と強靱な体質を目指してブラッシュアップしていきたい。数値に関しても、現状からさらに前進するチャレンジングな計画を目指す」との姿勢を打ち出す。

 市場環境については、「電力小売りの自由化など電力を取り巻く状況が変わってきた」としながら、電力の流通設備の更新など、「安定した需要はある」とする一方で、風力や水力など、新電源絡みの送変電分野、メガソーラーパネルと既存設備との接続における送電関係でもある程度の需要が見込まれることから、「当社の強みである総合力を活かすこと期待でき、技術力や施工力、コスト競争力にさらに磨きをかけていく」。

 また、住友電工との連携による大型蓄電池システムをはじめ、超電導ケーブルシステムやウインドプロファイラー等の事業を手掛けたことから、「これらの実績をベースに住友電工グループとしてのシナジーを活かしていきたい」とし、さらに、LANネットワークでの従来からの強みを活かし、内線工事とのドッキングや新たな技術について、「組織の壁をなくし、各メーカーとの連携を強化することでトータルでの力をつけていきたい」とした。

 先行きに関しては「正直読めない部分が多い」としながら、少子化による人口減では、それほど消費の伸びは期待できないことから、「過度に規模を追わず、当社らしく身の丈にあった質にこだわることで、一定の仕事量も確保できる」と自信をのぞかせる。

 全社シェアの二割を占める海外事業では、「このシェアを維持しながらも競争激化により営業力やコスト競争力の強化に取り組む必要はある」としながら、主力であるタイ、インドネシアの二大拠点に加え、 カンボジア、ミャンマーでの強化を目指し、タイ、インドネシアのテクニカルセンターを軸に、人員の育成強化を図るとしている。

 一方、人材の確保・育成では、全社的な人事交流を実施しながら、新規採用はもとより再雇用や中途採用などで「一歩一歩、着実に進めていく」とともに、 「グループ総合力での対応、組織の壁を越えた取り組み」を挙げながら、「社員教育が重要で、個々のレベルアップをさらに追求していきたい」とする。

マルチ技術者育成

 また、現中期計画で位置付けられた、部門毎の人材教育体制の見直しによる全社教育をさらに進め、次期中期計画において、技術者の専門性を高めながら他分野への理解も深めるマルチ技術者の育成も検討。 特に海外は一括発注のため、より総合的な知識が求められることから、「個としての総合力を身に付けることも必要では」とする。

 来年度の見通しについては、「質にこだわる経営として、無理な受注は避け、現場でのコストダウンや顧客ニーズに応えることでまだまだ現場利益を高めることはできる」と意欲を見せた。



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