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近畿地方整備局 田中貢 総括防災調整官 【平成27年09月28日掲載】 |
災害対応で幅広く協定 自治体、建設業界団体、大学など 地元業者の力は不可欠 |
台風や集中豪雨による水害や土砂災害が全国各地で多発するなど、自然災害は新たなステージに入ったとされ、これに加え近畿では、南海トラフ巨大地震の発生も懸念されている。これら大規模災害に備え、近畿地方整備局では、「国土交通省本省と連携し、地域防災計画等を策定するとともに、災害時の職員派遣から資機材提供までを行いながら、管内の自治体や建設業団体等と連携しながら、防災・減災対策に取り組んでいる。これら災害支援にあたり、職員の派遣等を指揮する田中貢・総括防災調整官に、近畿地整の取り組みを聞いた。 |
■まずは、総括防災調整官の役割についてお聞かせ下さい。 |
災害が発生した場合、基本的には、道路や河川等の各担当が対応しますが、それら全体的な取りまとめを行います。台風等の場合、2〜3日前から気象台からの情報を収集して、局内に周知し、事前に備えます。また近年では、直轄で管理している施設だけでなく、自治体が管理している道路や橋梁、河川の被災状況調査等の情報収集や情報提供、さらに場合によっては資機材の提供等の支援も実施しています。 |
■災害対応に関しては、管内各自治体はじめ建設業団体、大学等と防災協定を結んでおりますが、現在の状況は。 |
管内では2府5県と、市町村では政令市を含めた215市町村のうち、210市町村との間に協定締結又は申し合わせを行っており、残りの市町村についても出来るだけ早期に締結を交わしたいと考えています。大学では和歌山大学と神戸大学の2校、業界団体等とは各府県建設業協会はじめ日本建設業連合会関西支部、土木学会関西支部など36団体のほか、報道機関等と協定を結んでおります。また、自衛隊や下水道事業団等の行政機関とも協定を締結しております。 |
■自治体や業界団体との協定内容は違ってくるとは思いますが、自治体との内容は。 |
自治体に関しては主に支援に関する内容になります。災害が発生した場合に情報収集や連絡調整を行うため、まずリエゾンを派遣します。TEC―FORCEは自治体の要請を受けて出動することになりますが、リエゾンが収集した情報に基づいて出動することになります。TEC―FORCEは、被災の実態調査と復旧に係る工法や費用の概算試算等を実施します。出動については、自治体からの要請に基づき派遣しておりましたが、現在では協定を結ぶことで災害発生時の要請や連絡調整、あるいはTEC―FORCEの派遣が円滑に実施できるようになりました。 |
■なるほど。 |
また、被災の内容によっては自治体等からより高度な専門家の派遣を求められることがあり、その場合は大学の学識経験者や筑波にある国土技術政策総合研究所から専門家を派遣しております。災害を未然に防ぐ取り組みに専門家を派遣することもあります。高石市の例ですが、臨海埋立地にガスタンク等が立地しているコンビナートがあり、地震発生時にも液状化することなく緊急車両の通行が確保できるように道路の液状化対策を実施していますが、対策にあたっては国総研の専門家を派遣し、調査から工法の選択まで相談にのりました。大学との協定の場合、和歌山大では、土砂ダム等の観測に必要な紀伊山地の地質研究のデータ蓄積があり、神戸大学では、防災に関し多くの研究成果を有し、またD―MAT等の救急医療に関しても期待するところがあります。 |
■人的支援以外の支援は。 |
災害対策ヘリによる調査をはじめ、リエゾンやTEC―FORCEの宿泊や情報収集機能を備えた対策本部車、危険箇所での作業を行う無人作業車、土のう造成機等を自治体の求めに応じて派遣します。夜間作業用の照明機や監視カメラの設置、場合によっては衛星通信設備を活用してリアルタイムで現場の状況を監視することもできます。 |
■建設業団体等の協定は。 |
基本は出動要請になります。被災直後、どの業者が動けるかどうかが分かりませんから、協定先に要請して対応可能な業者を選定してもらいます。また、出動要請にあたっては、各業界団体も地元自治体等と別途に災害協定を締結していることから、それぞれの協定先から出動要請を受けた場合、どれを優先すればよいのか混乱するため、府県を含めて話し合いを行い、ある程度の優先順位は決めてあります。ケースバイケースではありますが、被災規模や孤立集落等の救出等は最優先になります。 |
■いずれにしろ、現場での実働部隊となる建設業の役割は大きい。 |
やはり大きなものがあります。地整としても災害支援用の資機材等の備蓄は行っておりますが、それを被災現場まで運び、災害対応をするには地元業者の力が不可欠です。大手企業はもとより、地元業者が健全に発展していくことが重要ですね。 |
■ありがとうございました |
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