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大阪府都市整備部 吉村庄平部長 【平成27年09月14日掲載】 |
府民の安全・安心守り 成長に向けた施策推進 インフラ整備/災害へのソフト対策/技術者育成 |
大阪府内における社会基盤整備を担う大阪府都市整備部。現在は、高度成長期に整備された多くのインフラが更新時期を迎え、また、南海トラフ巨大地震等の大規模自然災害への備えが急務となるなど、取り組むべき課題は山積している。7月に就任した吉村庄平部長は、「府民の安全と安心を守り、大阪の成長に向けた施策を推進する」と語る。その吉村部長に、就任にあたっての抱負や今後の見通し等を聞いた。 |
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吉村部長はまず、都市整備部のミッションとして、「都市インフラの整備や維持管理を通して、府民の安心と安全の確保とともに、大阪はもとより関西全体を元気づけるための都市基盤整備」の2点を挙げる。防災・減災対策では、南海トラフ巨大地震はじめ自然災害等への対応について、従来のハード中心としていた対策に、「ソフト対策も含めてしっかりと対応していく」とした。 |
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関西の成長に資するインフラ整備については、鉄道や道路等のアクセス整備を強調。「人が集まってくるツールを整備することにより東京一極集中とされる中で、東西二極のうちの一極を大阪が担えるような基盤を整備していきたい」。 |
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就任にあたり職員に対しては、「仕事をする上では、現在直面している課題をしっかりと受け止め、課題から逃げないことと、タイミングを逃さず仕事を進めていくこと」を訓示。「現在、モノレールの延伸事業化に向けた検討を進めているが、計画沿線地域の方々が熱心に要望されており、このタイミングを逃さずに実行に移していくことが重要と考えている」。 |
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また、仕事への取り組みにあたっては、常に新たな発想が必要だとし、そのためには「慣例に囚われないことが重要。前例や法律に縛られず、必要であれば法改正も辞さないといった気持ちで取り組みたい」と強調する。 |
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この思いには、かつて大阪府が全国に先駆けて実施した事業が背景にある。その代表的な事例が流域下水道で、50年前に大阪府が初めて手掛け、現在では全国で展開されている。また部長自身、若手の頃に地下河川計画を始めるなど、他に例を見ない発想を次々に打ち出しており、「大阪にはそういった気風があり、今後もこの気風を受け継いでいきたい」とした。 |
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具体的な事業のうち、安全・安心の確保では現在、南海トラフ巨大地震対策として、神崎川等で防潮堤液状化対策工事を実施。浸水対策や集中豪雨等による土砂災害防止等にも取り組んでいる。防潮堤工事では、「緊急で実施すべき箇所については、発注も目途がつき、予定通りに3年間での完成を目指す」と自信をのぞかせる。 |
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また、浸水や土砂災害対策については、ハード面での充足はもとより、住民に対する情報公開やリスク開示等のソフト対策にも力を入れ、自主防災や避難行動など、「府民との役割分担による取り組みを進めていきたい」とする。 |
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関西の成長に資するインフラ整備では、新名神高速道路の平成28年度末の供用開始に合わせ、高槻と茨木、箕面に設置されるインターチェンジへのアクセス道路の整備、淀川左岸線での都市計画決定や事業スキームの検討を進めていくほか、先のモノレール延伸事業について、「府として事業化の意思決定を図りたい」とし、採算性の検証や事業費負担について、沿線市との協議を進める。 |
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また、昭和40年代に整備されたインフラのメンテナンスについては、都市基盤長寿命化計画に基づく点検によるデータを蓄積し、そのデータから構造物の状況予測を行い、必要な措置を講じていくインフラマネジメントによる取り組みを推進するとともに、今年度は、「施設ごとに補修か更新かをどう判断するかのタイミングを見極めるための検討を進めていく」とした。 |
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このほか、技術系職員が不足する市町村への支援として、7つの土木事務所に、市町村と大学で構成する地域維持管理連携プラットホームを構築し、その中で意見交換や技術的助言を行っている。さらに、市町村の橋梁点検業務について、一括発注を実施している。 |
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一方、技能労働者をはじめとする人材不足に関しては、担い手三法に基づき、適正な予定価格の設定やダンピング対策として、今年度から低入札価格調査制度で下請見積書の提出範囲を全次数まで拡大するなど厳格化しており、「現時点で低入札案件は発生していない」とする。 |
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また、若手技術者の育成を目指し、実績申告型落札方式に若手技術者評価項目を新設するなどの取り組みを始めている。「我々の仕事は建設企業があって成り立つものであり、担い手確保は重要で、今後も意見をお聞きして、現場の状況を見ながら、改善できる部分は改善していきたい」。 |
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大学院では防災研究所で学ぶ。入庁後、寝屋川総合治水計画の立案に携わり、その中で地下河川整備に関わる。その時に発案した圧力管は、今や地下河川整備におけるスタンダードとなっている。 また、危機管理室長時には東日本大震災に遭遇。被災地で津波被害を見て「ハード至上主義では限界があり、逃げることも含めたソフト対策とセットが必要であることを痛感した」。 |
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休日はソフトボールから旧街道歩き、ボーイスカウト活動と「家に居ることは殆どない」。特にソフトボールでは実年リーグで全国大会にも出場。街道歩きは現在、中山道を走破中。 |
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