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近畿地方整備局 稲田雅裕港湾空港部長 【平成27年03月31日掲載】 |
防災、国際戦略―機能強化進む港湾 防災整備、柔軟に計画を見直し 阪神港 六甲アイランドで 高規格コンテナターミナル 秋頃には暫定供用 |
国際戦略コンテナ港湾の阪神港をはじめ、多様な港湾施設が立地する近畿圏で、港湾空港行政をリードする近畿地方整備局港湾空港部では、日本海や瀬戸内海、大阪湾、太平洋と異なった海域において、それぞれの特性に応じた港湾整備や海岸整備事業を実施している。また近年では、港湾機能の強化はもとより、大規模災害への対応も求められ、そのニーズは多様化してきている。これら事業の推進に努める稲田雅裕部長に、今後の見通しを聞いた。 |
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■東日本大震災から4年が経過、その間、わが国の防災対策への考え方が大きく変わりましたが、まずは近畿地方整備局管内の取り組みからお聞かせ下さい。 |
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東日本大震災以降、防災・減災等の新たな知見に基づく考え方が打ち出されております。平成24年8月には、内閣府より南海トラフ巨大地震に関する被害想定値が発表されました。従来の想定を大きく上回る数値が示されたことから、近畿地方整備局管内ではそれまでの想定に基づいた各種計画の見直しを実施しています。 |
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■防災に減災、さらには逃げるといった考え方も示されております。 |
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大規模災害に対しては、全てハード面で対応できるものではなく、ソフト面での対策も非常に重要となります。港湾の災害対応に関しては、昨年3月に大阪湾BCP(案)を公表し、それに基づく図上訓練等を実施しておりますが、これらを通じて、例えば、航路啓開作業の優先順位をどう決めれば良いかなど様々な課題が浮き彫りになってきていますので、課題解決に向けた取り組みをさらに進めているところです。 |
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■阪神港への取り組みでは。 |
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大阪港と神戸港を、それぞれ管理する埠頭会社が昨年10月に経営統合され、阪神国際港湾鰍ェ誕生しました。同社は11月には改正港湾法に基づき両港を一元運営する指定会社として大臣認定を受けるとともに、12月には国も同社に出資しました。これにより阪神港を運営する主体が決まったわけで、今後はそのフレームをいかにフル活用していくかになります。同港ではこれまで、「集貨」、「創貨」、「競争力強化」の三本柱の政策に注力してきましたが、この取り組みを一層強化して、国際戦略港湾としての機能向上を目指してまいります。 |
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■なるほど。 |
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「競争力強化」では、国としてはハード面での整備に注力していくこととしており、国際水準の規格に対応する大水深のコンテナターミナル整備を進めております。日本の港湾整備では、埋立により開発しやすい場所で整備が進められたため、どうしても水深が浅いところが多くなります。しかし、船舶が想定以上に大型化している状況から、それに伴う航路の増深が求められております。現在では、大阪港夢洲のC―岸壁や神戸港ポートアイランド2期地区と六甲アイランドで、それぞれ高規格コンテナターミナル整備と航路拡幅・増深に取り組んでいます。特に六甲アイランドに関しては、本年秋頃には暫定供用が開始できるよう、鋭意工事を進めております。 |
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■阪神港といっても、神戸港と大阪港では異なった取り組みが必要では。 |
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神戸港と大阪港では、立地特性はもとより、その成り立ちも違うことから、ある程度の機能分担は必要です。そもそも神戸港は輸出型、大阪港は輸入型と言われてきましたが、近年では国内の産業構造の変化により輸出の急激な拡大は望みがたく、また、輸入に関しても足下では大阪港における中国からの輸入が減ってきているなどの状況もあります。現在「大阪湾港湾の基本構想」を本年秋頃を目途に発表できるよう検討しており、両港のあるべき分担の考え方なども検討を進めているところです。 |
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■観光振興の面ではどうですか。 |
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神戸港は国内でも有数のクルーズ船の寄港地となっており、一方、日本海側では京都舞I港において京都縦貫道路等の背後道路の充実により、今後ますます期待が高まっております。 |
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■建設業界に対する意見や要望がございましたら。 |
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来年度事業では、阪神港の機能強化に注力、特に先程も言いましたが六甲アイランドの高規格コンテナターミナルの暫定供用に向けた取り組みを強化するなど、実施中の事業を継続して着実に進めます。 |
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■ありがとうございました。 |
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