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兵庫県建設産業団体連合会 川嶋実会長  【平成27年03月30日掲載】

担い手確保の施策推進

各団体の取り組み結び付けて


 今月3日に設立された兵庫県建設産業団体連合会は、全国で36番目の建産連として15年ぶりに誕生した。その初代会長に就任した川嶋実・兵庫県建設業協会会長は、設立にあたり改正品確法をはじめとする担い手三法の施行等とともに「時宜を得たもの」としながら、当面は人材の確保・育成に取り組みたいとする。その川嶋会長に今後の展開等を聞いた。

 会長就任にあたっては「国の施策と合致する、担い手の確保と育成の課題に関して具体的な取り組みを進めるにあたり、国土交通省をはじめ様々な方面からの期待は感じております」と感想を語る。運営は、年2回開催する理事会と幹事会的なもので運営方針を決定。将来的には法人化も視野に入れている。また、今後は未加入の団体へも呼びかけることとしているが、「まずは現在のメンバーで、当面の課題である担い手確保に関する施策を固めていきたい」と抱負を述べる。

 設立の経緯では、5年前から実施されてきた兵建協をはじめとする元請団体と専門工事業等の建設関連団体との意見交換会がベースにある。意見交換会では、当初から元下間に共通する問題・課題はあるとの了解の下でスタートし、「常に前向きな議論を続けてきた」。

 その中で、「元請や下請、業種を問わず人手不足が最重要課題であると一致した」ことから、それら課題解決に向け、各団体の相互理解と協調の下に外部に向かって意見を発信するため、「これまでの懇話会的な場であった意見交換会を正式な組織とするため、昨年から準備を進めてきたもの」。

 建産連としての具体的な活動は、これからだが、兵建協等各団体ではこれまで、インターンシップや体験セミナー等の取り組みを実施してきていることから、「それら各団体が実施してきた取り組みを、建産連として三田建設技能研修センターの活用も含めて機能的に結びつけていくことも一つの手法」との考えも。

 特に三田建設技能研修センターは、兵建協が取り組む建設コンソーシアム事業のメンバーでもあり、技能訓練や教育研修機関としての機能やノウハウが蓄積していることから、近年では同センター活用への期待が高まっていることも大きな要因。

 また、参加各団体が自らの課題解決に建産連をどう活用し、コラボレーションしていくかの具体的な方策について議論を深めていくことも重要としながら、「建設産業に魅力を持ってもらい、次世代の若い人材がこの産業で働いてもらうためのベースとして何を改善すべきかが、今後の議論の対象となるのでは」と指摘する。

 建産蓮の本来の目的は、元下関係の改善だが、今回は人材の確保・育成が両者の共通課題であったことから、まずはその課題解決への取り組みを進めていくこととなるが、建産連の中心的役割を担う兵建協では、建設業の魅力アップへの各種取り組みを進めていることから「それらが他団体を牽引する上でのモデルになれば」との思いもある。

 また、その一方で、「建設従事者の処遇改善等も大きな課題」で、これは人材の確保・育成ともリンクしているとする。魅力のある産業の根底には、「働く人の安定した生活が保証されていること」があり、安定した雇用を保証するためには各企業が企業体力を付ける必要があり、そのためには「各企業が適正利潤を確保できるよう、安定した企業経営が見通せるような状況にならなければならない」と訴える。

 このため、改正品確法をはじめとする担い手三法と運用指針に即した取り組みの実現が不可欠であるとしながら、「このタイミングでの建産連の設立は時宜を得たものではないか」との見方を示す。

 これからの展開については、加盟各団体の活動だけでも大変ではあると思うが、「同一の課題に取り組む仲間が確認できたことで心強く思う。今後は課題を共有、提供し、相互にアドバイスをいただき、それぞれの団体がアクションを起こしてほしい」と期待を寄せた。

(文責・渡辺真也)
 


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