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大阪府都市整備部 竹内廣行部長 【平成27年01月19日掲載】 |
南海トラフ巨大地震 防潮堤液状化対策進める 淀川左岸線延伸部 来年度の都計決定を目指す |
豪雨や南海トラフ巨大地震等の自然災害に対する備えはもとより、老朽化する都市基盤の維持・更新など、大阪府における様々な課題に対応する大阪府都市整備部では、これら事業の執行に当たり、効率的で効果的な施策の展開に努めている。その陣頭指揮を執る竹内廣行部長に、今年度の事業進捗状況や来年度事業の見通しについて聞いた。 |
■まずは、ここまでの今年度事業を振り返っていただけますか。 |
年度当初から全力で土砂災害の対応に取り組んできました。特に広島県で発生した大規模土砂災害を受け、平成28年度末までに完了することとしていた土砂災害防止法に基づく警戒区域等の指定の前倒しを決定しました。さらに住民の皆さんに可能な限り早くリスクを周知するため、区域指定にかかる基礎調査の段階で調査箇所を公表することとしました。 |
■南海トラフ巨大地震に対する備えについては。 |
南海トラフ巨大地震対策、特に防潮堤の液状化対策については、対策全体を10年間で実施する計画に基づき、鋭意工事を進めております。防潮堤に関してはこれまでの高潮対策で高さについては十分対応しておりますが、地震による液状化が発生した場合、防潮堤そのものが倒壊する恐れがあることから液状化対策を実施しております。中でも、神崎川沿いの海抜ゼロメートル地帯をはじめとする迅速な対策が必要な箇所については、3年間で実施することとしており、昨年にほぼ全てを発注することができ、事業完了のメドがたちました。 |
■都市基盤の老朽化対策や維持管理での取り組みは。 |
府では、かねてより都市インフラの老朽化対策について、アセットマネジメントとして計画的な予防保全に取り組んできました。加えて、有識者からなる「大阪府都市基盤施設維持管理審議会」を設置し、将来の施設更新を見据えた検討をしていただいております。そこでのご意見を踏まえて、「都市基盤施設長寿命化計画」を今年度内に策定する予定です。 |
■なるほど |
また、これらの推進にあたっては市町村での取り組みも重要となってきます。しかしながら、市町村においては、府県レベルと比べると、どうしても人員や技術力が不足しがちとなります。府ではそうした市町村を支援するため、府・市町村・大学等による「地域維持管理連携プラットフォーム」、これは、府内土木事務所とその管内の市町村、さらに大学等が連携し、維持管理での技術的な相談や効率的な業務発注を行う仕組みづくりですが、その設置を進めております。 |
■来年度事業の見通しは。 |
依然として財政状況は厳しく、継続事業が中心になると思われます。特に南海トラフ巨大地震対策をはじめ、土砂災害対策等の府民の生命を守る安全・安心に資する取り組みに関しては、責任を持って引き続き着実に実施してまいります。その一方で、大阪の成長につながる取り組みも重要と考えており、その一つとして道路ネットワークのミッシングリンクの解消があります。淀川左岸線延伸部については、来年度の都市計画決定を目指して、現在は環境アセスメントを実施しております。これをクリアできれば事業推進へより一層の弾みがつくことになると思います。 |
■建設業界では専門工事はもとより、元請企業でも人材確保や若手育成が課題となっております。 |
将来的な懸念はあるものの、これまで、人手不足による事業への影響については特に報告されておりません。また、「土木系女子(ドボジョ)」や「けんせつ小町」といった女性の活躍など、建設業界に魅力がないわけではないと思います。ただ、東北の復興工事や東京のオリンピック関連で大阪から人材が流れていかないよう、発注方式や発注時期も考慮する必要はあると思います。 |
■ありがとうございました。 |
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