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大阪府住宅まちづくり部 堤勇二部長  【平成26年05月19日掲載】

グランドデザイン・大阪が目指す再生をこの手で

東京と違う魅力持った都市へ

さっそくマネジメントの徹底図る


 今年4月、大阪府住宅まちづくり部長に就任した堤勇二部長は、同部初の公募により選ばれたが、これまで府の総合計画やグランドデザイン・大阪等の策定に係わるなど、長年にわたり大阪の将来を見据えてきたとの想いは強く、公募への動機も「大阪の将来像を自らの手で実現したかった」と語る。「今年度は密集市街地対策が大きなテーマ」とする堤部長に、就任にあたっての抱負や事業の見通し等について聞いた。

 部長就任の抱負として「グランドデザイン・大阪が目指す大阪の再生」を挙げる。これは、以前に住宅まちづくり部で策定に係わっていたグランドデザイン・大阪が具体的に動き出してきたことと、グランドデザイン・大阪都市圏の策定が課題となってきたことにより、「それらを是非とも自らの手でやりたかったことが、部長公募への大きな動機」と語る。

 かつての所属部署で総合計画の策定に係わっていた時から「自分自身の夢」として大阪再生を描いていたとする。大阪再生はその後、総合計画から将来ビジョン・大阪へ、さらにグランドデザイン・大阪に継承される。

 「大阪は経済動向に影響されることから、常に新たな姿、将来像を持ち続けることが必要と考え、それを訴えてきました。今後もその方向性は変わりません。そのためには東京との二極構造が必要です。東京に伍して発展するための都市構造を創り上げていく必要があります」と、国内はもとより世界から見ても東京とは違う魅力を持ったメガロポリスの実現を描く。

 部の運営にあたっては、就任早々新たに設置した課長以上の「定例幹部会議」を軸にマネジメントの徹底を図る。この中では、「府民を意識すること」と「危機管理の徹底」「コンプライアンスの遵守」を訴える。危機管理では、災害事案への備えと発生時の対応、その後の再発防止等を含めた対策を挙げ、コンプライアンスの遵守は、公務員としての性質上、「府民の信用を失墜させないため」で、プライベートにおいても規律を正すことを求める。

 大阪府の職員として仕事をするにあたっては「まずは我々の仕事とは何かを自問する必要があると考えております」。これに対して自身が導き出した答えが「府民の幸せ」。その幸せの一つには住む場所があり、そこに家族がいて、仕事があってこそ夢と希望が持てる。「それが幸せの要素であるなら、その根底を成すのが住居で、それを実現できる部署が住宅まちづくり部」であり、府民のために働くということが「部長応募の動機の柱」でもあったと語る。

 その住宅まちづくり部の事業については、行政サービスを実現するための施設を作る営繕事業と、安全で衛生的な住まいや職場を提供するための指導や公営住宅の供給、さらに建設業の振興を挙げながら、「これらを包括し総合的に事業を執行することが我々の役目となります」。

 このうち、今年度の事業では「密集市街地の整備が大きなテーマ」だとする。特に、東日本大震災の教訓や南海トラフ巨大地震等の備えから急務の課題だとし、「今年は集中的な取り組みを考えている」。また、グランドデザイン・大阪の推進として、うめきた2期とともに、成人病センター跡地を含めた森之宮地区の整備のあり方についての議論を深めたいとし、グランドデザイン・大阪都市圏についても策定を指示したほか、泉北ニュータウンの再生への取り組みにも意欲を示す。

 さらに、府内の建設業振興も重要な取り組みの一つ。現在、高齢化、若年入職者の減少等の構造的問題により技能労働者不足が深刻さを増しているが、「都市構造を変える上では、建設業なくしてはありえません。地方自治体では公共事業を景気浮揚策とする施策はなかなかできませんが、規制緩和など、業界が仕事をやりやすい環境整備の面から支援することも考えていかなければなりませんね」と側面からの取り組みを示唆する。

 その一方で課題として人材の育成を挙げる。「人材育成に関しては住まち部に限ったことではありませんが、人づくりをきっちりしていくことが基本だと考えます」。府民の幸せのために何ができるかを考え、そのためには自分の業務において何ができるか。

 施策推進においては、「まず具体的なデータを集め、それを事実に基づき客観的に分析する。人に言われたからとか、あるいは前例があるからとかではなく、 事例、事例に合ったやり方や事実を突き詰めていくといった仕事のやり方を身に付けることだと思います」。

 このため職員に対しては、「これまでの経験や知識を一旦捨てて、初心に帰るとの意味合いから、もう一度入庁時の動機を思い出してもらいたいと考えております。 その思いを実践することが府民の幸せの実現につながると思います」と、意識の再生に期待を寄せる。

 事実に基づく仕事に関しては、自ら「思い出に残る仕事」とする総合計画の策定を挙げる。人口構造が現在ほど問題視されていなかった当時、 全国の自治体では人口の右肩上がりを前提とした計画づくりが殆どである中、「データに基づく事実を捉えたものとして、全国で初めて人口減少を想定したものとして策定した」と振り返る。

 自ら思い描くものが実現するのは30年、50年かかるかもしれないとしながらも、「毎日少しでも何かしないと30年後も50年後も何も変わらない。そういったことを伝えていくことも私の役割だと思います」。 

 趣味は、都市魅力を発見する楽しみがある「街あるき」。大阪が大好きと言い、大阪検定二級を持つ。座右の銘は、人との出会いを大切にする「金蘭の契り」を挙げる。

 
堤勇二(つつみ・ゆうじ)
 昭和54「年3月関西大学法学部卒、同57年4月大阪府採用、平成17年総務部財政課参事、同20年2月政策企画部企画室課長、同22年4月同企画室副理事、同年12月同副理事兼企画室課長、同24年4月兼住宅まちづくり部大都市まちづくり推進室副理事、同4月府民文化部副理事、同11月兼住宅まちづくり部大都市まちづくり推進室副理事、同25年4月港湾局次長。57歳。


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