日刊建設新聞社 CO−PRESS.COM |
大阪府住宅まちづくり部 松田浩三公共建築室長 【平成26年04月28日掲載】 |
機能性に優れ、使いやすい建物を 耐震改修、目標達成へラストスパート |
大阪府の府有建築物を所管する住宅まちづくり部公共建築室では、時代により変化する府民ニーズに応えながら、それら施設の維持管理や更新に努めている。今年四月、公共建築室長に就任した松田浩三室長は、現在の課題である耐震化や環境対策に留意しながらも「それら要素を備え、機能に優れて使いやすい建物の整備が我々に求められている」と語る。その松田室長に、就任にあたっての抱負や今後の施策について聞いた。 |
|
(渡辺真也) | |
「公共建築室は技術系職員が大半を占めており、それら職員の力を組織として生かしていくため、職員個々の能力を引き出せるような環境をつくっていくことが私の役割」と就任にあたっての抱負を語る。公共建築室への配属は通算で13年目、これまで主に計画や調整、入札契約制度業務に携わってきたが今回、設計や工事監理を含む業務を統括する立場となった。 |
|
公共建築の役割については、様々な行政サービスを展開する場であり、「機能性に優れ、使いやすい建物であることが絶対条件。また災害時には、各活動の拠点ともなることから安全で安心して使用できることも重要であり、いつの時代においてもこれは変わらない」とする。 |
|
近年ではまた、時代のニーズである環境に配慮した省エネルギーや省CO2の性能に優れていることも必要だと述べ、「これらの要素を備えた公共建築を着実に整備することが公共建築室に求められている」。 |
|
しかしながら、これら事業を進める上で不可欠となるのが技術系職員だが、団塊世代のベテラン職員の退職に伴い、「組織的な技術力の低下」が課題となっている。これまでベテランに頼り切っていた部分もあるとしながら、「優秀な若手職員も育ってきていることから、それぞれが切磋琢磨し、ベテランと若手の意思疎通を通じて相乗的に技術力が維持、向上する組織づくりを目指したい」との目標を挙げる。 |
|
今年度の事業については、府有建築物の整備全般がメーンとなるが「新築は減少、改修は一定量あり、件数は設備改修工事が多い」。このうち新築工事では、福島や豊中の警察庁舎のほか、成人病センター建設に合わせた大手前での立体駐車場の発注が予定されている。耐震改修については、耐震化率90%以上を目標とした耐震改修計画もあと2カ年を残すのみだが、「目標達成は可能であり、ラストスパートの段階に入ってきた」と、今後の事業推進に自信を示す。 |
|
入札契約制度に関しては、昨年から不調不落案件が増えてきているとしながらも、再入札で決まっているため全体的な影響はないが「楽観はできず今後の動向を注視したい」と慎重さを見せる。また、今年度には「規模の大きな府営住宅新築工事で実績申告型の試行を予定している」と新たな取り組みを示唆。 |
|
さらにESCO事業では、省エネ機器・設備の性能向上により既に実施した建物での再導入も検討。アクションプランの見直しとともに、新たな施設での事業化を追求するとしたほか、総合評価方式において昨年度に試行導入した省エネ提案型を引き続き試行する。 |
|
このほか、新労務単価やインフレスライド条項の適用、社会保険未加入対策についても適正に対応するとしながら、「公共建築を整備する上での環境は依然として厳しいが、時代のニーズにも応えながらより良い建物整備に組織を挙げて取り組んでいきたい」と語る。 |
|
○ |
|
入庁以来、建築分野に携わってきた。思い出の仕事では、「初めて常駐した現場」であるりんくうゲートタワービルの工事を挙げる。上棟式や竣工式などを経験するとともに、「実際の工事の進め方や施工会社の考えなど、当時の経験が今でも役に立っている部分はある」。また、契約局の立ち上げにも携わり「新たな部署をつくりあげるといった熱気、活気があった」と振り返る。 |
|
物事を達成するためには何事も努力が必要として「継続は力なり」をモットーとする。趣味は名所・旧跡を問わない「まち歩き」。鳥取県出身。55歳。 |
|
|
|
Copyright (C) NIKKAN KENSETSU SHINBUNSHA. All Rights Reserved.
当サイトを利用した結果に関するトラブルなどに関しては、当社としては一切責任をとりかねます。