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大阪労働局労働基準部 窪田浩和安全課長 【平成25年06月24日掲載】 |
第86回 全国安全週間 7月1日〜7日 見える化運動「考動」へ ヒューマンエラーの背景調査 |
第86回全国安全週間が今年も7月1日から7日まで「高めよう 一人ひとりの安全意識 みんなの力でゼロ災害」をスローガンに展開される。昭和3年(1928年)に開催されて以来、「人命尊重」の基本理念の下、一度の中断もなく続けられている。大阪府の建設業における昨年の死亡者数は16人で過去最少を記録したものの、業種別では依然としてトップを占めている。このため、大阪労働局では、建設業労働災害防止協会大阪府支部など関係団体と連携して、今年から「安全見える化運動」を展開する。その活動の中心となる大阪労働局労働基準部安全課の窪田浩和課長に、重点項目や目標などを聞くとともに、取組みを紹介する。 |
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■まずは昨年における大阪府内の労働災害の発生状況についてお聞かせ下さい。 |
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昨年の全産業における死傷災害は8,364人と前年の8,350人に比べて14人増加しました。死亡災害については、58人で前年と同数となりました。一方、建設業での死傷災害は877人で前年より3人、0.3%の増加となりましたが、死亡災害は16人で、過去最少となった3年前の数字を更に更新しております。こうした死亡災害の減少は、労働災害防止活動に日頃から熱心に取り組んでいただいている皆様の努力の大きな成果だと、非常に喜んでおります。 |
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■しかし依然として業種別の死亡災害で建設業はトップを占めております。 |
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そうですね。建設業については、一歩間違えば重篤な災害を発生させる要因が多く、その中でも死亡災害発生原因では墜落・転落災害が最も多く、昨年は12人と、全体の75%を占めており、全産業の死亡災害発生原因から見ましても、60%で建設業がトップとなっています。 |
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■災害防止に対しての注意事項は。 |
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今、建設業では、年齢では60歳以上、経験年数では1年未満の作業従事者による労働災害が大幅に増加しています。建設業に従事する方で一番怖いのは、少子高齢化や現在の経済背景から増える高齢の新規入場者であり、それによる災害の増加が危惧されます。しかし、高齢者に限らず新規入場者教育は最も重要ですが、会社の事情で充分な教育がなされないままで送り出されることだけは避けてほしいですね。また、これから夏に向い熱中症だけではなく、暑さで集中力を欠き災害につながっていくことも同様に危惧されます。 |
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■大阪労働局の今年度の取組み方針について。 |
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「誰もが活き活きと安心して働ける元気な大阪」を全体のスローガンとして、「健康が確保される安全で安心な職場の実現」や「効率的かつ計画的な行政運営の推進」など5つの目標を定めています。労働基準行政の重点施策では、「労働災害の更なる減少を図るために」として、「ゼロ災・大阪『安全見える化運動』」の展開や労働災害多発業種等に対する取組みの推進、重篤な労働災害の発生を防止するための対策、また、自主的な安全衛生活動の促進を図っております。 |
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■その「安全見える化運動」をはじめ、その他の取組みは。 |
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今年から実施の「安全見える化運動」は、スローガンを「みること『気づき』から『考動』へ」として、安全衛生管理体制、安全衛生活動、安全衛生情報、危険防止、健康障害防止、リスクアセスメント等の見える化を実施し、平成25年度を初年度とする大阪労働局労働災害防止推進計画の目標達成を目指す活動です。パンフレット等での集中的な周知、啓発など、建災防をはじめ関係団体と連携して取り組んでまいります。 |
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■最後に窪田課長のお考えになる災害防止対策があればお聞かせください。 |
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ヒューマンエラーについてですが、最近、見方が変わってきていると感じています。ヒューマンエラーは、労働災害の原因ではなく、発生には、組織、設備、情報、教育、マニュアルなど様々な要因が関わっていて、深いところに問題の所在があるものと考えています。その背景を充分調査して、要因を減らす―それこそが労働災害防止の鍵になるのではないでしょうか。 |
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■本当にそうだと思います。これからも災害防止にご尽力下さい。 |
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(松木朋子) | |
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