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近畿地方整備局 営繕部 島崎昭彦部長 【平成24年11月12日掲載】 |
災害時にも大きな役割 誇り得る伝統・文化性の高さ |
時代のニーズに対応しながら、まちなみや景観形成を先導してきた公共建築。中でも官庁建築は、技術や技能を継承し、我が国の建築文化発展の上においても大きな役割を果たす一方で、近年では、大規模災害時における避難場所や対策本部としての機能が求められてきている。近畿における国立施設をはじめ、多くの公共施設を統括する国土交通省近畿地方整備局では、それら施設の適正な維持管理と耐震補強等に努めている。その営繕部の島崎昭彦部長に、公共建築の役割や意義等について聞いた。(編集部・渡辺真也) |
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■まずは、公共建築の役割から。 |
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一般的に公共建築とは、公共の予算で作られた建物と言われておりますが、最近ではもっと広義に捉えられ「公共性の高い建物」との認識が広まってきたように思われます。例えば、鉄道の駅であるとかタワーなども公共性が高く、公共建築の範疇に入ってきたのではないかと考えております。その中で公共建築の役割を考えた場合、立地する周辺地域の性格を特徴づける役割があります。鉄道やバスなどで市役所前や県庁前などの名称があり、その周辺の街づくりを先導しています。 |
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■公共建築の役割の一つに建築技術の開発や向上を促す部分もあり、かつては設計コンペなども行われておりました。 |
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最先端技術の開発に関しては民間企業に負うところが大きく、行政の役割としてはそれら開発された技術を定着させ、広く普及促進することが求められます。設計コンペについては、かつて盛んに採用された時期もありましたが、経済情勢や財政的な面、さらに事業手法でも民間活力によるPFI手法も導入されており、実施しにくい状況にあると言えます。 |
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混在する建築様式 | |
■近畿整備局管内の公共施設の状況を。 |
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近畿地整管内の国が所有する施設としては約470万平方メートル、施設数では約1,540箇所を管轄しております。しかしながら、これらの施設は30年以上経過した施設が約4割を占めており、さらに10年後には5割以上に達することになります。このため、既存ストックを有効利用するため、それぞれの管理者に対して維持管理を適切に行うための指導・要請を行っております。 |
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■伝統建築を維持するためには伝統的な工法が必要となってきますが、それらを継承する上での公共建築の役割は。 |
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京都御所の屋根は、檜皮葺という檜の皮を剥いで葺き重ねる日本古来からの工法を採用しております。このため作業を行う職人の方とともに、使用する材料や工具も現在まで引き継がれてきております。また現在修理工事が行われている姫路城では左官の伝統的な工法が使用され、天守閣の屋根瓦についても昔ながらの手法を生かして焼いた瓦が使われ、技能とともに建築資材も継承されていると言えます。 |
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■さて、地震等の大規模な自然災害が発生した場合、公共建築である庁舎や学校、ホール等は避難場となる訳ですが、災害時における役割について。 |
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東日本大震災においても、住民の方々は学校やホール等の身近な公共施設に避難されました。そういった役割は今後も一層求められ、その確保とともに避難施設のネットワークづくりも必要と思われます。国の防災活動を考えた場合、防災性能を備えた拠点づくりが必要となります。今回の震災で、東北地方整備局には全国から派遣された職員が集結し、そこを拠点に各被災地に向かい、活動しました。また、私どもが所掌しています国の庁舎等の建築物の耐震改修については、従前からの計画に基づき順次、実施しております。平成27年度までに約9割に達することを目標としており、今後も鋭意推進してまいります。 |
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■公共建築は、まちづくりの上でも、防災対策の上でも、ますます重要な役割を担うこととなります。今後の取り組みに期待しております。ありがとうございました。 |
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