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佐野裕俊・大阪府住宅まちづくり部長   【平成24年01月23日掲載】

マスタープランの実現へ

府市統合見据え住宅政策再構築


生活の基盤となる住宅や安全で安心なまちづくりの形成にあたり大阪府では、住宅政策の再構築を進める一方で、府市統合も見据えた方向性も模索している。これら従来の施策からの転換が図られる中、住宅まちづくり部の佐野裕俊部長は「広域的な観点からの政策が必要」と、府営住宅や公的住宅のあり方、ニュータウン再生と密集市街地整備など、様々な計画の取り組みに意欲を見せる。その佐野部長に、各施策の進捗状況や来年度の取り組み等を聞いた。(編集部・渡辺真也)

■まずは今年度の事業経過からお聞かせ下さい。

住宅政策の再構築を掲げ、住宅まちづくりマスタープランを作成しております。パブコメも終了し、現在国との協議を行っております。このプランの中ではいろいろな課題を抽出しており、計画期間は十年ですが、出来るだけ早くそれらを実現していきたい。さらに府市統合も見据えた住宅政策の再構築が必要であり、公営住宅も含めた住宅政策、建築指導行政等それらをどうするのかについて、府と基礎自治体の役割を整理し、考え直さなければなりません。広域的な部分に重点を置いた政策にはなろうかと思います。

■府営住宅につきましては。

府営住宅についてはストック総合活用計画を作成しております。計画では、府内各市町とさらに連携し、まちづくりに府営住宅を活用することとし、市町とともに勉強会を実施しております。また、すでに府営住宅が所在する市町へアンケート調査を実施し、現在その結果を分析中ですが、今後はそれらを参考に各市町ごとに積極的に働きかけていきます。そして、市町とのまちづくりの中で府営住宅を移管してほしいという市町があれば、移管に向けて進めていきます。もう一つ、従来の計画では建替えを中心としていましたが、優良ストックについては、改修などを行い、ストックの活用を図ります。耐震化のスピードアップという意味からも改修を進め、今後は中層住宅でも耐震改修を促進していきます。建替えの場合、時間とお金がかかるため限界がありますから。また需要のない団地に関しては統廃合を進めてまいります。

■なるほど。

住宅政策に関してですが、民間賃貸住宅を活用していきます。その一つとして、府営住宅でこれまでほとんど実施していませんでした借上げ公営という制度を今後活用して、建替えや用途廃止を進めていこうと考えています。その一例ではございますが、東三国住宅の用途廃止に際し、UR住宅を借上げ住み替えていただいております。今後、用途廃止に係らない借上げも進めていきたいと思っています。

■まちづくりの観点からは泉北ニュータウン再生事業もあります。

泉北につきましては、泉ヶ丘駅前地域の活性化、既存の公的住宅の在り方、近隣センター等の公共施設も含めたまち全体の在り方の大きく3つの課題があります。泉ヶ丘駅前については府市等連携による事務所が今年度より設置され、7月にはキックオフイベントが開催されたほか、大阪府タウン管理財団が保有する用地売却をコンペで実施するなど、地元住民の方々とともに再生のための機運づくりに努めております。また来年度になりますが、泉ヶ丘駅前地域でタウンマネジメントの組織づくり、地元の人が自主的にまちを活性化するための組織の設立に向けた予算も計上する予定です。

■公的住宅に関しては。

公的住宅に関しては国も交えた意見交換などを実施しております。まだ方向性を出すには至っておりませんが、URと大阪府住宅供給公社と府が一体的になったものが出来ないかと考えております。ただ、昨年公募いたしました同ニュータウン内の府営住宅の指定管理者として、UR住宅の管理を行なっている会社と公社が指定管理者に選定されたことから、府と公社、URが一体となった住宅管理ができるのではないかと思っております。今後、さらには、入居募集や建替えなどにあたって効率化が図れるよう三者の住宅の一体的な管理・運営に向けて打ち出しをしていきたいと考えております。

■密集市街地整備も大きな課題です。

現在、取組み方針の素案を作成中です。今後の取り組みとしては、国が示す延焼危険性と閉塞危険性の2つの指標における整備基準を満たしていない地域を重点密集市街地として絞り込みを行うとともに、整備アクションプログラムの地元市での策定に向けて協議を進めていきます。その中で最重点地域に指定された箇所では府として支援を行っていきます。基本は人命を守ることで防災訓練等も含めたソフト面での取組みも盛り込む予定です。

■来年度事業の見通しでは。

大きくは先程言いましたマスタープランを実現していくことが柱になります。建設事業費のうちで府営住宅については、来年度より導入する特別会計において修繕等で増額要求しております。良いものを残していくためには、やはり手を入れないといけませんし、エレベーターも可能な限り設置していきます。建替え事業は抑制するため予算的には減少しますが、事業費に関しては予算配分がシフトするということになります。

■保険未加入企業の排除に関しては建設業懇話会で検討を進めていくとされておりますが、方向性としてはどのように。

保険への加入未加入のチェック方法などを検討していくことになりますが、問題はどこまで踏み込んでやるか。いわゆる一人親方までやるかどうかで、これらの職人さんが保険料を負担することに賛同するのかどうか。ただ、国の方向性は決まっていますから、その動向を踏まえて府としても取り組みを進めてまいります。また、調査基準価格や失格基準価格の引き上げも検討しているところです。

■今後も事業推進にご尽力下さい。



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