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大阪府都市整備部住宅建築局 中岡正憲局長  【2026年05月28日掲載】

大阪の住宅・まちづくり

多様な人々の参画を促し さらなる価値を創出


半年間で2902万人の来場者数を記録し、大盛況に終わった大阪・関西万博。大阪府では今、そのレガシーを着実に継承するための動きを本格化させている。建築・住宅施策においても、万博で披露された先導的なバリアフリー基準や取組などの普及促進を図るとともに、万博後の大阪の成長を見据えた魅力あるまちづくりを推進している。大阪府都市整備部住宅建築局の中岡正憲局長に重点施策などを聞いた。

万博レガシー 先導的な基準・取組を府域に拡大
古民家活用した魅力づくり

■大阪・関西万博の開催から1年が経過しました。府では万博レガシーを活かしたユニバーサルデザインのまちづくりを掲げておられます。

 万博会場においては、極めて高い水準のバリアフリー基準が導入されました。私どもはこの取組を一過性のものとせず、万博を契機としたさらなる福祉のまちづくりの推進を図るため、昨年度に「大阪府福祉のまちづくり条例」を改正し、建築物のバリアフリー基準を見直しました。
 たとえば、トイレのバリアフリー化の促進では、聴覚障がいのある方に光の点滅で火災発生を報知するフラッシュライトの設置義務化や大人用介護ベッドの設置義務対象の拡大等を盛り込みました。フラッシュライトは床面積1万平方メートル以上の建築物、介護ベッドについては設置義務の要件を1万平方メートル以上から5千平方メートル以上の建築物へ対象を大きく広げています。また、小規模店舗のバリアフリー化についても、従来は200平方メートル未満の店舗は義務化の対象外となっていましたが、コンビニ等の100平方メートル以上の店舗についても対象に加えました。

■「福祉のまちづくりのための施設整備バリアフリーガイドライン」も改訂されました。

 ガイドラインでは、設計・計画段階で障がいのある方などの意見を積極的に取り入れたワークショップの事例紹介に加え、人混みや音、光など環境の状況に敏感な方が気持ちを落ち着かせる「カームダウン・クールダウンスペース」や視認性に優れたピクトグラムの活用、視覚障がいのある方の移動を支援するアプリなど、配慮することが望ましい事項や取組等を新たに解説しています。こうした万博で取り入れられた先導的な取組等をガイドラインへ掲載することで、いっそうの普及促進を図っていきます。

■まさに万博での試みの社会実装ですね。

 また、福祉のまちづくりとは別の取組ですが、令和8年度の新規事業としては「古民家コンバージョン促進事業」を開始しました。定義は難しいですが、大阪には昭和25年以前に建築された古民家が全国一多く残っており、これらを大切な地域資源として活用します。市町村とも連携し、宿泊施設や飲食施設などへのコンバージョンを促すことで、古民家を核としたまちづくりをモデル的に推進し、万博後の大阪の成長・発展を見据えた魅力づくりに取り組んでいく方針です。

府営住宅 子育て世帯の入居資格
を緩和、 新たな住戸プランを展開

■次に府営住宅の各施策に関して、まずは子育て世帯向け支援についてお聞かせください。

 昨年度、さらなる子育て世帯向け住宅支援として「大阪府営住宅条例」を一部改正しました。まず、公営住宅については、子育て世帯向けの入居資格の緩和を実施しました。具体的には、同居する子どもの要件を「小学校就学前」から「年度末年齢十八歳以下」へ拡大し、加えて入居収入基準を月収21万4千円から政令で定める上限である25万9千円まで引き上げました。また、中堅所得者向けの特定公共賃貸住宅の空家を公営型地域優良賃貸住宅に変更し、低額所得者の子育て世帯も入居できるよう制度改正を行いました。いずれも、子育て世帯が低家賃で居住できる機会を広げることが狙いです。子育て世帯は食費や教育費などの支出が高いうえ、昨今の物価高騰等も踏まえると、現状に応じた支援が必要になると考えています。

■再編・整備の状況については。

 昭和50年代以前に建設された団地は原則として再編整備(集約建替・集約廃止)の対象とし、人口減少を踏まえた管理戸数の適正化を進めます。同時に、戸数を削減して創出した余剰地を商業施設等へ用途転換し、地域活性化に資する再編を目指します。建替えにあたっては、年度毎の事業量の平準化を図りながら、計画的に事業を実施しています。
 府営住宅の間取り・仕様についても見直しました。これまでバリアフリー仕様として供給してきた「あいあい住宅」を見直し、今年度着工分から新たな住居プラン「LIFE住宅」の導入を開始します。子育て世帯や高齢者、障がい者など多様な世代が安心して住み続けられるよう、子どもの安全対策に配慮しながら、ZEH水準の確保や採光・通風にも工夫した快適な住宅を実現します。

泉北NT 近畿大学医学部・付属病院
土地利用転換の象徴的プロジェクトに

■府営住宅の再編・整備は泉北ニュータウンの再生にも寄与しているとのことですが。

 泉北ニュータウンの全住宅数の約半分にあたる約2万8千戸が公的賃貸住宅であり、そのうち約1万3千戸が府営住宅です。従って、泉北ニュータウンにおいても、再生事業により創出された活用地を新たな価値創出のベースとして提供しています。昨年11月に開設された近畿大学医学部・附属病院は、府営三原台第一住宅の跡地に誘致されたもので、土地利用転換の象徴的プロジェクトといえます。

■管理面では入居者の高齢化への対応が課題となっています。

 直近のデータでは、入居者の高齢化率は48・5%と高くなっており、入居者による共同施設の維持管理への負担も大きくなっています。負担軽減策として、団地単位で入居者の7割以上の同意により共益費を府徴収に切り替え、府の指定管理者に委託する制度を設けました。現在、除草や清掃等について48団地で導入済みです。また、今年度は6地区で指定管理者の公募を行い、より質の高い入居者支援を求めていく考えです。

■府有建築物の耐震化の進捗はいかがでしょうか。

 庁舎や警察、病院といった災害時の重要拠点および府立学校の耐震化は100%完了しました。府営住宅については、令和12年度までに耐震化を概ね完了させる計画であり、現在の進捗は98・2%です。
 現在は「特定天井」の脱落対策に注力しており、対象となる24施設のうち12施設が完了しました。これも令和12年度までの全施設完了を目指しています。

インフラ支える技術者確保へ、手段尽くす
住まう・ビジョン大阪 新たなステージへ

■建設業界共通のテーマにもなりますが、技術者の人材不足への対応については。

 まず、技術職員の確保は大阪府並びに府内自治体においても喫緊の課題となっています。そのため、市町村と合同で採用説明会を開催するほか、昨年度は民間委託も導入し、府外への広報も強化しました。あわせて、離職防止も大切です。都市整備部全体で業務効率化を進め、エンゲージメントの向上を図っています。職員には業務に忙殺されず、ゆとりを持って創造力を発揮し、チャレンジングな仕事をしてもらいたいですね。
 また、十分な技術職員が確保できない市町村への支援策として「建築行政サポートデスク」を設置し、公共施設の建て替え相談や法的な助言を行っています。空き家対策やマンション管理など、住宅行政全般においても、市町村のマンパワー不足を補完する民間との連携促進などを行ってきましたが、今後、更なる支援の強化を検討していきます。
 また、建設業界の担い手確保に関しても、関係者の方々の話を伺い、府として何ができるかを検討してまいります。

■建築行政のDX推進も避けられません。

 令和7年4月から国システムによる建築確認の電子申請の運用が開始され、令和8年4月からは中間検査・完了検査の申請等も可能となりました。また、同じく4月にはBIMデータから出力した図面による確認審査が開始されました。将来的には、国が予定する令和11年度のBIMデータを活用した審査開始に遅れることなく、円滑に移行できるよう準備を進めてまいります。

■着々と手を打っておられる。

 最後に、今年度は府の住宅施策の大きな方向性を定める「住まうビジョン・大阪」の改定にも取り組みます。10年計画を中間の5年度で見直すもので、 昨年度に大阪府住生活審議会から答申をいただきました。基本目標は「ともにつくろう、自分らしく幸せにくらす住まい・まち大阪」です。 広域自治体として市町村支援の強化、民間の活躍を支える環境整備、公的賃貸住宅ストックの活用といった施策を盛り込み、計画策定に向けた最終作業を進めているところです。

 
 


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