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近畿地方整備局 石原洋副局長  【2026年03月30日掲載】

活力ある明日の近畿圏を支える港湾

西日本の経済成長を担う阪神港

神戸港・大阪港の機能強化を推進


 社会経済活動に必要不可欠な社会インフラの中でも、港湾は国際インフラであり、その整備の後退は許されないものとなっている。近畿圏における港湾行政を先導する近畿地方整備局港湾空港部では、太平洋、日本海、瀬戸内海と気象や海象が異なる海域で各地域特性を活かした港湾機能の整備に努めている。こうした中、同部を統括し、国際戦略港湾の阪神港をはじめ、管内各港湾での機能の拡充と強化とともに、防災・減災や老朽化対策を推進している石原洋副局長に、近畿における港湾の動向について聞いた。 

■まずは今年度事業の取組状況から。

 今年度事業では、関西のみならず西日本の経済を支える神戸港と大阪港の国際戦略コンテナ港湾の阪神港の機能強化に係る整備をしっかりと進めています。国土交通省港湾局では、国際戦略港湾政策として「集貨」「創貨」「競争力強化」の推進を掲げており、近畿地整としても阪神国際港湾会社と一体となって取組みを進めています。
 このうち集貨に関しては、コンテナ船の基幹航路誘致や国際フィーダー利用促進に向け、国内貨物を神戸港に転換し阪神港経由とするための支援を行っています。現在では、日本海側まで航路が伸びていることから、これまで釜山港に流れていた貨物もかなり戻ってきています。
 競争力の強化では、大阪港夢洲コンテナターミナルの水深16メートル岸壁延伸とその主航路として水深16メートルの浚渫工事を昨年度から実施しており、神戸港では、六甲アイランド地区とポートアイランド地区で岸壁耐震化に併せて水深16メートルのターミナル整備に取り組んでいます。
 特にポートアイランド地区のPC―15から17については来年7月頃には事業が完了する予定で、その後、ターミナルの運営会社が電動化されたタイヤ式門型クレーンの遠隔操作RTGを導入することとしています。これはDXの推進にも合致し、日本では珍しい電動化されたRTGのため、GXにも寄与するものと期待しています。
 もう1つの主要事業では、大阪湾岸道路西伸部事業があります。昨年12月には海上長大橋の2Pと3Pの2つの主塔基礎部分の工事契約が完了したことから、来年度には現地着工し、杭工事が始まります。事業は阪神高速道路会社との合併施行であり、同社の橋梁工事の進捗と合わせる必要があることから、それら進捗管理も含めて取り組んでいきます。

■なるほど。来年度事業では、阪神港の機能強化をはじめ引き続きこれらの事業を進めていくことになりますね。

 そうですね。このほかの事業では、堺泉北港汐見沖地区での水深12メートルの岸壁と泊地、航路等を整備中で、舞鶴港和田地区では水深12メートル岸壁の整備と臨港道路整備に係る用地買収を進めています。柴山港の外防波堤(西)築造工事では、二重円筒ケーソン15函のうち9函270メートルの据付が完了し、姫路港広畑地区では水深14メートル岸壁と臨港道路等の整備を進めています。
 また、和歌山下津港では海南地区海岸事業として護岸改良工事と水門工事を実施、このうち水門工事が最盛期を迎えており、北港地区では防波堤(南)、本港地区では防波堤(外)と水深13メートルの泊地整備を、日高港塩屋地区でも水深13メートルの泊地を整備しています。

   防災・減災、老朽化対策も継続

■防災・減災対策も重要で、来年度からは国土強靭化実施中期計画も始まります。

 現在は、国土強靭化5か年加速化対策の取組を進めており、令和8年度からは第一次国土強靭化実施中期計画を推進していきます。同計画では、推進が特に必要となる施策として、港湾の耐震性能強化や港湾と海岸に関し気候変動に適応する施策が盛り込まれ指標も設定されています。
 事業のうち、耐震対策では、神戸港ポートアイランド(第2期)地区の荷捌き地に関し、PC―18岸壁背後に約21ヘクタールのコンテナ蔵置エリアを確保する計画の中で、災害発生直後から復旧完了まで一定の海上コンテナ貨物の輸送機能を確保するため、荷捌き地の耐震改良を実施中で、これまで全体の四割にあたる約8ヘクタールで耐震改良が完了しています
 津波対策では、和歌山下津港本港地区で、南海トラフ巨大地震に備え第一線の防波堤である防波堤(外)の「粘り強い化」を図り、構内の静穏度を確保して発災後も港湾施設の機能を確保するほか、下津港海岸では、護岸改良と津波防波堤、水門の整備が推進されています。
 また、従来からの老朽化対策も継続して実施していきます。予防保全としては和歌山下津港や柴山港、舞鶴港のほか、尼崎芦屋西宮港や日高港等において、引き続き防災・減災対策を推進するとともに、重要インフラの老朽化対策を進めていきます。

■カーボンニュートラルへの取組みも加速しています。

 カーボンニュートラルの取組みでは、港湾におけるGXの推進として、管内各港湾において官民で構成する港湾脱炭素化推進協議会での検討を踏まえ「港湾脱炭素化推進計画」を策定し、脱炭素化に配慮した湾機能の高度化を目指すカーボンニュートラルポート(CNP)を形成することとしており、これまでに神戸港、大阪港・堺泉北港・阪南港、姫路港・東播磨港で計画が策定されています。
 CNPに関しては令和7年3月に、CNPの形成に向けたコンテナターミナルでの脱炭素化の取組みを客観的に評価する「CNP認証」が創設され、9月に大阪港南港コンテナターミナルC―4が、11月には夢洲コンテナターミナルのC―10から12が認証されました。このうち大阪港南港では、ハイブリッド型RTGやコンテナヤード内照明のLED化、インバーター制御方式ガントリークレーン導入が評価されました。
 また、新しいエネルギー源である水素やアンモニアの受入に関し、神戸港においてゼロエミッション化を図るため、RTGに搭載されている発電機をディーゼルエンジンから水素エンジンとした稼働実証が世界で初めて実施されました。これら港湾におけるGXの推進に関しては、ハードだけでなくソフト面での取組みも含め補助制度等を活用しながら取組みに努めていきます。

■近年は建設業界に限らず担い手不足が課題となっています。

 担い手確保に関しては、第三次担い手3法の趣旨を踏まえながら、働き方改革と担い手の育成・確保、生産性向上を中心に取組みを推進していきます、直轄港湾工事では、適切な工期設定及び契約変更事務手続きはじめ、ICT活用工事の実施、BIM/CIMの運用、遠隔臨場、3次元モデル標準化への取組みとともに総合評価方式による賃上実施企業の評価等にも取り組んでいます。
 しかし、一部の専門工種では人手不足が顕著となっているとする声もあり、民間工事では、人の手当てができないとして施工業者が決まらないといった話も聞いています。このため省力化等にさらに取り組むことも必要だと思っています。そういった部分についても業界団体との意見交換を通して情報共有を図りながら、建設業界全体が魅力あるものとなるよう引き続き改善に取り組んでいきます。

■地方公共団体はじめ特に民間工事においては完全に浸透しておらず、牽引役としての国交省に期待しております。最後に建設業界に対する意見や要望、期待することがありましたら。

 我々としても、引き続き建設業界の皆さまと一緒に先導的な取り組みを積極的に実施していき、それにより地方自治体の事業や民間工事への波及効果を期待しています。

■これからも施策の推進にご尽力下さい。ありがとうございました。

 


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