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近畿地方整備局 小寺秀治統括防災官  【2025年09月29日掲載】

防災・減災へ総力戦での取組みを

TEC―FORCEの体制を強化

スマホアプリや予備隊員募集も


 台風や豪雨、地震等の自然災害の被災地域に派遣されるTEC―FORCE。発災後には、いち早く現場に駆け付け、被災状況や復旧活動に必要な情報収集に努めているが、近年では広域化する災害に対応する体制強化が求められている。このため現在では、スマホアプリをはじめとする最新装備の活用や民間からの予備隊員募集も行われている。昨年、能登半島地震と豪雨にTEC―FORCEを派遣した近畿地方整備局の小寺秀治統括防災官は、災害対応には、「関係機関と顔の見える関係性構築が必要」と語る。その小寺統括防災官に、近畿地整におけるTEC―FORCEの活動と防災体制について聞いた。

■まずは近畿地整の災害対応体制についてお聞かせください。

 近畿地方整備局では、管内に大規模災害等が発生した場合には、当庁舎に災害対応対策本部を設置し、規模や被害状況に応じて、本部が「注意体制」「警戒体制」「非常体制」を発令し、段階的に体制を強化していきます。台風に関しては、予測進路を見ながら、進路上の事務所毎に対応しますが、台風圏が2つ以上の事務所管内に広がる場合は本局も入って対応することになります。
 昨年の8月8日に、巨大地震注意として南海トラフ地震臨時情報が発表されましたが、近畿地整でも警戒体制を発令して一週間の警戒体制を継続し、自治体との連絡体制確認を行うとともに、近畿技術事務所の進出拠点である近畿防災・技術センターに衛星通信機器等を配備し、不測の事態に備えました。

■昨年は能登半島で地震と豪雨により被害が出ましたが、近畿地整の支援活動はどのように。

 能登半島地震と豪雨災害では、近畿地整としてそれぞれTEC―FORCEを派遣しました。地震では316名、延べ2198人、豪雨では58名、延べ383人を各市町村へ派遣し、現地で被災状況調査や応急対策、下水道支援等を実施しました。
 災害派遣では、まずリエゾンが被災自治体や災害対策本部等で情報収集し、先遣隊が被災状況を把握して派遣先を決定します。派遣は、被災自治体からの要請を受け、本省から各地整に伝達されます。派遣隊は1班4人で編成し、だいたい1週間程度で交代します。

■今回の支援活動では、スマホアプリや衛星通信などの最新装備で効果があったと言われていますが。

 ええ、スマホアプリや衛星通信等の新たなツールや機器を導入しました。スマホアプリは、TEC―FORC支援アプリとして、TEC―FORCE隊員やリエゾン、内業の職員が行う作業の効率化と、それぞれの負担軽減を目的として開発されました。システムは、クラウドサーバーを介してTEC―FORCEの出先班と内勤班、対策本部等がリアルタイムで情報共有し、これにより連携強化と対応の迅速化を図るものです。
 機能には、ロジ報告支援、被災状況調査支援、写真と3Dデータ共有等の各ツールのほか掲示板の機能もあります。ロジ報告支援は、調査の開始や修了報告の簡易化、TEC―FORCE各班の位置情報をリアルタイムで把握でき、被災状況に関してはスマホにより撮影した画像も整理し、転送して3次元データとして隊員間と本部で共有できるほか、スマホ入力により現地で調査報告書の作成も可能なため、これまで現地から戻ってきて行っていた資料整理と報告書作成が不要となりました。

■TEC―FORCEは登録した職員が隊員となりますが、現在の状況は。

 現在は全国で約1万7000名で、このうち近畿で約1600名が登録しております。基本的には技術系職員が中心となりますが事務系職員もおり、登録した職員は研修を受けることになります。平成20年の発足以来、東日本大震災や西日本豪雨など、様々な災害現場で経験を積み重ね、そこで得た知見等を蓄積し、今後の災害対応に活かすための備えを着実に実施して充実させています。

■先般、TEC―FORCE予備隊員制度が創設され、民間企業等から人材を募集することとなりましたが。

 これは能登半島地震と豪雨災害の経験を踏まえたものです。激甚化・頻発化する水災害や南海トラフ地震等の大規模広域災害に対応するには、TEC―FORCEの体制を強化する必要が出てきました。その中で、令和7年6月4日に災害対策基本法の一部が改正されたことを受け、TEC―FORCEの増強と行政や民間企業、学識者などの専門性を持った多様な主体と連携を強化し、被災自治体への新たな応援体制の強化を図ることにしたものです。
 予備隊員は、専門的な知識を有する民間企業等の人材を、TEC―FORCE隊員として採用し、災害時に非常勤職員の国家公務員として被災地に派遣します。また予備隊員募集と合わせ、建設業団体はじめ災害協定を締結している民間企業等をTEC―FORCEパートナーとして位置付け、当該地域内だけでなく広域的な被災自治体でTEC―FORCEと一体的な活動を可能とするもので、災害協定を見直して拡充を図るものです。
 さらに、学識経験者からの技術的助言を速やかに受けるため、TEC―FORCEアドバイザー制度を創設しました。TEC―FORCEに帯同し、現地において技術的判断が難しい事案に即応するもので、事前に登録してもらうものです。このほか、国全体の災害対応力を高めるため、平時から各整備局管内の都道府県等の危機管理部局や土木部局等と合同研修会を実施し、自治体が連携して相互支援による一体的な活動を促進していきます。

■国土交通省が策定した南海トラフ巨大地震対策計画近畿地方地域対策計画では、管内の関係機関や自治体等と連携した取組みが定められていますが、近畿地整としての取組みは。

 対策計画は、南海トラフ巨大地震など、近畿管内で災害が発生した場合に、被害の最小化と早期復旧を目指し、地震発生時の応急活動を円滑に進めるための事項を定め、管内の関係機関や建設業団体等と連携して応急活動を可能とする体制を構築することとしています。
 特に建設業関連団体との連携は重要であり、災害時には近畿管内以外からも活動に従事してもらえるよう取組みを進めており、国交省全体として令和2年度に「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」として施策を取りまとめており、令和7年度は災害対応力の強化のための体制強化と多様な主体との連携の推進」をテーマに取組みを進めています。

■建設業団体との関係が重要とのことですが、建設業の果たす役割についての意見や要望がありましたら。

 災害発生時には、いかに迅速に応急対応を実施するかが課題となる中で建設業の方々との連携・協力は不可欠で、特に危険と隣り合わせの厳しい状況下で、道路啓開や復旧作業等の重要な役割を担っていただいています。特に道路啓開は、人命救助や復旧復興に必要な物資輸送を行うルートを確保する上でも重要で、このため引き続き災害協定の内容確認や情報共有、BCP計画認定など、平時からコミュニケーションを密にし、顔の見える関係を築いていきたいと思っています。

■ありがとうございました。

 
 
 


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