日刊建設新聞社 CO−PRESS.COM |
![]() |
![]() |
![]() |
活力ある国土形成へ、支える土木技術 |
![]() |
道路や橋梁、ダム、港湾等の社会基盤の整備や、地震や台風等の自然災害に対応する防災・減災対策など、土木技術が果たす役割には大きなものがあるが、現在では、技術者不足が懸念されている。土木に関する技術や学術的研究の専門家集団である土木学会関西支部の青木伸一支部長(大阪大学名誉教授)は、高度情報化時代での技術者育成の難しさを語る一方で、女性技術者の活躍に期待を寄せる。その青木支部長に海岸工学の観点からの防災のあり方と支部の活動状況等を聞いた。 |
![]() |
東日本大震災以降、津波・高潮対策が変化 |
![]() |
■まずは土木との関わりから。 |
![]() |
専門は海岸工学で、阪大から同大助手を経て豊橋技術科学大学で18年半勤めました。豊橋にいた時代は、海岸防災や海岸保全のほか、水質等の環境面での課題があり、海岸工学もそういった面での領域が広がりつつあった時期でした。当時、遠州灘や三河湾を対象に研究していた土木系の研究室は私だけでしたし、大学が海に近かったことから、学生と一緒にいろいろなことにチャレンジしました。 |
![]() |
■大阪に戻られてからは高潮対策に取り組んでおられますね。 |
![]() |
豊橋にいた2009年の台風18号で三河湾に伊勢湾台風級の高潮が発生しましたが、当時たまたま三河湾内で水質観測を実施していたことから、水位や流れのデータを取得することができ、高潮現象に関心を持っていました。平成30年の台風21号では関空連絡橋に衝突した船舶が注目されましたが、港湾でも非常に大きな被害が発生しています。台風21号による大阪湾での潮位上昇は、昭和36年の第二室戸台風によるものより大きく、また波も設計波高を超える大きな波が発生し、これらは想定外のものでした。当時は津波防災への意識は非常に高かったのですが、大阪湾では以後に高潮被害がほとんどなかったこともあり、高潮への防災意識が低くなっていました。当時水防法が改正され、高潮についても考えられる最大級の高潮が検討されてはいましたが、高潮による大きな被害が発生したことから一気に議論や対策が進みました。 |
![]() |
大規模災害はハード・ソフトの対策が必要 |
![]() |
■それら災害に対して土木の役割や取組みはどのように。 |
![]() |
気候変動により今後は予想できない災害が発生することも想定しておく必がありますが、大きな災害を土木的なインフラだけで抑え込むことができないことは東日本大震災で明らかになりました。このため避難誘導等のソフト対策により対応することとされていますが、果たして実際に災害が発生した場合に、適切に避難できるかどうか、うまくいかないことも想定しておく必要はあります。 |
![]() |
変わるバーチャル 世代の土木意識 |
![]() |
■災害対応やインフラ整備において土木の役割は不可欠ですが、現在は土木技術者の確保が課題となっています。 |
![]() |
学生の土木に対する思い入れみたいなものは変わってきているとは感じます。あまり入れ込んでいないというか、かつてと比べて弱くなっているように思います。私の学生時代には、「日本の土木事業を支える人材を輩出する」という教授の熱意に共感したものでしたが、現在の若者は、例えば転勤を嫌がるなど、自らのライフスタイルを第一に考えています。 |
![]() |
■若者に土木の魅力をどう伝えるか、また女性の力を活用することも必要です。 |
![]() |
土木はダム、トンネル、港湾等の大きな施設以外にも、普段使っている道路や橋梁など身近な施設も対象ですし、防災や環境など生活に密着した問題にも関係しています。それだけに、結果が目に見える仕事が多く、やり甲斐というか、携わったことによって得るものが分かりやすい仕事ではないでしょうか。 |
![]() |
支部創立100周年へ 活発な活動を |
![]() |
■最後に関西支部の魅力を。 |
![]() |
関西支部は、ある意味で学会活動の理想形ではないかと思っています。大学や行政等の単一の組織が持ち回りで主たる運営を行っている支部もありますが、関西支部では、いろんな組織の方々が集まり、それぞれが意見を出し合いながら運営にあたっています。そのため、いろんな会員の方々と交流する機会も多く、特に専門分野以外の方々と交流できること、そういった場を提供できることも支部の魅力だと思います。 |
![]() |
■ありがとうございました。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
Copyright (C) NIKKAN KENSETSU SHINBUNSHA. All Rights Reserved.
当サイトを利用した結果に関するトラブルなどに関しては、当社としては一切責任をとりかねます。