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事業拡大と収益の向上へ 力を結集する求心力に |
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東レ建設の古川正人社長はこのほど、大阪市北区の本社で就任会見を行った。今年6月28日に就任した。会見で古川社長は、「建設事業と不動産事業のそれぞれの強みを活かし、事業拡大と収益性を高めていく」と述べ、東レグループの一員として技術力と総合力により「新しい価値の創造を通じ存在価値の高い企業でありたい」と抱負を語った。 |
就任にあたっては、第8次中期経営計画をしっかりと引き継ぎ、「建設事業と不動産事業併営のメリットとシナジー、それぞれの事業の強みを活かした事業拡大と収益性を高めることが最初のミッション」と抱負を述べ、東レグループの企業理念やサステナビリティ・ビジョンの実現を目指し、技術力と総合力を背景に、他社とは一味違う「新しい価値の創造」を通じて、社会から信頼と共感を得る存在価値の高い企業でありたい―とした。 |
また事業では、一人のリーダーシップより、「異なる視点や経験を結集して最善の意思決定が重要」とし、自身の経験から関係者がコラボレーションすることで、「メンバーが協調し信頼して、考え議論することで計画が具現化する」として、「一人ひとりの力を結集する求心力となり、事業運営を進めていく」ことが自身の役割だとした。 |
建設事業では、大手デベロッパーのマンション事業、PFI事業の受注拡大を目指し、設計・施工一貫を強みに、ソリューション営業によるオフィスやホテル、工場、物流倉庫等の非住居系の比率を現在の30%から40%への領域拡大を図る。また、不動産併営のメリットを活かし、ホスピス事業では仕事付き高齢者向け住宅等への取組みを推進するとした。 |
また、砂栽培農業施設「トレファーム」事業では、高齢者・障がい者支援につながる農福連携事業を全国各地で手掛けてきたほか、京都府京田辺市では、2025年3月の開業を目指しPark―PFI事業の「京田辺市クロスパーク」を進めている。現在では、京都府精華町の自社研究栽培農園で、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)、大阪公立大学、東京農業大学、明治大学と連携した共同研究を行っているとした。 |
これら事業推進にあたっての課題では、「品質力の向上と生産性の向上」を挙げる。このため、BIMにより設計段階から施工精度向上や業務効率化、工程短縮等に活かし、現場においては協力会社とバーチャルでの作業内容確認を行うことで、品質の維持向上と作業効率化を図るとした。 |
また、労働力不足に対応するPCa工法や内装ユニット化採用、携帯端末を活用した現場管理、アプリを利用した資材搬入管理、工事用エレベーター予約管理など、作業管者の生産性向上を支援するなど、将来の完全自動化を視野に新4K産業実現に向け取り組んでいくとしている。 |
担い手の確保については、新卒者の獲得と離職者防止の取組みを同時並行で進めているとし、人材確保にあたっては、コンサルタントも活用しながら、WEBによる情報発信やインターンシップの充実等に努め、人材育成では、「スキル上達はもとよりマインドも重視している」と最重要課題であるとした。 |
一方の柱である不動産事業では、分譲マンションでの地域密着型要用地取得と自社開発の強化を目指す。首都圏・近畿圏での用地取得に向けた分譲エリアの絞り込みと情報収集と同時に、東レブランドが浸透している滋賀県や静岡県三島市を重点エリアとして用地取得に注力する。 |
また、分譲マンションブランド「シャリエ®」に関しては、「環境配慮型」「防災対応型」をキーワードに、土地購入から販売・管理、メンテナンスまでの一貫体制と東レグループの総合力を活かしてシャリエの価値を創造し続け、他社との差別化を推し進めることで「ブランドの定着と価値の向上を図っていく」と意欲を見せた。 |
このほか、技術戦略に基づく価値創出力と競争力の強化では、今年度は、2024年問題も念頭に置き▽施工業務の効率化▽工場建築物の改修▽少子高齢化▽ 木造建築―の4つが主要テーマとした。 |
このうち木造建築では、10階建て程度の中高層木造建築工法「P&UA構法」を共同開発、既に評価機関から技術評価を受けており、「技術的には固まっているが、 コスト面と付加価値を付けるため」の段階にあるとし、今後は実証する必要があるとしたほか、今年九月には国産木材の積極的活用に向け滋賀県と「建築物木材利用促進協定」を締結、 カーボンニュートラルやSDGs等の達成にも貢献していくとしている。 |
今後の見通しで建設事業では、資材価格や労務費の高騰による採算性の悪化、不動産事業では土地取得競争の激化と建設コスト上昇など、「厳しい事業環境が継続する」としながら、 東レ建設グループの連結売上収益で50億円、事業利益20億円規模を目指すとした。 |
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古川正人(ふるかわ・まさと)信州大学繊維学部卒、昭和60年4月東レ㈱入社、平成21年4月同社アドバンスドコンポジットセンター第一開発室長、 同26年3月同アドバンスドコンポジットセンター所長、同28年10月東レ・カーボンマジック㈱取締役副社長、令和6年4月東レ建設顧問。滋賀県出身。62歳。 |
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