日刊建設新聞社   CO−PRESS.COM
日本道路建設業協会 田口和男関西支部長  【2024年06月27日掲載】

「四週八休」拡大を推進

時代の変化見て魅力の産業に


 「道路建設業界を魅力ある産業とするため、働き方改革の推進と週休2日の定着等の労働環境の改善、ICT活用による生産性向上に取り組んでいきたい」と就任にあたっての抱負を語る。また、支部として、激甚化・頻発化する自然災害に対応するため、行政と協力して、「道路建設産業として地域社会の安全と安心に貢献する施策を推進していく」。

 道路建設を取り巻く状況については、原油高騰の影響を受け、会員各社がそれぞれに苦労しながら取り組んでいる状況とし、特に合材に関しては「値上げか現状維持かの選択を迫られている」と厳しい環境にあることを指摘。ただ、工事については各ゼネコンもそれなりの工事量を抱えているとしながら、「人手不足で手いっぱいの状態が続いている」とした。

 この状況の中で道建協本部では今年、日本アスファルト合材協会と連名で「4週8休の定着」「土日休業の推進」に係る働き方改革推進宣言を行った。魅力ある産業に向けての取組みの一つで、この実現には、公共工事はもとより民間工事への浸透も必要だが、それには自助努力だけでは限界があることから、発注者側の協力も不可欠となってくる。

 このため協会では毎年、本部と近畿地方整備局と管内発注機関との意見交換会を実施し、諸課題の解決に向けた要望や提言を行っており、働き方改革実現に向けた取組みについても各種の要望が行われている。

 この中で4週8休に関しては、直轄工事においては4週8休を組み込んだ発注が行われているが、地方自治体や民間工事では、「まだまだ進んでいない状況」であることから、国交省を通して自治体や民間発注者への指導の徹底を要望。要望にあたっては、会員へアンケートを実施し、現場レベルでの課題や実態を調査し、それを集約して発注者に伝えている。

一方、支部の事業活動については、従来通りに各委員会活動を中心に進めていくこととした。このうち支部では、近畿地整と大阪府、NEXCO西日本と災害協定を締結していることから、各協定に基づく連絡体制を構築し毎年、訓練を実施している。

 生産性向上に関しては、協賛事業としてICT技術研修会を毎年開催して好評を得ており、会員向けの技術講習会等の各種研修会や講習会も継続して実施していく。また、本部では、脱炭素化に向けた舗装技術の一つとして中温化合材を使用した低炭素(中温化)アスファルト舗装工事の普及促進を推進していることから、これについても努めていくとしている。

 また、社会貢献活動として全国の道の駅へ寄贈も継続していく。これまで小型発動機やAEDを寄贈、昨年度からは授乳室を贈っており、今年度支部では11ケ所での寄贈を予定している。

 このほか、魅力発信事業として毎年、「土木の日」関連イベントの一環である「ふれあい土木展」に環境にやさしい舗装≠テーマに出展しており、「今後もあらゆる機会を捉えて発信していきたい」とした。このほか、意見交換会についても近畿地整とは、本部とは別に支部独自で意見交換会を実施している。

 田口支部長は、道路建設業界の発展に向けて、働き方改革は重要で「時間外労働時間の上限規制は必要」とする。自身が過ごしてきた時代とは社会情勢やニーズが変化しており、「働く上で求めるものが違っており、それに応じて変わっていく必要がある」と強調、それにより魅力ある産業を目指して会員各社が取組みを進める上で、「何が必要かの意見・要望を会員から汲み取り、それらを発注者に伝えていくことも協会の大きな役割」とした。

 田口和男(たぐち・かずお)昭和62年3月東京理科大学土木工学科卒、同年4月日本鋪道(現・NIPPO)入社、平成30年4月から関東第二支店支店長等を歴任、令和3年4月から関西支店執行役員支店長。群馬県出身。61歳。

 
 


Copyright (C) NIKKAN KENSETSU SHINBUNSHA. All Rights Reserved.
当サイトを利用した結果に関するトラブルなどに関しては、当社としては一切責任をとりかねます。