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UR都市機構西日本支社 佐藤勝紀副支社長  【2024年06月13日掲載】

ストックの良質化を推進

団地再生 地域にとって望ましい方向で


 「西日本支社は、膝を突き合わせて議論する気風があり、それらを継承しながら着実に事業を進めていきたい」と語る。自身は技術畑が長く、団地のみならず周辺のまちづくりまで、デザイン面から景観も含め、新築、改修を問わず全体の設計に携わってきたことから、就任にあたっては、「URならではのまちづくりに携わってきたとの自負はあり、このまちづくりの作法を大事にして継承していきたい」と抱負を語る。

 担当は賃貸住宅のストック事業部門と技術監理部門を所管。技術監理部門では、都市再生部門や保全部門を含む支社が発注する全ての設計や工事案件を担当。このうちストック事業では、平成30年に策定したストック活用・再生ビジョンに基づき、建替えや集約、用途転換、改善の手法を使いながら事業を進めるとし、「築年数の長い物件もあり、それらストックの良質化、資産全体のポートフォリオを健全化していく」。

 事業では、現在、建替えを実施中の浜甲子園団地では、UR賃貸住宅としては今年度の建替えが最終工区となり、ニュータウン事業では、千里と泉北で建替えを進めており、千里では竹見台団地での戻り入居を予定し、泉北では昨年に最初の工区が完成。今後も引き続き事業を進めていくとした。

 これら建替え事業を含む団地再生事業は長期間にわたることから、その間の社会の動向や地域課題等を把握する必要がある。このため団地再生事業にあたっては、地域にとって望ましい方向性を目指して事業を進めることとし、「“社会課題を超えていく”としたURが掲げているメッセージを少しでも形にしながら進めていく」と語る。

 保全工事では、昨年度に発注した淀川リバーサイドタウンのさざなみプラザでは、同団地ほか9団地を対象に総合改修工事として各種の工事を一括で発注した。これまでも複数工事の一括発注はあったものの、「建築と設備等の工種をパッケージにしたここまで大きな規模での発注は近年なかった」とする。

 また保全工事は、ストックのメンテナンスには不可欠であり毎年、相当の業務量が見込まれているが、「工事にあたっては居住中での工事のため、安全を第一に品質や工程を確保しながら行っていきます」と語る。このほか、うめきた2期が9月の先行まちびらきに向けて着実に工事が進められているとし、「完成後は大阪駅前のイメージが一新するものと思います」と期待を寄せる。

 一方で、現況については、技術者の不足やコストが上昇するなど事業環境は厳しいと認識しながら、それら課題を乗り越えるためには、「地方公共団体はじめコンサルタントやゼネコン、デベロッパーなど様々な事業パートナーと引き続き連携を深めながら取組みを進めていきたい」とし、また、今年度から技術監理部門で、各課の壁をなくしてプロジェクト毎に担当班を構成し、臨機応変にプロジェクトに対応する自由度を高めた組織形態とした。

 これに伴い、管理面でのガバナンスやマネジメント強化を求められることとなったが、「責任を明確にして風通しの良い関係とし、効率的に事業を進められるよう職員のモチベーションも高めていければと考えています」とした。さらに、これまでの仕事のやり方についても見直して改善していくこととし、昨年度から内部的にも議論も重ねており、見直すべきところは見直していくこととしている。

 また、これら事業の実施にあたっては、建設業界に対して、担い手確保や時間外労働時間の上限規制、生産性向上や働き方改革の推進等に取り組んでいる状況をしっかりと把握し、「発注者として、仕事がしやすいように発注にあたって配慮していきたい」とした。

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 入社後は、西日本支社での勤務が長かったとする。趣味はポピュラーを中心に「ジャンルを問わない」音楽鑑賞。物事を安易に単純化するのではなく、「多面的に捉えること」を心掛けている。

 

 佐藤勝紀(さとう・かつのり)昭和63年4月住宅・都市整備公団入社、平成25年4月独立行政法人都市再生機構西日本支社技術監理部ストック技術チームリーダー、 同26年4月同技術監理部ストック設計チームリーダー、同28年4月同技術監理部企画チームリーダー、同30年4月同支社住宅経営部担当部長、同31年4月同部エリア再生室長、 令和2年4月技術監理部長、同4年4月西日本支社総務部付を経て今年4月1日付で現職に。大阪大学工学部卒。大阪市生まれの58歳。

 


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