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UR西日本うめきた都市再生事務所 西尾 司所長  【2024年05月27日掲載】

まちづくりの新しいかたち「グラングリーン大阪」

いよいよ9月6日先行まちびらき

サウスパークなど仕上げ順調

万博に合わせて工事進捗


 グラングリーン大阪(うめきた2期地区)では現在、9月6日の先行まちびらきに向けた仕上げ工事が加速している。まちびらきは、サウスパークの全面とノースパークの一部が先行開業するもので、事業は都市公園事業と土地区画整理事業、民間事業者により行われている。このうち、都市公園事業と土地区画整理事業を施行する都市再生機構では、自ら事業はもとより、区域内で実施されている大阪市やJR西日本の事業の調整役を担っている。これら事業を統括するUR都市機構西日本支社うめきた都市再生事務所の西尾司所長は、「プロジェクト全体をいかにスムーズに進めていくかがポイント」と語る。その西尾所長に、これまでの事業経過や今後の見通しについて聞いた。

■まずは、先行まちびらきを予定しているエリアの整備状況から。

 先行まちびらきは、サウスパークの全面とノースパークの一部及び民間敷地の北街区賃貸棟で行われます。現在は、URが施行する都市公園事業と土地区画整理事業とともに、民間開発事業が実施されています。都市公園事業では、サウスパークで1万人規模のイベント開催を可能とする水盤のある芝生と大屋根で覆われた「リフレクション広場」で芝生の張り付けを順次、実施しています。ノースパークでは、ネクストイノベーションミュージアムエリアの植栽工事がほぼ完成しています。
 土地区画整理事業で実施している道路に関しては、地区の中央を貫く大阪駅北1号線をはじめ、2号線、3号線のエリア内に建設される建物へのアクセス道路のほか、九条梅田線の歩道整備も進んでいます。特に、JR新駅周辺の九条梅田線では、車道を切り替えるため完成形となった歩道を4月18日から歩行可能となっており、今後は南側の道路整備を進めていきます。
 これらの工事と先行エリア以外の工事も含めて事業費ベースでは、これまで公園事業では62%、土地区画整理事業では約65%の進捗率となっています。まちびらきに向けては今後、各種の検査や手続き等が必要となりますが、順調に推移しています。工事にあたっては、通行車両や歩行者も多く、いろいろと制約もありますが、工事の進捗に合わせ道路を切り替えながら進めています。

■URは、事業主体であるとともに事業全体を統括する役目もあります。

 URとしては、自らの事業を進めるだけでなく、うめきたプロジェクト全体の事業をいかにスムーズに進めていくかプロデューサー役としての任務、役割があります。区域内で複数の事業が輻輳すると、各事業者はどうしても自らの事業を先行させたくなりますから、そのあたりの調整がポイントになります。
 この中では、JR東海道線支線地下化事業と新駅設置事業を予定通りに開業させることが最初の目標でした。この事業の進捗にあたっては、一部道路を迂回する必要があり、このため、工事の進捗に合わせて道路の切り替えを行いながら迂回路設置等を実施し、昨年3月18日に新駅が開業することができました。
 また、地下の軌道敷設が完了後、既存の軌道撤去にも着手し、昨年の秋頃には殆どが完了、その後に3号線道路の整備に着手したほか、梅田シティへの地下通路も撤去しました。

■なるほど。

 現在では、JRの駅舎工事や公園内での建築工事の進入路を確保するため、各事業者と連携し最も適した方策を探りながら取り組んでいます。勿論、URとしてもその間、各種のインフラ工事や道路整備、公園整備の各工事を予定通りに進捗させてきました。
 工事にあたっては安全対策に万全の注意を払いました。特に大阪駅前といった立地で、周辺の車両交通を止めることなく、歩行者が往来する中での道路拡幅や車線振替、歩道整備等安全管理には細心の注意を払っています。
 また、資機材搬入等の工事車両の出入りでは、早い段階から事業者や施工者と調整しながら工事の進捗に合わせてゲートを設置しています。連絡調整は毎月、定期的に関係事業者による会議を行い、工事や工程予定等の情報共有を行っています。今のところ大きな事故もなく進んでいます。

■先行まちびらき以後の取組みと、今後の事業推進に向けての抱負を。

 今後は、先行エリア以外での工事を実施します。URでは、公園事業でのノースパークの整備を進めるとともに、土地区画整理事業では、国道一七六号線へ接続するための橋梁工事とそれ以北のインフラ整備や道路整備工事を令和八年から九年の完成を目指して進めていく予定です。
 JRでは、駅舎となる「うめきたグリーンプレイス」の工事を進め、大阪・関西万博の開催に合わせて2025年春の全面開業を予定しています。また、南街区では開発JVにより二つのホテルが入る賃貸棟工事が、2025年春の開業を目指して仕上げ段階に入っており、南北街区の分譲棟でも工事が進められていくことになります。
 グラングリーン大阪は、大阪、関西の中心地と言える地に、これまでにない魅力を持った大規模なみどり空間の創出やライフデザイン・イノベーションをテーマに、新たな産業の創出拠点を形成するなど、みどりとイノベーションの融合拠点を創り上げていくもので、九月にはそのまちの一部が始動することになります。
 先行まちびらきはゴールではありませんが、これまで事業に関わっていただいた行政も含めて事業者や建設業界の皆様には感謝を申し上げます。今後もグランドオープンまで安全第一、品質第一でまちづくりにご協力を頂きますようお願いを申し上げます。

■ありがとうございました。



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