日刊建設新聞社   CO−PRESS.COM
(一社)大阪空気調和衛生工業協会 北村広外志会長  【2023年07月20日掲載】

社会に貢献できる協会に

来年創立50周年が飛躍の筋目


 「業界発展のために全力を尽くし、会員と協力会社も含めて社会に貢献できる協会としたい」と就任にあたっての抱負を語る。5月の定時総会で会長に就任。また、日本空調衛生工業協会近畿支部長との兼務となることから、「支部長としての役割も踏まえながら、いろんな課題に取り組んでいく」と決意を述べる。

 協会運営については、総務・経営・広報・技術の各委員会活動の活性化を通して「協会としての存在意義を高めていきたい」としながら、「賛助会員の意見も聞く必要がある」とし、賛助会員も含めて、どうすれば社会に貢献できる協会となるのか、幅広い観点から伝えていきたいとした。

 その賛助会員との交流については、新商品や技術等の説明会を平成29年から実施していることから、「その中で意見を交わし、協会がどうあるべきかを、同業者ではない視点からの意見やアドバイスを伺いながら協会活動に反映していきたい」とする。

 また、新たな試みとして、「業界全体の連携を深め、企業単位では解決が難しい課題解決に取り組みたい」とする。その一つとして、来年度からの時間外労働の上限規制に対応する現場業務量を減らすための取組みを挙げた。

 現在、専門工事各社では、元請に提出する現場書類作成を効率化するため、現場にサポートチームを配置するとともに、フロントローディングにより提出書類を作成している。しかし、その様式がゼネコン毎に異なるため、「その様式を統一できれば、さらに効率化が図れるのでは」とし、そのため会員が連携し、情報共有により統一化が図れればと期待を寄せる。

 この背景には、各社サポートチームには、協会青年部会に所属する若手技術者や女性技術者で構成するなでしこ設備部会のメンバーも多数いることからで、それぞれの部会で検討してもらい、「そこで出た意見なりを協会として吸い上げ、元請団体等に働きかけていければ」と意欲を示す。

 時間外労働の上限規制に関しては、「業界の現状と課題、今後の展望に関して」とする要望書を発注機関や民間事業者、ゼネコンに対して提出したことについて、「その結果に対して協会全体で意見交換していきたい」としながら、現状、上限規制が始まれば「大変厳しい状況になるだろう」と懸念を示した。

 また、現場業務量を減らすための、資材搬入におけるロジスティクス方式の導入、フロントローディングによるBIM活用などDXへの取組みでは、「元請の協力があれば現場業務量を減らすことが可能」とし、さらに適正工期の設定や経費、労務費補填等の発注者側の協力下で時間外労働の上限規制に対応できるのでは―としたほか、建築工事での一括発注から設備工事を分離して設備企業への直接発注も、「効率化につながるのでは」とする。

 業界全体の課題である担い手確保については、リーマンショック以降は、「離職者もあったが仕事量が減少したことにより一定数は確保できた」としながら、現在は、作業員数がリーマンショック以前には戻っていないことに加え、「仕事量の増加に伴い逼迫しつつある」とし、少人数で施工の効率化を図り、生産性向上に取り組むには、「一企業ではできず、業界全体が横と横で連携しながら、全体で取り組む必要がある」。

 このほかの活動では、来年5月に協会創立50周年を迎えるにあたり、記念式典開催とともに7月に記念誌の発刊を予定していることから、今年について、「50年を協会飛躍の節目とするための準備の年」と位置付ける。

 また、全国で唯一の取組みである配管技能コンテストについては、技術を競いながら、担い手確保にも大きく貢献するもの」とし、この取組みが全国展開すれば―との思いを語る。脱炭素化社会への取組みでは、 会員各社がそれぞれの技術を駆使した取組みを、協会としてPRするなど支援していくとした。

        〇

 入社後は技術部門に配属され長らく現場業務に携わり、40代で営業部門に転じる。印象に残る工事はとの問いに、「現場も営業もそれぞれに印象に残る仕事はある」とする。

 現在の心境としては、いかに無駄を省き、生産性を上げるかに取り組んでいる建設業の働き方改革において、「現場には仕事と無駄しかない」とするトヨタのある役員の言葉が「今の建設業に当てはまる」とした。

 休日は、大阪に赴任前は街歩きで過ごしていたことから、現在も市内の住居から会社まで徒歩で出勤し、その途上で話題の店やスポットを発見するごとに、「いつか行くこと」を楽しんでいる。

 北村広外志(きたむら・ひろとし)昭和55年3月日本大学工学部機械工学科卒、同年4月ダイダン入社、平成29年4月上席執行役員大阪本社副代表兼大阪本社営業統括、令和2年4月常務執行役員営業本部長、同5年4月常務執行役員西日本事業部長兼大阪本社代表。石川県出身。66歳。

 


Copyright (C) NIKKAN KENSETSU SHINBUNSHA. All Rights Reserved.
当サイトを利用した結果に関するトラブルなどに関しては、当社としては一切責任をとりかねます。