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大阪府左官工業組合 北谷吉弘理事長  【2022年06月06日掲載】

支部会再編開かれた理事会へ

組合員増強に向け情報発信

若年労働者の入職促進につなげる


 大阪府左官工業組合の北谷吉弘理事長(植木組代表取締役)はこのほど、就任にあたっての会見を行った。5月の総会で副理事長から就任。会見で北谷理事長は、組合員増強を抱負に掲げるとともに、支部会の再編や組合員に開かれた理事会への取組みへの意向を示し、課題である「職人の高齢化と若年入職者減」の解決に向け情報発信を強化することとしている。

 就任にあたっては、まず組合員数の増強を挙げる。現状は少しずつ増えてきているとしながら、「数が少ないと組合としての力が不足する部分もあり、加入促進にあたっては、組合に入ることのメリットを前面的に出していきたい」と抱負を語る。

 組合員の増強に関しては、大阪府以外の業者も視野に入れる。同組合の上部団体である日本左官業組合連合会では、同組合を大阪支部と位置付け、支部のない奈良県や和歌山県の業者の加盟も認めており、既に加入している業者もいることから、「府域外でも希望する業者がいれば受け入れていく」とした。

 組合加入のメリットでは、「情報発信」を挙げる。働き方改革や建設キャリアアップシステムなど、現在、業界を取り巻く環境は加速化しており、それらに関する国の施策や通達等について、「講習会や説明会を開催して組合員に周知するなど、一つでも多くの情報を提供していきたい」とし、さらに組合員同士の「横のつながり」ができることもメリットの一つとし、組合員数が増えれば、そのつながりもより強固なものとなる。

 その情報発信にあたっては、SNSやインスタを組合と組合員双方が活用することで、「生きた情報をタイムリーに発信していく」としている。総会を機に理事・役員が若返ったことから、柔軟な思考での対応が期待でき、「組合員からのアクションに対して迅速に対応することも可能となる」と期待を寄せる。

 組合活動では、支部会を再編成する考えを示した。現在、阪神・北・京阪・南・阪南の5つの支部会を置いているが、組合員数にバラツキあることから、組合員の多い支部と少ない支部では、温度差があり、メンバーが固定することで、「活動が停滞し、マンネリ化する」ことから、組合員の入れ替えを含め、適正数に再編することで支部会の活性化の図り、「各支部会が抱える課題や意見を理事会に挙げてもらいたい」とする。

 また、職人に対する休日や給与面での処遇改善も大きな課題とし、このため、組合が力を結束して単価アップの働きかけを行うとともに、それによる労働環境を整えて「若年労働者の入職促進にもつなげていきたい」。

 さらに、「風通しのよい組合」とするため、理事会のあり方も変えていくとした。この背景には、「理事会の役割が分からない」とする組合員からの声があるためで、このため、「年間10回開催されている理事会のうち、数回程度は組合員に開放したい」との意向を示す。

 これは、理事会の「見える化」であり、組合員への情報発信の一環でもある。一方的な情報提供でなく、組合員が理事会に参加して対話する中で、組合活動に活かせる部分も出てくるのでは―と期待を示し、参加希望者が増えてくれば回数も増やしていきたいとしながら、「こうした取組みを組合員自らがメリットとして利用してもらいたい」と呼びかける。

 また、資格検定試験でこれまで組合員の受検者を対象にしていた事前講習について、今年度は組合員以外にも無料で受け付けるとした。これは、「組合員以外の受検者が講習を受講し、それを契機に組合への加入につながれば」との狙いがあり、北谷理事長は、「左官業界全体の底上げと裾野を広げる意味合いもある。組合員にとっては不公平感もあるだろうが試行的に実施する」とし、結果によっては次年度以降も続けたいとした。

 一方、現状の課題としては、職人の高齢化と若年入職者不足を指摘。「左官に限らず、どの業種でも同じとは思うが、左官の場合は特に高齢化の割合が高く、ここ数年で半数以上が退職していく」と懸念を示す。若年入職者の促進では、休日や給与等の処遇改善とともに、 「仕事に対する喜びとやりがいとともに、若い人達に左官を知ってもらうこと」とし、このため、「いろいろな意見を聞き、あらゆる媒体を通して発信していきたい」と決意を述べた。

 幼少の頃から資材用の砂で遊んでいたとし、植木組に入社後は多くの現場に携わってきた。3Kが当たり前の時代だったが、「残業や徹夜作業など苦労した後の達成感がたまらなかった」とする。趣味はバイクツーリング。 泊まりがけでいくこともあるが、土塀や白壁を見かけると「立ち止まってしばらく眺め、写真を撮ってしまう」と笑う。

 モットーは「昨日より1%、今日より1%」と現状に満足せず、もう1%積み上げる「もう1%主義」。

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 北谷𠮷弘(きたたに・よしひろ)高校卒業の昭和57年4月に植木組入社。平成8年6月に取締役、同17年12月から代表取締役。組合では、平成18年5月に監事、同24年5月から専務理事、同30年5月から副理事長。 これまで、大阪府知事表彰(なにわの名工)、国交大臣顕彰(建設マスター)、国交大臣表彰、総理大臣表彰(ものづくり日本大賞)を受賞。大阪府出身。58歳。

 
 
 
 


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