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住友電設(株) 谷 信社長  【2022年01月27日掲載】

グループ一体で成長拡大

ビジョン24の先を見据えて

今期 目標値を達成の見込み


 住友電設の谷真社長はこのほど、大阪市西区の本社で会見を行い、来年度事業の見通し等を語った。会見で谷社長は、今期の業績は、「最終的には目標値は達成できる見込み」と評価。来年度に関しては、中期経営計画ビジョン24の中間年であり「ビジョンの成果を見極める重要な年」と位置付け、チーム住友電設として対応を強化していくと決意を語った。

 昨年を振り返って谷社長は、中期経営計画ビジョン24に基づき、新たな成長戦略と総合力で持続的発展をテーマに、総合設備企業グループとして、「各部門の施工力と技術力の底上げに向け資源を投入し、成長拡大を図るためグループ一体となった取組みを進めてきた」とした。

 業績に関しては、上期は、「連結受注高で過去最高値を更新し、売上高も729億円と前期比増、経常利益も高いレベルで推移した」とし、下期は半導体不足による工期遅延等が懸念されるが、通期では「増収増益とした公表値は達成する見通し」とした。

 来年度については、コロナの影響による資源や半導体をはじめとする資機材の供給不足に伴う納入遅延など、「世界的なサプライチェーンリスクの顕在化により依然として景気は厳しくなる」との見方を示し、建設市場についても原油高等による不透明感は拭えず、海外でも急激な回復は望めないとしながら、「ビジョン24の中間年であり、ビジョンの着地点を見極める重要な年」と位置付け、同社のあるべき姿を目指して施策を展開していくと決意を語った。

 これら施策の展開にあたっては、「人が財産であり、社員一人ひとりが専門性と個人力を磨き、社員を結集して総合力を高め、新しいことに挑戦していくことが必要」とし、このため社員に対しては、「チーム住友電設のさらなる進展と変化への柔軟な対応」についての呼びかけを行ったとした。

 現在、研修施設建設やITグランドデザイン推進など、チーム力を結集して進めているプロジェクトがあり、「これらは将来的に住友電設グループの財産になる」とし、社員個々が有するいろんな発想やアイデアを「組織的に汲み上げて対応できるような形にしたい」と述べ、これら取組みを通じてチーム住友電設としての意識を高めたいとした。

 変化への柔軟な対応では、資機材不足やサプライチェーンリスク等の現下の課題が長期化する恐れがあることから、「各部門において早期の手当や代替機器の提案、前倒し発注等を一層進め、回避可能なリスクの未然防止」を要請し、さらにカーボンニュートラルの取組みに関し、「柔軟に対応してチャンスとリスクを見極めてほしい」とした。

 中期的な事業見通しについては、大都市圏を中心に「データセンターや物流倉庫等の一定の需要が見込まれる」とし、カーボンニュートラルに係る太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー分野、国土強靱化政策でのインフラ維持・更新関連工事等が「一定の下支えとなる」ことに期待を寄せる。

 また、IoTやAIの革新技術活用による生産性向上への取組みも進展することが予想されるが、「長期的観点からは国内での建設投資の大きな伸びは期待できない」との見方を示す一方で、この状況の中でグループとしてスケールアップを図り企業価値を高めるには、「ビジョン24の先を見据えた対策を今から考えなければならない」とする。

さらに、働き方改革や人材の確保・育成、生産性向上など、建設産業が抱える課題、将来的な市場縮小、受注競争激化や資機材不足による価格高騰等も「ある程度想定する必要がある」とした。このうち、働き方改革では、在宅勤務やサテライトオフィス、フレックスタイム導入や定期的な労使協議開催など、改正労基法施行に向け、段階的な労働時間短縮に向けた取組みを推進。

 人材確保では、新卒者に対する入社前から入社後までの一貫教育による定着・強化を図り、人材育成では、各部門と部門横断による総合教育体制の構築、研修施設による実践教育等により、 「技術能力の開発や個々の力を発揮できる風土づくり、マルチエンジニアリングとグローバル人材の育成に取り組んで行きたい」とした。

 生産性向上に関しては、ITグランドデザインに基づき、現場業務のデジタル化やコスト削減、労働時間短縮を推進、施工現場に対する省力化工法発案等の支援、シニア技術者によるフロントローディングによる作業効率化に取り組むこととした。

 一方、新分野への取組みに関しては、ビジョン24に掲げた▽情報通信▽機械設備▽再生可能エネルギー▽海外事業―に注力。情報通信では、5Gの進展・普及に伴う新たなビジネスチャンスにより、「M&Aも視野にいれた事業領域の拡大に期待」を示し、 機械設備では電気・機械をセットに首都圏をターゲットに受注拡大を目指し、再生可能エネルギーは、自家消費型太陽光発電や風力発電では送電線容量増加による工事の大型化にも対応していく。

 また、海外事業では、拠点であるインドネシアやタイでの内需拡大と、非日系企業によるローカル案件、増加するデータセンター整備案件へ積極的に取り組むとした。このほか、2018年度に立ち上げた独自のクラウドサービスに関し、 食品衛生法改正に対応した飲食店向けの国際的な衛生・品質管理手法HACCP(ハサップ)管理システムを開発、「これを軌道に乗せていきたい」とした。

 
 


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