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ジャパンメディカルリンク 島正広理事長(医学博士) 【2022年01月06日掲載】 |
医療新しい流れ 「ミライの医療」に出会える万博・大阪パビリオン |
日本の医療の国際化が推進される中、特定非営利活動法人ジャパンメディカルリンク(大阪市浪速区、島正広理事長)は大阪における医療インバウンドの公認窓口として日本で治療を望む外国人患者を受け入れ、多くの成果を上げている。また、島理事長は予防医学の専門医(医学博士)として「アンチエイジング」を臨床現場で長年にわたり実践し、啓蒙活動にも力を入れる。大阪パビリオン推進委員会のアドバイザー(ヘルスケア・先端予防ドックワーキンググループ)も務める島理事長に医療インバウンドにおける取組みやアンチエイジング、未来の医療などについて聞いた。 |
医療インバウンド復活へ 全国の病院での受け入れめざす 待ち望む海外患者 |
■まずはジャパンメディカルリンク(JML)を立ち上げた経緯などについて教えてください。 |
2005年に設立し、上海万博(2010年)を契機に本格的に医療インバウンドに取り組み始めました。従来の日本の医療インバウンドは、人間ドックなどが中心であるとともに、検査結果で疾病が発見されたとしても、治療に対応ができる病院は極めて少ない。そのため、外国人患者さんが日本での治療を望んでも、治療が受けられないケースが殆どでした。 |
■現在の活動状況などについてはいかがですか。 |
この2年ほどはコロナの影響で海外からの患者さんを受け入れができない状況が続いていますが、受入数は5年くらい前から10人、100人、1000人と急速に増えていました。 |
■医療インバウンドの潜在需要はかなりありそうですね。 |
事実、日本で「腎臓移植」や「脳動脈瘤クリッピング術」といった治療を希望する外国人の患者さんはものすごく多い。これからインバウンドが復活したら、治療希望者は100万人、200万人と爆発的に増えていくでしょうから、その受け皿となる医療施設が必要になります。「日本で治療を受けたい患者さんが正しいルートで最先端治療を受けられる」。われわれが確立したそのノウハウを今後、全国に広げていき、日本各地の病院で外国人患者さんを受け入れられるようにしたい。協力は惜しみません。 |
予防意識の高まり期待 本物のヘルスケア体験 |
■次に島理事長の専門である予防医学に関してお聞かせください。 |
私は2000年から自らのクリニックで予防医学を実践し、その成果に基づいて予防の重要性を訴え続けています。 |
■なるほど。予防医学に関しては大きな差があるのですね。 |
一方、私は日本抗加齢協会の関西事務局長として「予防の意識」「ヘルスケアの実際」を広めるためのイベントを5年ほど前から定期的に開催していますが、アンチエイジング(抗加齢)に関して「医者から直接話を聞きたい」という人は着実に増えつつあると実感しています。イベントでは美容に関することはもちろん、「主人の健康管理のためにサプリメントを飲ませていますが、本当に効果があるのでしょうか」といった質問も多くあります。市販のサプリには十分なエビデンスがありませんから。 |
■万博の大阪パビリオン推進委員会ではアドバイザーを務められています。担当されているヘルスケアの内容などについては。 |
人間にはカレンダーエイジ(暦年齢)とフィジカルエイジ(肉体年齢)があり、今回の大阪パビリオンでは「アンチエイジング・ライド」というポッド型ライドに乗っている15分ほどの間に、その人の血管年齢、肌年齢、脳年齢などのフィジカルエイジを自動診断します。とはいえ、それが分かったところで、10歳若返らせる方法がなければ意味はありません。そこでカレンダーエイジとフィジカルエイジに乖離があれば、パーソナライズ化した「運動」「食事」「サプリ」など最適な取組みをAIで提案します。医者の立場からすれば、これら生活習慣の指導が最も肝心であり治療に近いといえます。 |
■大阪府・市が目指すスーパーシティ(国家戦略特区)においても、健康寿命の延伸をテーマの一つに据えています。 |
スーパーシティ構想では、フェーズ3(2026年以降)において未来の医療を実現すべく取り組んでいます。フェーズ2である万博はまさに重要な通過点です。 |
遺伝子解析で抗がん剤もオーダーメイドに 2003年の医療 |
■2030年の医療はどのようになっているのでしょうか。 |
みなさんの身近なところでは遠隔医療・遠隔服薬指導です。自宅で殆どの検査が可能になり、例えば、スマホのような検査機器をかざして全身をスキャンし、そのデータを医者に送る。結果、病気と診断されればドローンで薬が届く。あわせて遺伝子情報の解析も進んでいるでしょうから「あなたはこの年齢でこの病気になりやすい」とほぼ分かる。さらに遺伝子タイプが分かっていることから、抗がん剤についても今のようなスタンダードなものはなくなり、すべてがオーダーメイドになる。ごく簡単に言えば、そんなイメージですね。 |
■設置運営事業予定者が決まり、大阪ではIR(統合型リゾート)誘致に向けた機運が高まっています。期待することはありますか。 |
一例を挙げると、海外ではIRのMICE施設において手術のデモンストレーションができます。医者が「これからこういう処置をします」と国際会議の場で患者さんにメスを入れても法律には抵触しません。しかし、今の日本では画像を流すことはできるが、実演はできない。やはり、医者にとっては生で見ることが一番の勉強です。日本の先駆的な遺伝子治療や再生医療を学びたい外国の医者はものすごく多い。にもかかわらず、規制がネックとなり、最先端の技術や日本型医療・ヘルスケアなどを対外発信するには不十分な環境だといえます。夢洲のIRにはMICE施設も整備される計画ですが、そこで実際に治療ができるよう規制緩和が不可欠です。われわれは教える準備ができていますし、その熱意もあります。 |
■ありがとうございました。 |
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