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鹿島建設(株) 茅野 毅 関西支店長  【2021年06月07日掲載】

顧客満足度ナンバー1へ

社会変化に応じた 企業価値創出に挑戦


 「支店長という重責に身の引き締まる思い。私自身は大阪生まれの大阪育ちで、関西は地元との意識はあるが、これまでお付き合いのないお客様もいる中で、鹿島の良さを知っていただければと考えています」と就任にあたっての抱負を語る。

 建設業は、社会経済活動に不可欠な道路や建物を「間接的に支える社会に貢献する仕事」とし、業務にあたっては、事業に関わる全ての人とともに作る喜びを分かち合い、また、協力会社とは対等な事業パートナーとして、より強固な信頼関係を築きながら「感謝と謙虚な気持ちを持ちながら邁進していきたい」。

 関西支店の位置付けとしては、首都圏に続く中核支店とし、担当エリアのうち特に大阪は万博の関連工事が動き出し、IR候補地もあり観光資源も多く、コロナが収束すればインバウンドの回復も見込める「潜在的に価値の高いエリア」との見方を示す。

 関西支店の運営にあたっては目標として「顧客満足度ナンバーワン」を掲げ、目標達成に向けては「建設業はお客様との共同作業」との考えの下、顧客と作る喜びと感動を共有し、「次ぎもぜひ鹿島で」となるよう鹿島ファンを増やしたいとする。

 具体的には、デジタル技術の進歩により、これまで以上に付加価値の提供が可能となってきたことから、川上から川下までライフサイクル全般にわたり、グループ会社とともに効率化を図って、「より少ないインプットでより多くのアウトプットを得られる、お客様にとっての付加価値の最大化を追求していきたい」とした。

 その上で社員に対しては、自身の経験からもう一歩踏み込んだ取組みにより、新たな展開が開けることがあることから“One More Step”をスローガンとして全員で共有しながら「私も含めて様々なことにチャレンジしたい」と意欲を見せる。

 関西の現状については、コロナにより民間投資が低調としながら、今後、万博開催に向けた工事が本格化し、さらにIRも動き出せば、「中長期的には大きな建設投資が見込まれる」との見通しを示しながら、今後予想される産業構造や生活様式の変化、気候変動などが建設業にどのような影響を与えるかを見極め、「当社が保有する最新の技術を活かしたソリューションを提供していきたい」とする。

 事業展開では、鹿島グループの3か年の中期経営計画の下、中核事業である建設業の基盤強化として、「社会の変化に応じた企業価値の創出への挑戦」を挙げる。特に需要が高まっている分野への対応を強化するとともに、防災・減災、BCP、脱炭素社会への取組みなど、社会的課題を解決する分野にも注目。

 この中では、カーボンニュートラルも貢献する技術として同社が開発したCO2を吸収するコンクリート「CO2スイコム」やBIM/CIMのデジタル技術の提案、設計・施工はもとより維持管理やリニューアル等の多様な技術・機能を組み合わせて新たなニーズに応えていくほか、開発事業としてPRE(公的不動産)やCRE(企業不動産)への積極的な活用提案など、「請負業にとどまらず視野を広げた取組みも進めいきたい」とした。

 一方、支店での働き方改革については、各部門や現場で残業目標時間を定め、それに向かって進めるなど、「目標を持って段階的に取り組む」こととしている。この中では、業務のあり方を一から見直し、それまでの経験値等をデジタル化して伝承していくことの必要性を指摘。

 また現場では、BIM/CIM化やIoT、AI等を導入して生産プロセスの変革を挙げ、人と機械が協働する「次世代型の建設生産システムを目指すことで、魅力のある建設現場を構築していきたい」とし、 デジタル化の進展に伴い、「データを利活用する余地はまだまだある。そういった取組みを加速させていきたい」と語る。

 このほかコロナ対策では、クラスター発生防止を第一として、これまでの対策を徹底して継続していくとした。

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 入社後は関西支店に配属、現場ではオフィスビルから音楽ホール、レジャービル、高層ビルを手掛ける。中でも計画段階から関わったUSJの工事は、「米国仕様を日本仕様に変更するなど苦労もあり、当時としては難しい工事だった」 としながら、施主はもとより、他工区も含めた設計事務所、ゼネコンが一致協力して工事を進めたことが印象に残ると語り、当時の関係者とは今でも親交があるとする。

 座右の銘は、儒教の教えで仁・義・礼・智・信の「五常の徳」と、誠実に対応すれば物事や人の心は動くーとした孟子の一節で吉田松陰が好んだ「至誠にして動かざるものは未だこれあらざるなり」を挙げ、 これらを規範・信条に、過去の慣習や既成概念にとらわれず、常に何がベストかを考え、行動する「人間力と行動力を兼ね備えていきたい」。

 
 

 茅野毅(かやの・たけし)
1984年3月京都大学工学部建築学科卒業、1986年3月京都大学大学院建築学科修了、同年4月鹿島建設入社、1992年6月Kajima International Inc出向、2012年2月関西支店建築部長、2017年4月建築管理本部建築企画部長、2019年4月執行役員建築管理本部建築企画部長、2020年4月執行役員建築管理本部副本部長、2021年4月常務執行役員関西支店長。旅行好きで海外・国内を巡るほか、自ら豆を選び、煎れるコーヒー好き。豊中市出身。59歳。



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