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大阪府都市整備部 森岡武一部長  【2021年02月01日掲載】

コロナ下、予定通り事業進捗

来年度 国土強靭化加速を活用

技術継承の取組み推進も


  大阪・関西の成長と府民の安心・安全確保の実現に向け、各種の施策を展開する大阪府都市整備部。今年度は、コロナ禍の下での事業推進となったが、森岡武一部長は、「大きな影響はなく、事業は予定通りに進捗することができた」と語る。現在は、「継続事業が中心」とする森岡部長に、これまでの取組み状況や来年度の見通し等について聞いた。

■今年度事業の取組み状況を。

 都市整備部では、大阪・関西の成長と府民の安全と安心の確保が大きな使命となっています。今年度は、新型コロナウイルスの影響がある中で、いかに事業を進めていくかが課題でしたが、コロナ禍にあってもほぼ、予定通りに取り組みを進めることができたと思います。コロナの感染対策では、国の要請を受け受注者から要望があった場合は、工事を一時中止することになっており、一部工事で中断はありましたが、5月には全て解除になりました。ただ、府営公園やプール等に関しては開放するかどうかで検討は致しました。
 安全・安心分野の事業では、南海トラフ巨大地震に備えた防潮堤等の液状化対策、安威川ダム建設事業や寝屋川流域の総合治水対策である地下河川と下水道増補幹線、さらには設計段階ですが三大水門更新事業があります。これら事業では、防災・減災国土強靱化のための3か年緊急対策も活用しながら進めてきました。
 成長系では、大阪モノレール延伸事業で工事発注が行われたほか、直接的には大阪府の事業ではありませんが、なにわ筋線での手続きが終わるなど、着実に事業を進めることができました。特にモノレールについては用地がほとんど確保できていますから、早期の工事着手が可能となっています。
 道路関係では、各種の街路事業を進めているほか、昨年3月には大和川線が供用を開始し、これは一つの大きな節目でありました。そのほかでは、これも大阪府が直接実施する事業ではありませんが、淀川左岸線の2期事業と延伸部事業も進められています。

■安威川ダムでは昨年に定礎式が行われ、これも一つの節目になりました。

 無事に執り行うことができました。一つの節目であり、定礎式には地元をはじめ関係者など、事業にご協力をいただいた方々をお招きし、その成果を見ていただけたことは良かったと思っています。
 また、公園事業では新たな管理制度の導入に向けた取組みを進めています。公園管理はこれまで指定管理者制度を実施していましたが、今後は指定管理者制度とともにPMOやPARK―PFIを取り入れることとしました。制度的にはそれぞれ異なっていますが、これからの公共事業では民間の力を導入することが求められてくるのではと考えています。
 下水道についてもPPPの取組みを進めていきます。また、将来の更新用に確保している用地の暫定利用で民間事業者を公募し、既に数カ所で実施しています

■先程、総合治水の話がでましたが、国でも流域治水へシフトする方向性を打ち出しておりますが、大阪府としての取組みは。

 寝屋川流域では総合治水事業として実施していますが、国の流域治水のある意味プロトタイプ的なものではないかと思っています。寝屋川では30年以上前から行っており、府の下水道増補幹線と地下河川、流域の各市での公共下水道や調節池など、下水道と河川、府と市の取組み等を組合せたもので、さらには民間も含めたタイムラインも実施しています。このため国の流域治水の考え方に近いものがあり、府としての取組みでは、国の方針に従ってブラッシュアップしていければと思っています。

■昨年は府港湾局と大阪市港湾局が統合され大阪港湾局が発足しました。

 府の港湾局は都市整備部管轄でしたが、大阪市港湾局との統合により組織として一つになりました。ただ、大阪港の港湾管理者は大阪市長であり、府営港湾は知事が管理者であることは変わらず、手続き等の事務処理を行う行政組織が大阪港湾局となりました。

■来年度の事業の見通しでは。

 来年度事業につきましては、現在実施されている事業を着実に進めていくことが中心になり、大きな事業で新規に着手するといったものはありませんが、国の防災・減災国土強靱化のための5か年加速化対策が決まったことから、これを活用して現時点で取組みを進めている事業を加速させていきます。5か年対策の場合、事業費もそうですが、3か年に比べ5年間という期間が大きく、計画的な取組みが可能となります。

■働き方改革への取組みや技術・技能の継承も重要です。近年ではシールド工事が減少し、経験のある技術者がいなくなることが懸念されています。

 働き方改革の取組みでは、災害復旧工事や供用開始日が迫っている現場を除き4週8休を基本としています。この場合、土日に限定せず、その週のうちに2日間は休みを取得するよう奨励しています。災害復旧関連については、幸いにも昨年は大きな災害がありませんでした。
 技術の継承ではシールド工事に関しては、地下河川や下水道増補幹線で現在でも実施しており、道路関係では大和川線で採用されました。確かに工事が減少すれば経験する機会も減ってきます。だからといって、技術を伝承するために工事を実施しているわけではありませんが、次世代に技術を伝えていく必要はあります。現在はデジタル化が進み、技術や技能を記録することも容易になっており、アーカイブとしての取組みは数年前から行っており、今後も様々な取組みを検討していきます。

■ありがとうございました。



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