日刊建設新聞社 CO-PRESS.COM |
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関西の元気をかたちにする 全方向の社会資本整備 |
国民の生命・財産を守り、日々の暮らしを支える社会資本整備に努める近畿地方整備局では、防災・減災対策をはじめ、河川や道路、港湾等の各分野における施策を推進しながら、生産性向上や働き方改革に対応するため、入札契約制度の改善やICT施工の導入、インフラ分野でのDX(デジタルトランスフォーメーション)等への取組みを進めている。これら施策の展開にあたって同局の溝口宏樹局長は、「関西の元気をかたちにするもの」とする。その溝口局長に、これまでの事業の進捗状況や今後の見通し等について聞いた。 |
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主な取組み 変革の波 |
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河川など自然災害への備え急ぐ 万博に向けてインフラしっかり |
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■まずは、今年度の主な事業の取組みと進捗状況についてお聞かせ下さい。 |
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初めに、新型コロナウイルスへの対応に関して申します。昨年のコロナ禍において、建設業の方々が現場での感染対策を早い段階から進めていただき、これまでに建設業におけるコロナの影響は最小限に抑えられました。自粛期間中も、社会活動維持のために、建設業の方々が休まずに経済の下支えを行っていただいたことに、まず改めて感謝申し上げます。 |
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■新型コロナウイルスの影響により、生活や行動様式が変化しましたが、それらを踏まえた事業の進め方や取組みについて。 |
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今年度当初は工事発注の遅れもありましたが、その後は遅れも取り戻し予定通りに事業は進捗しています。その一方で、コロナの感染拡大防止対策をきっかけとして、社会全体でデジタル化が急激に進展し、仕事のやり方も大きく変わってきています。近畿地整でも、テレワークやオンライン会議等を積極的に導入し、工事においても受発注者双方向通信による監督・検査の遠隔臨場を試行的に取り組むなど、時代に応じた働き方にチャレンジしています。 |
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■大阪・関西万博の取組みが進む中、関連するインフラ整備等における近畿地整の役割はどのように。 |
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2025五年の大阪・関西万博は、関西の魅力を世界に発信する絶好の機会であり、これに併せてインフラ整備を着実に進めていく必要があります。会場となる夢洲地区の周辺では、夢舞大橋や此花大橋の拡幅、鉄道の延伸や夢洲コンテナターミナルの拡充、さらには淀川左岸線等の事業が進められるとともに、来場者の輸送におけるピーク時の分散化等の工夫の検討が進められており、近畿地整としても万博の円滑な開催に向けてできる限りの取組みと支援を行っていきます。 |
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国土強靭化 防災・減災 |
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信頼性の高い幹線道路網構築へ 河川「流域治水」への転換進める |
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■国土強靱化のための緊急3か年緊急対策は今年度が最終年度となりますが、これまでの取組みについて。 |
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強靱化の3か年緊急対策では、平成30年度からの3年間で、河川については管内の全10水系で樹木伐採や掘削、堤防強靱化と耐震対策等を集中的に実施しました。熊野川では、河道掘削と利水ダムの治水協力により、令和元年台風10号の洪水に対し日足地区で約1・3メートルの水位低減効果があり、家屋の浸水被害が回避できました。 |
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■強靱化対策以外の防災・減災への取組みは。 |
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近年は、気候変動による激甚な災害が全国各地で頻発しています。激甚化する自然災害のリスクに対しては、人命を守るため氾濫を防ぐ堤防やダム等のインフラ整備を一層推進していくとともに、既存インフラの確実な管理や機能向上、土地誘導による住まい方の工夫など、事前防災を加速する必要があります。 |
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■局長ご自身もTEC―FORCEとしての派遣や災害支援への経験がおありですね。 |
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令和元年8月の九州北部の豪雨災害ではTEC―FORCEとして佐賀県庁に派遣されました。六角川水系の水害により鉄工所から流出した油の回収作業に係る浸水排水作業に関する技術支援を行いました。現地では、県当局と九州地整、自衛隊とともに、油の河川下流への拡がりを防止しながら、油除去作業、ポンプ車一六台による排水作業と浸水解消を行いました。 |
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■その体験を踏まえて防災・減災への思いを。 |
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ソフト面も含めたインフラ整備における事前防災、つまり事前のしっかりとした対策の必要性と、発災時に迅速に対応できるよう準備しておくことがいかに重要であるかを改めて痛感しました。事前防災においては、河川や道路整備はもとより、浄水場や下水処理場等も含めたライフラインの対策も必要です。 |
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担い手確保 生産性向上 |
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週休2日普及で魅力向上へ ICT施工の工種拡大など積極化 |
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■災害対応はじめ施策の推進には、行政側、建設業者側ともマンパワーの充足も必要です。 |
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確かに、多くの市町村では技術系職員の不足等により、災害復旧事業の遅れや復旧工法の技術的な検討不足等の問題が生じています。この状況を改善し、災害発生時に速やかな予算措置と技術者確保を行うため、技術系行政経験者に協力を求め、市町村が相互に支援する仕組みの構築に向け、現在、管内の防災に関心が高い市町村と令和3年度の出水期に備えた議論を進めています。 |
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■建設業の担い手の確保育成については、国交省では新・担い手三法や働き方改革を推進されておりますが。 |
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新・担い手三法は、建設業の働き方改革の推進と建設現場の生産性向上、持続可能な事業確保の観点から、これまでの担い手三法を改正したものです。建設業では、長時間労働が常態化し、現場の急速な高齢化と若者離れの進行により担い手が不足し、「地域の守り手」としての役割を維持することが困難であることが大きな課題となっています。これら課題を解消し、建設業者が今後も地域の守り手として活躍し続けることができるように施策を定めたもので、近畿地整においてもそれに基づく取組みを推進しています。 |
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■生産性向上の取組みとしてICT施工の推進も必要です。 |
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国交省では、i―Constructionの取組みを徹底し、建設現場の生産性を2025年度までに2割向上させることを目指しています。このため、ICT施工の工種拡大はじめ、現場作業の効率化や施工時期の平準に加え、BIM/CIMによる3次元設計を導入し、測量から設計、施工、維持管理までの情報シームレス化等に取り組んでいます。令和2年度では、大規模構造物の予備・詳細設計においてBIM/CIMを導入し、令和5年度までに全ての詳細設計と工事において導入するよう、段階的に適用拡大を進めているところです。 |
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■担い手確保や生産性向上に関しては、地方自治体とともに民間工事への浸透が強く求められています。 |
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やはり、近畿地整として先頭に立って取り組んでいくことが、地方自治体や民間工事への浸透への近道ではないかと考えており、そのためにはさらに徹底した取組みが必要です。 災害時には地域の守り手として建設業の役割は重要であり、道路啓開や復旧作業を早期に進めるためには建設業の方々の活躍が不可欠です。今年もこうした建設業の災害時の活動を国民に知ってもらえるよう努力しながら、建設業の担い手確保を目指した建設業の魅力向上につながる施策に取り組んでいきます。 |
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■最後に、建設業に対するご意見や要望、局長ご自身が期待されるところがありましたら。 |
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繰り返しになりますが、建設業は地域の守り手として平時におけるインフラ整備、災害時には最前線で地域社会の安全と安心を確保するなど、地域の生活や社会経済活動を支える重要な役割を、
将来にわたって担っていただかなくてはなりません。近年では、大きな地震への発生や気候変動による水害、土砂災害、渇水被害の頻発化、激甚化が懸念されており、その役割はますます重要になっています。 |
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■各施策の推進にご尽力下さい。ありがとうございました。 |
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