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大阪府住宅まちづくり部 藤本秀司部長 【2020年01月20日掲載】 |
災害対応を強化 活力と魅力ある都市空間創造 密集市街地解消や耐震改修など |
大阪府のまちづくりを先導する、大阪府住宅まちづくり部では、活力と魅力ある都市空間の創造を目指し、安全・安心な市街地整備や良質な住宅の供給など、各種の施策を推進している。今年度は、夢洲を中心としたベイエリアやニュータウン再生、都心の活性化など、広域的なまちづくりに向け動きが出始めているが、同部の藤本秀司部長に、それらの進捗状況や来年度事業の取組みを聞いた。 |
■まずは今年度の事業について。 |
今年度は部の運営方針として、「活力と魅力ある都市空間の創造」を最終目標としています。目標達成にあたっては、「自然災害の教訓を踏まえた災害対応力の強化」の取組みとして、密集市街地解消や耐震改修、「安心・魅力ある住まいの実現」として、ハード・ソフトの両面から、公営住宅と民間住宅のストックを組み合わせて住宅セーフティーネットを構築していくなど、様々な施策を展開しています。施策によって進捗状況のバラツキはありますが、全体では概ね順調に進んでいると思っています。 |
■密集市街地解消の進捗状況は。 |
「大阪府密集市街地整備方針」に基づき、府や当該市、関係機関が協力して取組みを進めています。効果が見えづらい部分はありますが、安全性は着実に向上しています。 |
■バリアフリーの整備も重要です。 |
万博により国内外から多くの来阪者が見込まれることから、宿泊施設や鉄道駅を含めユニバーサルデザインのまちづくりを進めていきます。ホテルや旅館に関しては、一般客室でも高齢者や障がい者を含め、より多くの人が利用しやすいよう、バリアフリー化を義務付けるため、福祉のまちづくり審議会において検討を進めました。その結果を踏まえ、この2月議会に福祉のまちづくり条例の改正案を提出する予定です。 |
■府営住宅の整備では建替えが中心となる。 |
府営住宅は現状11万9000戸程度ありますが、高齢化と少子化、人口減少など時代が変化する中で、各市町や地域など、それぞれのニーズに合わせて的確に、タイムリーに対応する必要があります。古い中層住宅の建替えにあたっては、創出した土地を市町や民間に売却することで、まちづくりに活用しています。 |
■泉北ニュータウンでは再生に向けた取組みも進められている。 |
泉北ニュータウンは人口減少と高齢化が進んでいるため、我々としても危機感を持っており、府と堺市、民間企業等と協議会を立ち上げ、再生に向けた検討を進めています。その中で、泉ヶ丘地区に近畿大学医学部が附属病院とともに移転することが決まっており、これを起爆剤に泉ヶ丘を中心に泉北ニュータウンの活性化を図ることとしています。 |
■まちづくりへの取組みでは。 |
部としては、今後の大きな業務となるのが、ベイエリアを含めた広域のまちづくりになると考えています。昨年の大きな動きとしては、夢洲における万博・IRの状況を踏まえ、経済界・大阪市とともに「夢洲まちづくり基本方針」を策定したことです。また、府と大阪市に堺市も含め、ベイエリア全体の活性化に向けた会議体を立ち上げるなど、広域のまちづくりに向けて動き始めています。それぞれの地域にある資源を磨き、つなぐことでまちの活性化を図り、冒頭に申し上げた、「活力と魅力ある都市空間の創造」につなげていきます。 |
■来年度事業については。 |
事業は継続事業が中心になりますが、密集市街地解消などは重点事業として進めていきます。また、大阪城東部地区のまちづくりが動き出します。府立大学と大阪市立大学の統合キャンパスを核としたまちづくりを検討します。新大阪駅周辺地域でも、リニア中央新幹線や北陸新幹線の乗り入れを見据え、新たな交通結節点にふさわしいまちづくりに向け、取り組んでいくこととなります。 |
■ありがとうございました。 |
○ |
民間企業から部長に就任した藤本部長。就任から半年以上が経過し、当初は「右も左も分からなかった状態」から、府議会での答弁等を経験して「自分なりに勉強できた」と、これまでを振り返り、今後は、自身が培ってきた「民間ならではの色を少しずつ出せれば」とする。中でも、民間投資を促す官民が連携した広域的なまちづくりにおいては、デベロッパーとしての経験を活かし、「民間企業の行動原理を活かした、民間が興味を持つような仕掛けを打ち出していければ」と意欲を見せる。 |
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