日刊建設新聞社 CO−PRESS.COM |
大阪府住宅まちづくり部 部長 藤本秀司氏 【2019年06月03日掲載】 |
大阪を盛り上げたい思い 民間の創造力引き出しつつ |
「人生の次のステージを、商社で培ってきた経験を大阪、関西の活性化に役立てたいとの思いで応募した」ことが公募の動機とする。関西生まれで関西育ち、就職に際しても、「関西で仕事がしたかった」ことから大阪発祥の会社に入社。部長就任にあたっては、「これまでデベロッパーとして携わってきた、まちづくりや都市開発での経験を活かすことで、大阪が良い方向に向いて行ければ」と抱負を語る。 |
|
「大阪を盛り上げたい」との思いは強く、住宅まちづくり部は、「まちづくりを通じてそれが実現できる」とし、職員への就任挨拶でもその思いを伝え、ともに努力することを呼びかけるとともに、「少しでも早く戦力となるようキャッチアップするための協力をお願いした」と、行政マンとしての取り組み方や手法の習得へ意欲を見せた。 |
|
部の運営にあたっては、部局運営方針の下、「大阪に住まう人々の安全で安心な住生活を保障し、その上で世界との都市間競争に勝ち残るための活力と魅力のある都市空間づくりを目指していく」とし、万博開催は、そのためのマイルストーンとして身近な目標と捉え、「万博後も見据えた永続性のあるまちづくりを進めて行きたい」。 |
|
今年度事業では、住宅とまちづくりのベースとなる府民の安全・安心を担保する災害対応力の強化として「密集市街地対策と住宅建築物の耐震化」を重点事業に挙げる。密集市街地の解消については、これまで地元市と連携して取組みを進めているが、未だ解消されていない密集市街地があるため、「この解消が喫緊の課題」とし、住宅建築物の耐震化では、災害時に救助・救急、医療、消火並びに緊急物資の供給を実施するため、広域緊急輸送路の沿道建築物の耐震化を集中的に取り組むこととした。 |
|
また、ユニバーサルデザインのまちづくりとして、鉄道駅のバリアフリールートの複数化に向けた取組みを推進。「単一ルートでは迂回せざるをえない箇所もあることから、複数ルートにより利便性を向上させたい」。 |
|
このほか、活力と魅力ある都市空間の創造では、グランドデザイン・大阪やグランドデザイン・大阪都市圏が目指す将来のまちづくりについても、「府市連携で進めていきたい」と語る。 |
|
一方、これまで培ってきた民間ノウハウを、行政施策の中でどう取り入れていくかに関しては、「民間企業でできることとできないことは理解している」とし、民間企業では、株主やステイクホルダーに配慮して利益の拡大を図ることが最終的な目標となることから、行政が求める民間主導型の手法について、「行政が目指す、公共公益のためになるようなまちづくりに至らないケースもある」と指摘する。 |
|
行政が考えるインセンティブと民間企業が求めるインセンティブの違いを認識し、このため行政は、適切な規制緩和等を図る先導役として、「民間の活力と創造力を引き出すような方向性を示す役割が必要で、その辺を意識しながら運営していきたい」との考え方を示した。 |
|
民間主導型のまちづくりの成功例として、一期事業も含めたうめきた開発を挙げ、海外では、シンガポールについて、「よく考え抜かれた都市国家であり、まちづくりにおける一つの完成形とも言えるのでは」と語り、金融も含めてアジアにおける交易拠点、ハブの役割を果たしていることについて、「大阪も歴史や文化も含め高いポテンシャルを有していながら、なぜ長きにわたって凋落傾向にあったのかと、個人的には忸怩たる思いがありました。ですから万博が決定し、IR誘致の可能性も高まっている今こそ、成長する良いチャンスだと思います」と今後の取組みに期待を寄せた。 |
|
○ | |
思い出に残る仕事としては、中国上海市での都市開発事業を挙げる。特に中国の担当者と意思疎通がなかなか図れなかったことについて、「正論を話しても、相手の手法や考え方の違いを認識していかないと成功しない」ことを身をもって学んだとする。 |
|
趣味は、主にクラッシック音楽と絵画鑑賞でコンサートにも足を運ぶほか、たまにやるテニスとゴルフ。座右の銘は、「人事を尽くして天命を待つ」成功するかしないかは分からないが、ベストを尽くすことが重要とする。 |
|
|
|
Copyright (C) NIKKAN KENSETSU SHINBUNSHA. All Rights Reserved.
当サイトを利用した結果に関するトラブルなどに関しては、当社としては一切責任をとりかねます。