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大阪府危機管理室 佐藤広章室長 【平成30年09月27日掲載】 |
大阪北部地震への迅速対応とその教訓 常時待機要員 直ちに全員集合 情報収集・派遣調整・資材以来など |
地震や台風、豪雨など、近年、多発傾向にある自然災害。河川越水や浸水、土砂崩れなど、その被害は広範囲に及び、特に都市部においては道路・交通などに大きな影響を与え、社会経済活動にも支障をきたす場合もある。大阪府における災害対応を担当する危機管理室では、災害発生等の非常時に備え、防災計画の策定はじめ24時間・365日体制で業務に取り組んでいる。その危機管理室の佐藤広章室長に、6月に大阪府北部で発生した震度六弱の地震時の対応等について聞いた。 |
■まずは6月に発生した大阪北部の地震対応について。 |
地震当日は、当番副知事と危機管理室の幹部職員9人が、府庁周辺の宿舎で待機していました。危機管理室の体制では、他部局職員の参加も得て、当直を24時間365日で実施するとともに、災害対策要員として副知事はじめ、危機管理監らが常時待機することになっています。地震発災後は、これら要員が30分以内に全員が集まり、対応にあたりました。 |
■初動体制はどのように。 |
当日の午前9時30分に第1回災害対策本部会議を開催し、まず被害状況等の情報収集を行うことを確認しました。情報収集は、府内市町村や、消防、警察、近畿地方整備局、気象台、ライフライン管理者、さらに内閣府や総務省、関西広域連合から派遣されたリエゾン、緊急防災推進員からの現地情報を集約して情報共有に努めました。 |
被災者へは住宅提供や心のケア 西日本豪雨にも対応 |
■支援状況を。 |
大阪府と防災協定を締結している企業や団体、さらに関西広域連合に対して、ブルーシートや段ボールベッド、スポットクーラー等の調達を依頼し、自衛隊に対しては、吹田市、箕面市、高槻市への給水支援、茨木市と高槻市に入浴支援と応急対策支援について災害派遣要請を行いました。 |
■被災者に対する支援措置は。 |
家屋の被害認定に関し、府と市町村職員、関西広域連合等からの派遣職員による罹災証明発行業務への人的支援、災害救助法に基づく支援として、借り上げ型の応急仮設住宅の提供と住宅応急修理等を実施しています。これに加え大阪府独自の支援対策として、災害救助法の対象外である一部損壊家屋世帯も含めた大阪版被災住宅無利子融資制度と、大阪版みなし仮設住宅制度を運用したほか、住まいや心のケア等に関する各種の相談窓口を開設しています。 |
■これら地震への対応が続く中、7月には西日本豪雨が発生しました。 |
この異常豪雨については、地震による災害対策本部が継続して設置されておりましたから、引き続き対応にあたりました。被害状況については、防災・危機管理指令部が7月5日から9日にかけて市町村からの情報集約を行うとともに、気象台はじめ防災関係機関との連絡調整にあたりました。 |
■この豪雨では、他府県への支援を行っていますが。 |
7月6日に消防庁からの要請を受け、緊急消防援助隊大阪府大隊として、6日から31日まで府内各消防本部から延べ1341人が広島県で救助活動を実施しました。さらに、関西広域連合のメンバーとして広島県をカウンターパートとして人的支援を行い、事前の職員派遣と併せて、8月8日まで避難所運営支援や給水支援業務に従事しました。最終的には、人的支援は延べ317人を派遣しています。 |
■今回の地震と豪雨を受け、従前の防災計画との違いや、新たに得られた知見等はありましたか。 |
まずは今回の地震で得た教訓を踏まえ、南海トラフ巨大地震対策の強化を目的とし、第三者による検討委員会を設置し現在、議論を進めています。検討項目は「市町村への支援のあり方」と「出勤・帰宅困難者対策」「訪日外国人対策」「自助、共助の推進」です。今後、中間とりまとめを行い、年末を目途に最終とりまとめを行います。その内容を大阪府地域防災計画や地震防災アクションプラン、応急対策実施要領等に反映していくこととしています。 |
■復旧や復興の担い手となる建設業界に対して期待することは。 |
大規模災害時には、被災市町村の専門職が不足し、その支援に関しても自治体だけでは限界があります。また、早期の被災者生活再建支援のためにも専門家の派遣や資機材の調達等の支援を期待しております。また、これまで多くの企業や団体と防災協定を締結させていただいており、今回の地震でも物資調達など協定に基づく支援に感謝を申し上げるとともに、今後も支援と協力をお願いしたいと思います。 |
■ありがとうございました。 |
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