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住友電設株式会社 菅沼敬行社長 【平成22年1月18日掲載】 |
受注競争力と健全な企業体質さらに強化 「忘戦即人殆」の意識を徹底 |
住友電設(株)の菅沼敬行代表取締役社長は、恒例となった新年の報道関係者との社長懇談会で、昨年の中間決算における利益面で過去最高を更新したのは、「いま進めている経営体質改善が着実に実っている」と評価した。今年の経営方針については、さらに受注競争力の強化と健全な経営体質の構築を図っていくと語った。(文.水谷次郎) |
■昨年を振り返ってのご感想から。 |
菅沼社長 |
昨年は公共投資の削減に加え、民間企業による設備投資の延期・縮小、各社との受注競争のさらなる激化により、上期決算においては、受注高は3割以上落ち込んだ(515億2200万円、前年同月比35%減)。しかし、05年度から取り組んでいる経営体質改善活動(改革の4本柱)の第2ステップとして、活動内容のレベルアップや、新たにロス管理徹底を図った結果、利益面では営業利益(30億6500万円、同18.7%増)、経常利益(31億8300万円、同20.8%増)とも単体・連結通じて、中間決算では過去最高を更新し、内容的には評価できる決算となった。通期でみても、利益面で昨年の60億円に近い55億円以上は確保したいと考えている。経営体質改善の成果が着実に実っている。 |
■来期の見通しについて。 |
菅沼社長 |
来期は受注減が直接影響してくると思う。全社的に最悪のシナリオを考えておかなくてはいけない。受注・売上は単体・連結ともに今期に比べて2割程度、最悪単体で800億円程度落ち込むことも想定し、この厳しい事業環境でも利益が生み出せる質の高い事業活動を展開していかなくてはいけない。シナリオでは、受注・売上が減少しても、最悪でも連結で30億円、単体で20億円の利益を出そうと計画した。その線は崩したくない。いま、受注・売上が落ち込んでも、健全な決算ができているのはそのためだ。例えば5年前に比べて、現場利益は2倍、経費削減はピーク時の3分の2まで改善された。さらに、いまそれに磨きをかけている。それと財務改革の効果も表れてきた。 |
■具体的に今年の重点施策を。 |
菅沼社長 |
2つあり、1つは「受注競争力の強化」、もう1つはこれまで経験したことがない売上高減少のレベルでも安定した利益がだせる「健全な企業体質の構築」。まず、早急に取り組む必要がある受注競争力の強化策としては、見積原価の引き下げを挙げている。昨年秋から最低でも現在の見積原価から10%の削減に取り組んでいる。工事原価の低減も必要だ。資材購入コストを徹底的に追求する。 |
■環境対策など、新政権にのぞむこと。 |
菅沼社長 |
スクールニューディール施策や二酸化炭素(CO2)25%削減は、建設産業としても大いに貢献できる面がある。しかし、具体的にどういう形で我々が参画できるのか、まだみえてこない。運用の仕方で具体的な方策を出してもらいたい。例えばCO2削減では、調査して一定以上のCO2排出している企業団体をクローズアップし、補助金を出してでもその削減に取り組むのも一つの方法ではないかと思っている。 |
■太陽光発電の参入では。 |
菅沼社長 |
子会社で参入している住宅用の太陽光発電は、かなりの実績を上げており、一昨年から2倍近い伸びを見せている。仕事量の増加に対応するため、子会社に人材を投入しているところだ。今後もグループをあげて積極的に取り組んでいきたい。 |
■海外事業の展開について。 |
菅沼社長 |
ASEANと中国に特化して事業を展開している。2〜3年前は好調に推移していたが、09年度に入り、特にタイでの低迷が著しく、 業績がふるわない。タイでは、日本と設備投資の考え方が違う。もう少し見極める必要がある。インドネシアは好調、フィリピンは堅実といった状況だが、 今後も為替レートの変動についても注視していかなければならない。有望な市場の中国では、新たな拠点を置くなどの対応も検討していく。 |
■建設業界の今後の見通しについては。 |
菅沼社長 |
おそらく3〜4年も経てば、建設業界も大きく変わってくるだろう。その時に備えて、各企業も真剣に将来のことを考えておられると思う。 私はこの時代、新しいものにチャレンジするのは、非常に高いリスクを負うと思う。海外事業にしても限界がある。適切に対応していきたい。 いまは、企業の体質強化やコスト削減に努め、地道に着実に事業を展開し、生き残ることが大事だと思っている。 |
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