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兵庫県建設業協会 川嶋実会長  【平成26年08月04日掲載】

地域が頼れる協会目指す

各支部の生の声を把握して


 兵庫県建設業協会では、このほど新会長に叶嶋建設(豊岡市)の川嶋実代表取締役社長を選出。それにともない川嶋新会長が就任会見を行った。災害復興やインフラの老朽化など建設業への期待が高まる中、人材不足などの課題も多く、その状況下での会長就任にあたり、地域が頼れる兵庫県建設業協会として、頼れる協会・責任ある協会・希望のもてる協会を目標に、今後の協会運営を行っていくとしている。

■まずは就任あたっての抱負をお聞かせ下さい。

 長年、常任理事、豊岡支部長、副会長と協会に携わって参りました。兵庫県全体を見渡して協会のこれからの取り組みを真剣に考え、使命感を改めて持たなければならないと決意を感じております。昨年末に成立した国土強靭化基本法や、先日国会で可決された担い手三法によって、大きな潮目を迎えました。強靭な国土をつくるにあたり、重要となる産業が建設業であると、世間の期待も大きいと思います。その中でのスタートでやりがいもありますが、まずは地道に会員の皆さんと共に、県下の状況を把握しながら活動していきたい。

■会長として具体的にどのような事業展開をお考えですか。

 兵庫県は、淡路から日本海但馬の方まで非常に環境自体が多様性に富んでおり、そのような中で、650社の会員個々は、都市における民間投資の市場を見て経営を進める会社と、公共投資に期待する会社とに分かれます。16ある支部が現状をどのように受け止めているのか、生の声を把握しなければと考えております。協会本部と支部の受け止め方に違いがないかを会長として認識する。そして各支部が抱えている課題を集約して全体の状況を把握していくことが重要だと思います。まずは、経営の改善工夫を行い、企業の体力を回復させる―。国土強靭化基本法や担い手三法によって、適正な利益を見通せる環境に立てたことは、病んだ体力を回復させる大きな後ろ盾ができたと考えており、その中で頑張りぬいていきたいと思います。

■各支部に求める役割は。

 協会は、情報提供など送り手的な役割になりがちですが、これからは各支部と意見を共有できる雰囲気づくりも必要と考えております。定例会議などをより有意義なものとし、協会からの課題提供を十分に理解していただく。入札制度の改善が進む中、せっかく改善されても地域によっては適さない場合もあります。既に工事の発注が始まり、さまざまな事例から、成果や改善に向けた声があがっており、それを各支部の意見として取りまとめ、それぞれが理解することが必要です。

■人材確保と次の世代を担う若手の育成も協会としての大きな役割と。

 人材育成については危機感を持っているのと同時に、人材を確保する手立ては、可能なところから、随時実施していかないとなりません。中小レベルの企業ではネームバリューがない難しさがあります。また、土木系は特に魅力度が低く、魅力アップに向けた取り組みが協会としての役目と考えます。今の若者が育ってきた環境を考え、就業形態を四週八休にするなど、他の産業とかわらなくし、またそれを世間に周知することが必要です。人材確保と経営基盤の安定は切り離せません。適正な利益を上げられるようになれば、自然と人材確保にも繋がると考えます。

■災害への地域建設業としての対応は。

 自然災害への取り組みは、まさに地域社会から頼られる大きな基盤となります。兵庫県は、阪神・淡路大震災などを経験し、自然災害に対する意識も高く、災害への支援ネットワークの構築は急がれています。しかし、道路のミッシングリンクと同じく、会員会社のいない地域があることで、ネットワークのミッシングリンクが起こっており、それは会員の増強に大きく関係しております。今日までの歪みの中で、多くの企業が人や機動力を失い、会員数は半減しました。いかに良質な企業に入会していただけるかにかかっております。

■会員増強のための具体的なお考えは。

 協会の取り組みや制度改善などにより、会員になれば技術や経営レベル向上への知識が得られるとメリットを感じて、今の会員企業は入会されていると思います。会員増強のためには、会員相互はもちろんのこと、会員以外でも学ぶことができる学舎(まなびや)を提供しなければなりません。会員以外への情報提供はおのずと相乗効果として働き、入会へとつながると考えます。行政や関連団体との繋がりの中で学びの場は多く、入会すると必然的に質が上がってきます。その質の向上のために努力をする企業に役立つ協会にしていきたいですね。

 趣味はゴルフとクラッシックの音楽鑑賞。
 座右の銘は「萬象皆我師也(ばんしょうみなわがしなり)」。自分にないものを全ての人は持っており、その知恵を借りたり、逆に自分の出来ることは提供する―。人としての有り様として心に刻んでいるという。

 川嶋実(かわしま・みのる)
 昭和47年日本大学理工学部土木工学学科卒業。同年川嶋工務店(現 叶嶋建設)入社、同50年代表取締役社長就任。平成15年5月兵庫県建設業協会副会長、同26年6月同会会長。兵庫県豊岡市出身、65歳。


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