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(株)竹中工務店 執行役員 大阪本店長 近藤泰正氏  【平成25年06月03日掲載】

「マネジメントの重視」掲げて

利益目標の達成へ


 就任にあたっての抱負として「利益目標の達成」を第一に挙げる。今年三月、広島支店長から大阪本店長に。抱負の言葉は昨年、同社設立以来初の営業損失を計上したことからの脱却を目指したもの。着任の挨拶では、利益目標達成とともに「宮下社長を支えていこう」と、従業員に呼びかけを行ったとした。

 業務における自身の役割としては、近畿圏はもとより四国全域における工事品質や安全に関して執行責任者として統括するとともに、営業部門については、担当役員と各部署に連なるマトリックスで掌握するが、これら仕事をする上での規範となるのが「創業者の理念に忠実に」が根幹にあるとする。

 今期の事業方針としては「基本的には前任者の路線を踏襲する」とし、仕事においては「マネジメントの重視」を掲げる。これは、自身が作業所長としての経験から得たもので、作業所では現地を確認することから問題点を抽出し、対策を立案すれば即実行してきた。このマネジメント手法を本店でも展開するため、各部門の業務の現状の「見える化」を打ち出した。

 全ての業務を行う現場と分業体制である社内とに一体感を持たせるため、受注状況や利益等に関し、見える化によりモニタリングすることで、社内の各部門が課題や問題点を共有し、それぞれが改善に取り組み、さらに改善効果をともに実感することで「社員のモチベーションも上がり、生産性向上にもつながる」と既に、前任地で実施して成果を挙げてきたとする。

 一方、大阪、関西の状況については「アベノミクス効果で近畿全体では工事量は若干増えるのでは」との見通しを示す。首都圏での建設投資の集中は変わらないものの、国の経済対策が進めば「さらに増加が見込める」と期待を示す。

 受注に関しては「今年度と来年度は目標達成が可能と見込んでいる」としながら、利益面では他社との競合が激しく「厳しい状況にある」とした。

 今期の目標としては、近畿でのトップシェアと適正利益の確保を掲げ、分野では、医療の研究所や製薬工場等の医薬関係、高齢化社会に対応に可能なシニア向け住宅と商業・文化施設等の複合開発等において「積極的に提案していきたい」と意欲を見せる。また、「新築工事との両輪」と位置付けるリニューアル分野にも傾注。「お客様への提案やお客様からのニーズへの対応を、タイムリーかつ的確に行う」と内勤のFM部と各地区のFMセンターを中心に対応していく考えだ。

 また、施工における作業員不足が懸念される現在、同社協力会の竹和会との関係では「共存共栄」の精神の下、百年以上の関係を築いてきた竹和会との「絆」を強調する。既に工期や労務単価への影響など「労務不足は認識している」としながらも「竹和会各社の経営の安定と安心して社員を雇用できる環境づくり」を目指し、今後も絆を深めていくこととした。

 入社以来、作業所での仕事が殆どで、その中でも印象に残る仕事としては、長居陸上競技場の屋根工事と大阪国際会議場の工事を挙げる。特に長居競技場の工事では、大屋根の架設時に阪神淡路大震災に遭遇したほか、日韓ワールドカップの誘致に係りFIFAが視察に来たことも思い出に残るとし、調達部長時代には「大型工事での資材調達に苦労した」ことも。

 モットーは、「仕事は楽しく」で、やりがいを持てる雰囲気づくりが大事で、このため部門ごとに提案を募集しているとする。「そういった雰囲気になると生産性も上り、従業員にもやりがいが出てくる」。

 好きな言葉は、英国の詩人ジョン・オクセンハムの「あの道この道」の一節を上げる。「人生において高い魂の人には高い道が、志の低い人には低い道がある」との意味で、故竹中一氏が好きだった詩でもあり、同社の社員寮等にも掲げられていたとする。

 趣味は、ゴルフとウォーキング、今はテレビ観戦となった「30歳まで続けていたサッカー」。大阪府羽曳野市出身。55歳。

近藤泰正(こんどう・たいせい)本店長の略歴
昭和56年3月、京都大学工学部建築学科卒、同年4月竹中工務店入社、平成10年4月大阪本店作業所課長、同12年1月北海道支店作業所課長、同14年1月大阪本店作業所長、同17年月四国支店長、同20年3月大阪本店調達部長、同22年4月広島支店副支店長、同5月広島支店長、同25年3月1日大阪本店長、同3月日執行役員大阪本店長。主な作業所歴は、長居陸上競技場、大阪国際会議場、大丸札幌店、近森病院第2分院増改築、そごう心斎橋店など。


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