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環境変化の中の建設業 特需より安定投資を 若者の入職・育成が最重要 社会保険 加入したくなる方策必要 |
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新たな経済対策による公共投資の増加は、建設業界にとって久しぶりの明るい話題となり、また社会保険等未加入問題でも、国をはじめ元請、下請各団体で加入に向けた取組みが動き始めている。この状況の中、兵庫県建設業協会の前川容洋会長は、アベノミクスに期待を寄せながらも「現状では急激な工事量増加に対応しきれないのでは」と懸念を示す一方で、保険加入をはじめ技能労働者の処遇改善は必要だとしながらも「取組みにあたっては現場の実情を理解した上での制度構築が必要だ」と語る。その前川会長に、現状の課題と自身の想いを語ってもらった。 |
(聞き手・中山貴雄) |
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■政府の経済対策による公共工事の増加や国土交通省の技能労働者に対する賃金アップ通達など、建設業界を取り巻く環境に動きが出てきておりますが、これらに対する考えをお聞かせください。 |
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アベノミクスの中心政策として、国土の安全安心とデフレ脱却のための公共事業が挙げられました。業界にとって、前政権の絶望≠ゥら希望≠フもてる状況になってきたことは大変喜ばしいことです。 |
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■職人不足の現状ではあり得ることです。 |
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デフレ脱却(インフレ)には、受注量も増加、利益も上がり、賃金も上げられる良いインフレと倒産が増え、不況の中でコストアップが進む悪いインフレがあります。そのようなスタグフレーションが起こらないようにすることが大切です。単価を上げれば工事が進むのでしょうか、予算が付き大量発注するという前に、いま一度、現場で起こっている実態が調査され、ガタが来た建設業界の立て直しや人材育成の目でも考えることをお願いしたい。 |
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■そこにきて社会保険未加入問題が提起されてきた。 |
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現場のほとんどの職人さんは、個人で国保などに加入されていますが、この点において法律に抵触している会社は多いと思われます。これは建設投資額が激減する過程で専門業者が職人を抱えきれなくなり一人親方化が進んだ結果であり、この様な厳しい環境下で、業界を本当に支えてきて頂いたことも事実です。それ故五年で排除するという無慈悲な政策でなく、加入しやすい、したくなる方策を検討してもらうことが大切ではないでしょうか。逆に離職・廃業等により、職人が激減することこそ問題であり、若者入職促進にも逆効果にならないか心配です。 |
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■今後の建設業のあり方そのものも問われてくる。 |
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生産能力を含め建設生産システムの改善は、我々業界で取り組んでいかねばならない問題です。業界の就業者は、29歳以下が11.8%、55歳以上が32.8%と、10年経つと20%減少するという少子高齢化が進んでいます。若者の入職と育成こそ最重要で、特に職人は5〜10年の修業が必要であり、今すぐにも始めねばなりません。専門業者に任せるだけでなく業界全体で取り組まねばなりません。合わせて省力化の工法や多能工など、合理的に働ける方法の研究も必要です。 |
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新生産システムで働く人らに意欲 多能工にもさまざまな可能性 「利他行」を建設業の基本精神に |
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■職人不足に対応するため、一人の職人が他職種を兼ねる多能工を育成しようとする動きもあります。 |
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賃金を変えることなく職人不足を解消するには、入職を図ること(大手ゼネコンでは職長手当制度を導入されたと聞きます)や移民を認めるなどのことが考えられますが、仕事の効率化を図るという意味で多能工を育てる考えがあります。かつて高度成長期に躯体工を育てる試みがなされましたが、人口増加期でもあり、専門化した方が効率的だったのか立ち消えになってしまいました。 |
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■確かに専門工事業者の多くは職人を直用することに負担を感じています。 |
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何度も申しますが、他産業の工場労働者と違い、天候、景気(受注変動)、現場の工程に左右される不安定雇用の業界です。どんどん工事量が減少していく状況において、職人を抱えきれなくなり、地方の専門業者は、資材を支給したり、品質、工程管理を責任者持ちにしたりしました。そのような中で一人親方的職人企業が誕生してきました。高齢化が進む中で年金等の過去債務を企業が負担しきれないという話もあります。 |
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■かつての師弟関係は今でも通じる部分があります。 |
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鳶職には、今も多くの若者が就職するそうです。そこの社長は、鳶職以外の資格も修得させているそうです。楽しい職場づくりの中で年季後の独立も認められています。 |
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■実効のある対策を立てる上では、実態をきっちり把握する必要があります。 |
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建設業の就業者数は現在、480万人程度とされ、自動車産業や社会福祉産業に比べて減少している産業であり、淘汰・再編されても仕方がないという人達もいます。しかし、この数字は建設業として認定されている二八業種に限られた数字であり、生コン、設計、コンサル、セメント、鋼材、ガラス、サッシュ、建材メーカー、建設機材メーカー、不動産等、建設関連で働く人々は数え切れず、したがって建設投資額の減少と共にGDPも減少し、デフレも続いてきたと思います。 |
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■災害対応に関して建設業の存在は不可欠です。 |
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我々日本人は、この試練の多い国土で、幾重の災害を知恵と努力で乗り越えてきました。現在の税金で公共事業という形ではなく、まさに命を守り、生活を守るためでした。その必死の「ものづくりの魂」が我々の内に「日本人」のDNAとしてあると確信しています。 |
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■今後の活動に期待しております。有難うございました。 |
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