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大阪都市計画局 尾花英次郎局長  【2023年06月01日掲載】

グランドデザイン実行段階

新たな潮流踏まえまちづくり


 「私自身、若い時に都市計画業務に携わり、まちづくりは夢とやりがいがある仕事だと思っており、このため若い職員には失敗を恐れず挑戦することを奨励したいと考えています」と就任にあたっての抱負を語る。挑戦により成功体験を重ねることで、「まちづくりを担う人材を育成していきたい」。

 そのまちづくりにおいては現在、進展するAI等のデジタル技術やカーボンニュートラル等の潮流が重要な要素となっていることから、関係部局はじめ市町村、民間等と連携し、「新たな潮流を踏まえた次世代のまちづくりに取り組んでいきたい」と意欲を示す。

 今年度の事業では、昨年末に策定された、大阪のまちづくりグランドデザインについて、「実行段階の年」と位置付ける。同グランドデザインは、グランドデザイン・大阪とグランドデザイン・大阪都市圏を整理・統合し、2050年を目標に、大阪のめざすべき都市像やまちづくりの方向性を示したもの。

 まちづくりの方向性では、都心部を中心に放射状に延びる道路・鉄道網の既存の都市構造を核に、大阪の成長と発展を促すため、鉄道沿線のまちづくり活性化を進めるとともに、「府内各地で拠点となるエリアの形成と地域資源を活かしたまちづくりに取り組んでいきます」。

 事業の取組みにあたっては、引き続き推進本部会議を中心としながら、グランドデザインのまちづくりテーマに沿った会議組織を設置するとともにガイドラインを作成し、市町村や民間事業者と連携しながら必要に応じた支援を実施するほか、市町村の枠組みを超えた広域的な観点からの都市プロモーションを行い、「それらを通じてまちづくりに民間活力を呼び込むことも我々の大きな役割」とした。

 一方、同局の主要事業である広域拠点開発では、「都心部のうめきた2期地区、大阪城東部地区、新大阪駅周辺地域、夢洲2期開発を進めていく」とした。うめきた2期では、2024年夏ごろの先行まちびらきに向けた各種事業を実施し、大阪城東部地区では、2025年の大阪公立大学森之宮キャンパスの開所と、大阪メトロが計画する森之宮新駅に合わせた1・5期のまちづくりも予定されている。

 新大阪駅周辺地域では、リニア中央新幹線や北陸新幹線延伸線の具体化に合わせ、新駅を含めた周辺の開発整備を行うもので、「民間都市開発プロジェクトの具体化に向けた取組みとともに、駅前広場の再整備など新幹線新駅関連プロジェクトを検討していく予定」。

 また、夢洲では、新たな国際観光拠点の形成に向けた取組みを進めており、2025年大阪・関西万博の跡地となる夢洲2期区域については、万博後速やかに活用できるよう、民間事業者の意向を把握するマーケットサウンディング調査を実施している。

 これ以外の事業では、彩都と箕面森町、千里ニュータウンと泉北ニュータウンの再生を挙げる。このうち彩都では、開発区域3地区のうち既に2地区でまちびらきが行われ、現在は残る東部地区において、2027年の一部まちびらきを目標とした造成工事等が行われている。

 ニュータウン事業では、千里ニュータウンの老朽化対策として、府営住宅やUR等の公的賃貸住宅の集約建替えで創出された活用地に新たな機能を導入、これにより新世代の入居者が増加し、泉北ニュータウンに関しても今後、建替え事業が進めば、「同様の効果が得られるものと考えている」と期待を示す。
 このほか、自転車を活用したイベントの開催、淀川舟運活性化による沿川地域の賑わいづくり、山歩きによるウォーキングイベントなど、府内でまちづくりのソフト事業にも積極的に取り組んでいる。

 これら施策の推進にあたっては、計画や設計、施工等のそれぞれの分野のプロとして建設業界に対し期待を寄せ、「我々とともに次世代のまちづくりに取り組むにあたり、いろんな提案やアイデアを提供していただき、事業に活かしていきたいと思っています」と語る。

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 大阪府に入庁後は、都市計画や都市政策等に携わってきた。この中では、交通道路政策のマスタープランや港湾局時代には10年に1度の港湾計画改訂に関わり、それら計画が実現していくことに、「やりがいのある仕事であることを実感する」。

 また、第2京阪道路の開通や大和川線の開通に立ち会うことができたことも印象に残るとする。

 仕事をする上では、「プロ意識を持ち、チームワークを大事に笑顔と感謝を忘れないこと」を職員に対して呼びかけている。

 趣味は、休日のまち歩き。現在は主に京都でのまち歩きを楽しむが、それが講じて京都観光文化検定の準1級を取得し、1級検定の取得を目指しているほか、バンドではリードギターを担当、コロナ明けでの再開を楽しみにしている。

 

 尾花英次郎(おばな・えいじろう)
平成元年3月京都大学工学部卒業、同年4月大阪府入庁、同28年4月都市整備部課長、同30年4月大阪府富田林土木事務所長、令和2年4月都市整備部事業管理室長、同3年4月大阪府住宅まちづくり部まちづくり戦略監、同11月大阪都市計画局技監を経て今年4月に現職に。大阪市出身。57歳。



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