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大阪府建築士事務所協会 樋上雅博会長  【2022年06月23日掲載】

改革と挑戦で発展に寄与

会員へのサービス向上がテーマ


 就任にあたっては、協会設立の目的である個々の事務所の発展、公共福祉と建築文化の育成を挙げながら、「これまで、先輩達が営々と築いてきた協会をより発展させ、その目的を果たすために努力していきたい」と述べ、このため、今後の取組み目標を掲げながら目標達成に向け、「前進するための改革と挑戦の気持ちを持ち、協会発展に寄与していく」と抱負を語る。

 目標では、会員や一般社会に対する協会としての責任と役割、目標達成に向けた事業活動、会員増強等を挙げた。このうち会員増強については、副会長時代にワーキンググループを設置して取り組んできた経緯がある。

 会員に対する責任では、「サービス向上がテーマ」とし、会員の技術力向上はじめ、若手職員のスキルアップや女性建築士、高齢化する事務所への支援とともに、一般社会に対しては、建築フェスタや児童画展、出前講座等のイベント開催等のPR活動等に引き続き取り組む。

 事業活動では、大阪マネージメント支援センターの運用と協会PR活動、大阪・関西万博への関与も挙げる。活動にあたっては、現在の4つの常設委員会と特別委員会、8つの支部活動を中心としながら、新しい時代に即した活動や新技術への対応など、「委員会単独では取り組めない事項については、横断的にチームとして取り組んでいきたい」と意欲を示す。

 このうち大阪マネージメント支援センターでは、高齢化に伴う事業承継に関する支援・サポートを行う。事業承継については、M&Aや看板(名前)の引き継ぎ等の手法があるとしながら、「可能性ではM&Aが高いと想っており、大阪産業局と大阪商工会議所と連携して会員向けセミナーで周知に努めていきたい」と述べ、既に2月に1回目を開催したとした。

 万博については、会場そのものより、府域各エリアでのサテライトイベントなど、会期中に訪れる建築家を対象とした関連事業など、「ワーキンググループを設置し、いろんなアイデアを出しながら行政と連携して取り組むことができれば」との思い。

 一方、会員増強に関しては、新規の事務所登録者に対して、事務所の経営や運営、営業、設計監理に係る技術的側面からのアドバイスなどの経営基盤確立に向けた支援活動を行い、「経営が軌道に乗り始めたところで協会事業への参加とともに、会員との交流やネットワークを通した情報提供等を行って入会を勧めていきたい」との考えを示した。

 新規登録事務所にいきなり加入を呼びかけることは、「ハードルが高い」とし、徐々に浸透するようなガイダンスを丁寧に実施するやり方が「遠回りではあるが確実だ」と述べ、多くの登録事務所に働きかけていくこととした。

 加入することのメリットについては、特に建設事業における大手事務所の設計や施工プロセス、通常では立ち入ることのできない施設の見学会、また、新技術や法令改正に係るセミナーへの参加など、「事務所職員、特に若手のスキルアップ等に役立った」とし、会員の約七割を占める小規模事務所にとってメリットになると指摘。

 また現在、災害時の緊急避難路沿いの建築物耐震化に係る耐震プロデューサーを会員から派遣する委託契約を大阪府と締結しており、「会員業務の一助となれば」とし、これらも含めてメリットとしてPRする考えを示した。

 このほか、他の設計3団体との連携については、「今後も協力関係を進めていく」とした。これは、建築士法等の改正や制度改正にあたっては、一定数の登録事務所の確保が必要となることから、そのためにも協力関係を強化していく必要があるとした。

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 仕事をする上では、「より良いものを追求する」がモットー。趣味はゴルフと年に1回のスキーのほか、同級生と同好会を作りテニスも楽しむ。これまで手掛けた設計では、「設計実務のスタート」となったコンペで金賞を受賞した団地集会所を挙げる。 また、阪神淡路大震災も経験したことから防災に関しても高い関心を寄せる。

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 樋上雅博(ひのうえ・まさひろ)昭和54年3月東京理科大学理工学部建築学科卒後同年4月熊谷組入社、平成13年7月有限会社プラッツ設計代表取締役、同18年6月に株式会社に改組、現在に至る。大阪市出身。66歳。
 平成24年5月から建築士事務所協会理事、同28年5月から副会長、令和4年5月から会長に。このほか、平成25年4月から大阪地方裁判所簡易裁判所調停員、同30年4月から大阪府建築設計協会代表理事。 これまで、日本建築士会連合会30周年記念設計競技金賞、日本建築士事務所協会連合会建築賞会長賞、同連合会年次功労者表彰、建設事業関係功労者等で国土交通大臣表彰を受けている。

 


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