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UR都市機構 西日本支社副支社長 田邊 昭氏  【2022年06月16日掲載】

千里、泉北の特性生かしつつ

ストック事業で魅力的なインフラ


 就任にあたっては、URの賃貸住宅は道路や公園等と同様に必要な社会インフラとし、「お住まいの方はもとより周辺住民、自治体にとっても魅力的なインフラとなるようストック事業を通して実現したい」と述べ、その実現にあたっては、「効率的、効果的に事業を推進していきたい」と抱負を語る。担当は、賃貸住宅ストック部門と技術管理部門。

 賃貸住宅事業に関しては、これまで継承してきた取組みはあるとしながら、「変えていくことで効率性を高めることができる部分もあると考えており、さらに建設業界の方々が活躍していただける方法もあるのではないか」との意向を示し、今後、業界との意見交換も視野に入れる。

 ストック事業に関しては、大きな括りとして「千里と泉北の両ニュータウンで継続的に事業を取り組んでいく」とした。現在の管理戸数は、千里ニュータウンは11団地で8428戸、泉北ニュータウンは12団地の7889戸。取組みにあたっては、「まちづくりという観点では同じですが、地域特性を踏まえていくことになる」とした。

 具体的に、千里ニュータウンでは、不動産需要が活発で民間事業者が参入しやすいことから、「その活力をまちづくりに活かすことを検討したい」とし、民間活力の活用にあたっては、単に土地を高く売却するのではなく、「古くなった既存施設の周辺を活性化させる快適な空間づくりなどとセットにした事業展開ができれば」と期待を寄せる。

 また、泉北ニュータウンは、まちづくりに関わってきた地元や企業、自治体との情報交換をより密接にしながら、「長期的なスパンで取り組むことが必要」と指摘、同ニュータウンでは、地元住民が近郊の田園地域と連携した農作物づくりの取組み等を始めていることから、「そういった地域との連携、コミュニティづくりを進めながら取り組んでいきます」。

 技術管理では、賃貸住宅のストックに限らず、修繕や補修も担当するほか、都市再生事業にも関わる。取組みにあたっては、「効率的で効果的に事業を進める上での下支えになれば」とする。

 また、まちづくりには、URとしてもプロの技術者集団として関わっているが、居住者や地元、自治体がそれぞれに理想や夢を描いており、「全てをURでできるものではなく、その夢を実現するための工夫や仕組みづくりなどの土台となるプラットフォームを構築するのが我々の役割」。

 その夢を実現するための工夫や仕組みづくりを「建設業界の方々と一緒にやるための意見交換や検討の場を設けたい」とするが、現在では、UR事業への入札参加者が少ないことを課題に挙げ、「入札契約制度の改善も含め様々な発注方式などを検討する上でも建設事業者との意見交換が必要」と重ねて強調した。

 思い出に残る仕事では、うめきた2期のまちづくりに関して、その方向性を検討するため大阪府や大阪市等の関係者と協議し、「公園づくり等の夢を共有しながら語り合い現在、それが実現しつつあり、そういったことに関われたことを嬉しく思っている」。これまで都市再生事業をはじめ、様々な仕事を経験、「ストック事業も都市再生に関わる面も多くあり、現在の仕事に活かされている」。

 モットーは、自然体でいることとしながら、仕事にあたっては事前準備は怠らないが、「最後は一瞬で決断すること」。職員に対しては、「若い人が、新しいことにチャレンジできるような輝ける組織にしたい」との思いを語る。

 趣味は、年に10回は行く夫婦での旅行で、個人的にはテニスとスキー、将棋と多彩。

   

 田邊昭(たなべ・あきら)昭和61年3月、神戸大学工学部卒、民間企業勤務を経て、平成12年1月都市基盤整備公団採用、同16年7月都市再生機構、同23年7月西日本支社都市再生業務部地方都市再生チームリーダー、 同26年4月同部事業企画チームリーダー、西日本支社うめきたプロジェクト整備推進本部付兼務、同27年4月本社都市再生部全国まちづくり支援室地方都市戦略チームリーダー、同28年4月本社都市再生経営統括室リーダー兼務、 同29年4月西日本支社ストック事業推進部長、同31年4月同支社総務部付、同31年4月鰍tRリンケージ出向を経て、令和4年4月より現職に。西宮市出身。58歳。



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