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大阪建設専門業安全協力会連合会 山路秀樹会長  【2021年11月04日掲載】

「コロナ以前」の活動に

死亡災害ゼロに向け決意

フルハーネス型安全帯にも期待


 関西の元請ゼネコン25社の協力会を会員とする大阪建設専門業安全協力会連合会で、副会長から会長に就任した山路秀樹会長(ヤマジ代表取締役)は、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動が制限される中にあって、究極の目標である死亡災害ゼロに向け、「専安連として少しでも役に立てれば」と決意を語る。その山路会長に就任にあたっての抱負や今後の事業活動を聞いた。

 就任あたっては、専安連が関西における業界団体でも古く、由緒ある団体であり、その長い歴史を踏まえると会長就任は光栄である」としながらも、「その責任の重さにプレッシャーを感じるとともに身の引き締まる思いがある」と心情を述べる。今年の総会では会長とともに他の役員の交替があったことから、「私一人では力不足であり、新役員の方々とともに力を合わせていきたい」と抱負を語る。

 今後の活動については、専安連の役員となって6年と日が浅く、全ての事業活動を把握していない部分もあるとしながら、人命尊重の基本理念の下、「死亡災害ゼロという究極の目標に向かって労働災害防止活動を続けている会員各社に対し、微力ながら少しでも力になれば」と気を引き締める。

 その事業活動については、コロナの影響により昨年から活動ができていない状況にある。現在は、職長安全教育や足場教育等は開催しているが、人数制限があるため、これを「以前の活動ができるようになれば」とする。主な活動では、建災防大阪府支部からの委託事業である足場教育として、足場組立と作業主任者基本講習、専安連独自の事業として職長安全衛生責任者講習を、それぞれ月1回の開催。

 「このうち、作業主任者の技術講習で修了証を交付したのが昨年までで6万66人、職長教育も7387人に交付しています。このほか、安全研修会や安全研修会や安全表彰、物故者法要がありますが、とにかくこれら事業をコロナ以前の形に戻したいと思っています」。

 一方、社会保険や働き方改革による長時間労働の是正や週休2日制など、現在、建設業は変革の時代を迎えている中での安全への取組みに関し、特に週休2日については、現場職人の多くは日給月給制であり、休日を増やすためには、「作業効率を上げて現状を維持する必要がある」とし、そういった状況の中で、生産性や作業効率を重視すれば、「安全面が疎かになる部分が出てくる可能性もある」と懸念を示す。

 このため、労務単価の引き上げが必要とし、「それができなければ、非常に厳しい状況になる」と指摘しながら、それらも含めて、「専安連として労働災害防止活動が継続できるよう役に立てればと思っている」。

 また、労働災害は長期的には減少傾向にあるとされるが、依然として重大災害の多くは墜落・転落災害が占めている。これについては、来年1月から安全帯が墜落制止用器具に代わり、フルハーネス型となることから、「墜落災害は減少するのではと思っている」と期待を示し、建災防や元請ゼネコン、協力会とも連繋して、「専安連の究極の目標である死亡災害ゼロに向け、引き続き取り組んでいく」と決意を新たにした。

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 大学入学時には会社を継ぐ気はなかったとする山路会長。現在は、元請協力会はじめ、専門工事業団体等の役員も務めている。思い出に残る仕事は、阪神淡路大震災の復興工事で長田港での復旧工事を挙げ、建設業の魅力については、「形に残ること。自らが携わった仕事が形として残っていることは魅力」と語る。

 モットーは、先代から受け継ぐ社訓である、信用を重んじ、責任を遂行するとした信義、得意先の立場に立ち、誠実を尽くす真実、互いに助け合い向上に努める親和―とする「信義・真実・親和」を挙げ、「常に意識して仕事をしている」

 
 

 山路秀樹(やまじ・ひでき) 
昭和63年3月同志社大学法学部卒業、同年4月に西松建設入社し、平成10年6月まで勤務した後、同年7月にヤマジ入社。同20年11月から代表取締役に。枚方市在住。55歳。



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