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東レ建設(株) 角川政信社長  【2021年10月25日掲載】

事業領域の拡大を推進

明るく楽しい元気な会社に


 東レ建設の角川政信社長はこのほど、大阪市北区の本社で就任会見を行った。今年6月25日に就任したもの。会見で角川社長は、建設事業とマンション事業を強化し、「事業領域拡大を推し進め、収益の拡大と安定化を促進する」と述べ、各事業において様々な取組みを推進しながら、自らが強いリーダーシップを発揮し、社員一人ひとりが目標達成に向かって行動する「明るく楽しい元気な会社を目指していく」と抱負を語った。

 就任にあたり角川社長は、建設事業とマンション事業を併営する同社の特徴を生かしながら、この2つの路線をしっかりと引き継いで収益基盤の強化を再度軌道に乗せ、「事業領域拡大を一層推し進め、売上収益の拡大と安定化を推進することが私の仕事」と自身の役割を語り、東レグループの中で住宅・エンジニアリングの特色ある企業として「重要な位置を占めている」とし、グループの技術力と総合力を背景に、グループ企業理念の「新しい価値の創造を通じて社会に貢献する企業」を目指していくとした。

 実現にあたっては、現場力強化による生産性向上、トータル品質と技術力の向上、働き方改革や安全最優先とESG経営の推進を実行し、「やるべきことをしっかりとやる企業風土づくり」を掲げ、これまでの経験を基に、自らが強いリーダーシップを発揮して、「社員一人ひとりが目標達成に向け、活き活きと行動する明るく楽しい元気な会社をめざしていく」と抱負を語った。

 今後の事業展開では、建設事業の住居系・非住居系で、それぞれ領域拡大に取り組む。住居系では、公共住宅の建て替え等のPFI事業への積極的な参画を挙げた。これまでのPFI事業では、主にBT方式で参画していたが、今後はBTO・BOT方式への参画とともに、Park―PFIも視野に入れ、受注案件拡大を目指すとした。

 また、グループの工場や生産施設を中心に豊富な実績を有する非住居系に関しても、設計施工の強みを活かし、ソリューション営業によりオフィスや工場、物流倉庫等の受注比率を「現在の30%から40%程度まで引き上げたい」としたほか、不動産事業部と連携し、仕事付き高齢者住宅等のCCRCへの取組みなど、事業領域拡大への意欲を見せた。

 さらに、建設現場の足場材を活用し2014年にスタートした高床式ベッドの砂栽培農業施設「トレファームⓇ」では、自社研究栽培農園で国際電気通信基礎技術研究所(ATR)や大学等と連携し研究を継続するとともに、 国のCCRCモデル事業に採択されるなど、「農業を核とした新たな事業への取組みを推進していく」とした。

 これら取組みにあたり、課題となる建設コスト低減と労働力確保については、PC構法やユニット化など従来からの省力化・省人化工法に加え、「IoTへの取組みが必要」とした。既に、携帯端末を活用した施工管理システム開発等による取組みを進めているほか、「ロボット化への動きにも遅れることなく、新しい施工現場イメージを描いていきたい」と語った。

 一方、マンション事業では、賃貸マンション事業への参入により「領域拡大の成果は上がりつつある」とし、今年度は、得意とするファミリー向け分譲マンション「シャリエⓇ」を中心に年間500戸を目指す。また、分譲エリアの絞り込みによる地域密着型の用地取得と、不動産事業部と建設事業部が土地情報共有化を図り、自社開発案件の用地取得を強化。

 このほか、神奈川県川崎市では、トレファームによるシェアリング農業を核に、産前産後ケアや保育園、クリニック、飲食店等で構成する市有地を活用した商業系施設の賃貸事業も予定されているおり、「事業領域拡大に積極的に取り組んでいく」とした。

 全社的な取組みに関し角川社長は、「技術戦略テーマによる提案力と受注力の強化」を挙げ、テーマは「省CO2,劣化評価、防災減災、木造建築」とした。

 このうち省CO2では、ZEBプランナーとZEHデベロッパーに登録済みで、ゼロエネ化の取組みとして、自社案件にマンション内電力融通システム「T―グリッドシステム」を提案。木造建築に関しては、脱炭素化として木材を利用した中高層マンションの実現に向けた共同研究に着手、既に10階建て建物で柱・梁を木材とする計画の実現に向け取組を進めている。

 今年度の見通しについては、コロナ過による景気の不透明感から、建設業界では民間投資が抑制され、不動産では所得・雇用環境の悪化により顧客マインドが低下し、「厳しい事業環境が継続する」との見方を示し、東レ建設グループ連結で売上収益で約450億円、事業利益は約11億円とした。

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 現在の趣味は、56歳から始めたマラソン。これまで海外も含めフルマラソン10回完走し、最高タイムは3時間59分38秒。現在はコロナにより大会が行われず、終末に10~15キロをランニング。「今後は、社内に同好会を作りたい」と笑う。

   
   

角川政信(かどかわ・まさのぶ)
大阪大学基礎工学部機械工学科卒、昭和55年4月東レ㈱入社、平成17年9月同社愛媛工場工務部長、同20年6月同社エンジニアリング開発センター所長、同23年4月東レ・プレシジョン㈱代表取締役社長、同26年6月水道機工代表取締役副社長、同27年6月同社代表取締役社長。福井県出身。64歳。



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