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大阪府都市整備部 谷口友英部長  【2021年06月24日掲載】

関西成長とインフラ整備

鉄道・道路着実に事業展開


 「都市整備部には、大阪、関西の成長と府民の安全と安心の確保に向けたインフラ整備の推進という変わらないミッションがあり、この二つを大きな目的として着実に進めていくことが、我々に課せられた使命だと思っています」と就任にあたっての抱負を語る。

 事業の推進にあたっては、本年3月に策定された今後10年間の取組みを示した都市整備中期計画に基づきながら、大阪、関西の成長に関しては、鉄道、道路整備を挙げ、鉄道関係では、着手段階にあるなにわ筋線や大阪モノレール、北大阪急行延伸工事等を「着実に事業を実施していく」とともに、今年度から都市整備部の所管となった、リニア中央新幹線と北陸新幹線大阪延伸事業について「全線開通を目指した取組みを進めていきたい」と意欲を見せる。

 道路関係では、工事の進む新名神高速道路へのアクセス道の整備、和歌山県との府県間道路である国道371号の残りの区間での工事推進と、大阪都市再生環状道路を構成し、ミッシングリンク解消に期待がかかる淀川左岸線の2期や延伸部の整備促進を図る。

 安全安心の確保では、地震・津波対策や治水対策を軸に展開。「地震・津波対策では、南海トラフ巨大地震に備えた防潮堤強化に係る液状化対策として、現在実施中の木津川と六軒家川を含めた対策を令和五年度の完成に向けて取り組んでいきます」。

 また、平成30年台風21号で、大阪市内での高潮被害を防ぎ、「改めてその重要性が認識された」木津川、安治川、尻無川の3大水門に関し、いずれも整備後50年以上が経過し、老朽化が進んでいることから順次、事業を進めていくこととしている。

 治水事業では、安威川ダムが今年度末にはダム堤体工事が完了する予定で、「来年度以降には試験湛水を開始する」とし、流域治水では寝屋川総合治水事業の北部地下河川事業で城北立坑が施工中であり、昨年度末には守口調節池が供用を開始するなど「順調に進捗している」とし、これらの事業を含め、国土強靱化5か年加速化対策として、治水事業や道路での法面対策等での実施を予定している。

 事業実施にあたっては、「地元の方々や地権者にも説明し、理解をいただくことも重要な仕事」と述べ、特に地下構造物については、「工事中はもとより完成後も見えないため、一般の方々にはその効果が分かりづらい部分もありますが、そういった部分でも我々としてはしっかりと取り組んでいきます」としたほか、所管する構造物の維持管理にも十分に取り組んでいくとした。

 一方、働き方改革への取組みに関して大阪府では、現場については災害工事等を除き4週8休を原則としており「担い手確保は勿論のこと、3Kイメージの解消と建設業の魅力向上の一助になれば」との思いを込める。

 生産性向上では、ICT施工を、「大型土工事について発注者指定型で実施しており、受注者希望型に対応できる体制も整えています」。また、遠隔臨場に関しては「議論している」とし、これまで四件程度で実施したが、適用できる工種とできない工種があることや、「熟練者と未熟練者が担当する場合に違いが出てくるのではとの懸念もあり、そういった部分での人材育成も必要では」と課題を挙げた。

 このほか、CIMに関しても大型工事に適用、現在ではモノレール工事で実施しているとし、「地元説明会等で立体的に視覚的に見てもらうことができる」とその利点を挙げながら、今後も活用拡大を図っていくとした。 

 これらの取組み含めて建設業界に対し、「建設業全体を盛り上げるためには、発注者と受注者が一緒になって取り組む必要があり、そのため意見交換しながら、より良い業界を目指していきたい」と期待を寄せた。
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 土木分野に興味があり、「係わるのなら川上の部分から携わりたかった」ことから大阪府に。入庁以来、河川関係等の土木職を担当してきたが、「初めて建築に関わった」のが狭山池博物館の建設工事。同工事では、考古学や歴史分野まで勉強し、 「土木とは違う世界を経験することができた」ことが印象に残るとする。

 座右の銘は、人生の幸不幸はどうなるか、最後になるまで分からないことから、「人間万事塞翁が馬」。仕事が上手くいかない時でも、「くよくよせず、あきらめずに」取り組むこととしている。

 現在は、健康医療部が開発したアプリ「おおさか健活マイレージアスマイル」により、ウォーキングにおける歩数目標を設定してできるだけ歩くなど、「日々チェックに努めている」。

 

 谷口友英(たにぐち・ともひで)
昭和62年3月大阪大学工学部卒、同年4月大阪府入庁、土木監理課、平成24年4月政策企画部企画室参事、同26年4月政策企画部危機管理室防災企画課長、同28年4月都市整備部河川室河川整備課長、同29年4月八尾土木事務所長、同30年4月都市整備部事業管理室長、同31年4月都市整備部技監を経て、令和3年4月より現職に。大阪府出身。56歳。



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