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道建協関西 小原信也 新支部長 会見  【2021年06月03日掲載】

まずは国土強靭化対策

道路保全新技術へ対応

担い手確保各社一丸で


 日本道路建設業協会関西支部の支部長に就任した小原信也・大林道路大阪支店長はこのほど、支部長就任にあたり会見を行い、今後の支部活動等について語った。5月27日に開催された支部定時総会で承認・就任したもの。会見で小原支部長は、道路整備事業とともに、担い手確保等の課題に対し「会員各社と一丸となって取り組んでいきたい」と抱負を語った。

 就任あたり小原支部長は、道建協の理念である道路技術の向上と道路建設業の健全な発展、道路整備の推進に向け、「関西支部会員が一丸となって地域社会の安全と安心につながる道路メンテナンスの重要性に応えるため、活動を推進していきたい」と抱負を述べた。

 道路建設業を含む建設産業全体について小原支部長は、気候変動による自然災害の頻発化・激甚化に加え、南海トラフ巨大地震等に備えた国の国土強靱化のための5か年加速化対策を推進する上で、「重要な役割を担っている」とし、当面は加速化対策により安定的な公共投資が見込まれるとしながら、「まずは国の道路予算執行に適切に対応していく」と語った。

 しかし、現状は生産人口の高齢化や入職者の減少が課題となっており、このため次世代を担う若手技術者の育成やICT施工導入による生産性向上が求められていることから、「協会として早急に取り組んでいかなければならず、これらを実現するため会員各社と協力して取り組んでいきたい」と決意を語った。

 支部の事業活動については、「当面は今年度の事業計画がベースとなる」としながら、活動にあたっては、「新型コロナウイルスの影響により中止となるものも出てくるだろうが、各委員会を中心に間断なく実施していかなければならない」とコロナ禍での事業推進に配慮する。

 事業活動のうち柱となる近畿地方整備局との意見交換会については、本部と支部、それぞれでの実施を予定しており、公共事業予算の安定的・持続的な確保や労働環境の改善などとともに道路整備に関する要望を訴えていくこととした。会員に対しては、道路建設技術の向上を目指して技術者を対象とした講習会を開催。「特にICT施工に関しては、毎年、講習会を開催しており、新技術の導入に対応している」と、引き続き実施していくとした。

 また、社会貢献活動として、道の駅に対する小型発電機の寄贈を行う。これは、国土交通省が推進する道の駅の防災機能強化の一環として、全国の地方自治体の地域防災計画に位置付けられている道の駅に対し、協会と全国道の駅連絡会が連携して実施しているもの。

 寄贈は、昨年度からの3か年で約200箇所を予定。このうち関西支部では、近畿道の駅連絡会事務局の協力を得て、昨年度は15箇所に寄贈し、今年度は14箇所を予定している。

 この他の事業では、防災・減災対策について、「事前防災と発災後の対応が重要」とし、防災に関しては行政側の計画に基づく国や自治体との合同防災訓練への参加、災害発生時には防災協定に基づいた対応を図るとしたほか、除雪作業でも大きな役割を担っているとした。

 また、働き方改革における週休2日への取組みについては、毎年、会員にアンケート調査を実施しており、調査結果から効果は出てきているとしながら、引き続き会員に対して取組みを周知していくとし、建設キャリアアップシステムに関しては、日建連等の他団体の取組みに協力しながら進めていくとしている。

 一方、道路を取り巻く環境では、「現在は新設よりリニューアルの時代に入っている」と修繕工事が主流になるとの見方を示しながら、一定の工事量のある電線共同溝工事にも期待を寄せる。関西の状況では、大阪・関西万博や淀川左岸線等の事業に期待が集まっているが、このうち既に関連工事が始まっている万博については、「まだまだ全容が見えていない」としながら、今後の工事進捗に併せ、「協会としてそれに伴った支援をしていくが、まずは国土強靱化対策に対応していきたい」と重ねて基本方針を述べた。

 
 

 小原信也(おばら・しんや)昭和55年3月佐賀大学理工学部土木工学科卒、同年4月入社、平成8年10月東京支店松戸総合工事事務所長、同11年4月同支店松戸営業所長、同12年4月同支店千葉事業所工事課長、同13年4月同支店千葉営業所長、同21年7月関東支店東京第二営業所長、同24年4月関東支店営業部長、同年7月理事、同26年4月執行役員、中国支店長、同28年4月中部支店長、同29年4月常務執行役員、同31年4月大阪支店長。熊本県出身。63歳。



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