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近畿地方整備局 溝口宏樹局長  【2020年08月06日掲載】

就任会見

安全で夢ある関西に

魅力的な建設現場実現へ


 近畿地方整備局溝口宏樹局長はこのほど、大阪合同庁舎で就任会見を行い、今後の事業方針や取組みについて語った。会見で溝口局長は、防災・減災対策や関西の活性化、地域建設業の発展に取り組むとしながら、「社会情勢にも的確に対応していくことも必要で、その中で安全で夢のある関西となるよう貢献していきたい」と抱負を語った。

 溝口局長は、近畿での勤務は初めてだが、幼稚園から中学校、大学院まで、大阪と京都で生活したことを挙げ、「ここでの勤務を嬉しく思っている」とした。就任にあたっては、▽防災・減災対策▽関西の元気と活力を形にする▽地域建設業の発展―の3つを抱負に挙げ、「その実現のため職員一丸となり、私自身が率先してスピード感を持って取り組んでいきたい」と決意を語った。

 防災・減災対策では、「近年では、雨の降り方がこれまでの経験を上回るものとなり災害が激甚化している」と、気候変動の影響により、何時、何処で、これまでの災害を上回るものが起きても不思議ではないとの認識を示し、「住民の生命と暮らしを守り、社会経済がしっかりと機能する強靱な国土にしていくために治水対策をはじめとする防災・減災に力を入れていきたい」と述べた。

 具体的には、「河川の氾濫を事前に防ぎ、被害を軽減するためのまちづくりでの工夫、確実な避難に向けた情報提供のあり方を検討していく」を挙げる。このため、河川やダム、貯留浸透施設のハード整備を加速させるとともに、利水ダムも含めた既存ダム等の施設の機能向上を図ることとしながら、「国をはじめとする行政だけでなく、住民や企業も含めた流域全体の関係者による流域治水の考え方で進めていきたい」との考えを示した。

 また、流域での住み方や避難方法も検討する必要があるとし、ハザードマップ等の情報活用や企業によるBCP計画の策定など、「普段から、1人1人が防災減災意識を高めることで社会全体が事前に災害に備えることが必要」として、その働きかけを行っていくとした。

 災害対応については、資機材やTEC―FORCE等の人材等の、「近畿地整が保有する災害対応力や現場力を活かして、被災地への支援を実施していく」と述べ、また、昨年には、佐賀県の水害時にTEC―FORCEの一員として現地に赴き、県や九州地整、自衛隊等との調整にあたり、東日本台風では福島県庁で国の関係機関と市町村との調整にもあたった、自らの経験を活かせればと―とした。

 関西の元気と活力を形あるものにすることについては、「歴代局長の流れをつなぐものでもある」とし、2025年の万博開催はじめ、なにわ筋線やリニア新幹線の大阪延伸などを視野に入れながら、「関西は魅力ある歴史と文化など観光面でも期待できる地域であり、こういった元気や活力の拠点を、人やモノが迅速にスムーズにかつ安全に流れるように、道路や港湾等の整備と適切な維持管理でしっかりと後押ししていきたい」とした。

 特に道路については、「強靱な経済や社会構造の構築には、道路等の交通ネットワーク整備が、災害リスクに対処する上でもベースとなる不可欠」として、ミッシングリンクの解消を課題とし、「ネットワークは繋がることで大きな効果が発揮でき、人やモノの流れを良くして経済に貢献し、また災害時には代替ルートにもなる」と述べ、しっかりと整備していきたいとした。

 地域建設業の発展では、インフラ整備を支え、地域防災の担い手である地域建設業の持続的な発展に取り組んでいくとした。中でも、「技能労働者の後継者育成問題や若手の入職促進等の担い手確保育成の課題に対し、生産性向上にも取組みながら魅力ある建設現場の実現に発注者の立場からしっかりと取り組んでいきたい」と語った。

 特に災害発生時において、「現場での作業に携わる地域建設業がしっかりと活躍できる形を取っていかなければならない」とし、入札契約の中でそういった部分きっちりと評価することにより、「地域建設業が持続的に発展し、工事で適正な利潤が確保できるよう発注者としてしっかりと見ていく」と述べるとともに、「魅力ある建設現場として、建設業の方々が実施しているいろんな取組みも評価して、良い企業が生き残っていけるような環境づくりに努めていく」とした。

 

溝口宏樹(みぞぐち・ひろき)
昭和63年3月京都大学大学院修士課程交通土木工学専攻修了、同年4月建設省採用、水管理・国土保全局水資源部長から7月21日付で就任。愛知県出身。57歳。



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